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2019/02/14

エリック・クラプトンが本格的にブルースに挑んだ!初のブルース・アルバム『From the Cradle』を聴こう♪

エリック・クラプトンが本当にやりたかったこと⁉初のブルース・アルバム『From the Cradle』をご紹介します。

エリック・クラプトンがついに1994年に本格的にブルースに挑んだ!

エリック・クラプトンと言えば、”ギターの神様”もしくは、”Wonderful Tonight”や”Tears In Heaven”に”Change The World”といったバラード曲といったイメージがあると思います。

 

しかしそういったイメージだけでなく、「クラプトン=ブルース」のイメージも強いと思います。

 

例えばクラプトンがデビューした当時のヤードバーズ時代やジョン・メイオールのブルース・ブレイカーズ時代から度々ブルースの曲を取り上げてきました。

 

その後ソロ活動を始めてからも、フレディ・キングやボビー・”ブルー”・ブランドにエルモア・ジェームスやオーティス・ラッシュなどのブルースの曲をいくつか取り上げていたりします。

 

そんなクラプトンが、1994年になってついに本格的なブルース・アルバムの制作に取り掛かりました!

 

それは、2003年にブルース100周年迎えた翌年にブルース・アルバムを制作したエアロスミスの『Honkin on Bobo』よりも10年早かったんです。

 

 

更には2016年にリリースされたザ・ローリング・ストーンズの待望のブルース・アルバム『Blue & Lonesome』よりも22年も早くに制作しています。

 

 

そういったことからも、クラプトンの「ブルース」という音楽に対しての思い入れの深さを感じさせてくれますね。

 

また、本作が制作される前の80年代のクラプトンのアルバムは、どうも「軽いサウンド」のものが多かった気がします⁉

 

そんなクラプトンが、自身の思い入れを込めた渾身のブルース・アルバムを制作するに辺り、従来以上の「重いサウンド」に変化しています!

 

これに関しては、人それぞれの嗜好の違いだと思いますので、「どちらが良い?悪い?」ではないと思いますが……僕個人の好みを言いますと、本作のような「重いサウンド」の方に魅力を感じます♪

 

そういったわけで、僕も大好きなクラプトンの初のブルース・アルバム『From the Cradle』をご紹介したいと思います。

 

 

Eric Clapton – 『From The Cradle』

01.Blues Before Sunrise
02.Third Degree
03.Reconsider Baby
04.Hoochie Coochie Man
05.Five Long Years
06.I’m Tore Down
07.How Long Blues
08.Goin’ Away Baby
09.Blues Leave Me Alone
10.Sinner’s Prayer
11.Motherless Child
12.It Hurts Me Too
13.Someday After a While
14.Standin’ Round Crying
15.Driftin’ Blues
16.Groaning the Blues

 

Personnel:
Eric Clapton – Vocals, Lead Guitar
Roddy Lorimer – Trumpet
Tim Sanders – Tenor Saxophone
Simon Clarke – Baritone Saxophone
Jerry Portnoy – Harmonica
Chris Stainton – Keyboards
Andy Fairweather Low – Guitar
Dave Bronze – Bass
Jim Keltner – Drums

 

アルバムの内容

クラプトン初の全編ブルース・アルバムの1曲目は、気合の入った” Blues Before Sunrise”で始まります!

 

この曲は”How Long Blues”の作者として有名なブルース・ピアニストのリロイ・カーが作曲した名曲です。

 

リロイ・カーと言えば、サイドでギターを弾いていたスクラッパー・ブラックウェルも思い浮かびますね。

 

クラプトンは過去にも、ジミー・コックス作の名曲”Nobody Knows You When You’re Down and Out”をカヴァーしていました。(邦題は「誰もしらない」や「嫌われ者」のどちらかで訳されることが多いです。)

 

この曲は、戦前ブルース界の女帝ベッシー・スミスの歌唱で有名ですが、クラプトンがアンプラグドで演奏する際にスクラッパー・ブラックウェルのアコースティック・バージョンを参考に演奏したのでは?……と思われます。

 

そんなスクラッパー・ブラックウェルの相棒とでも言えるリロイ・カーからクラプトンはも大きな影響を受けているのでしょう。

 

さて、ここでのクラプトンは” Blues Before Sunrise”をリロイ・カーの演奏したゆったりとした雰囲気のピアノ・ブルースのアレンジではなく、1951年にエルモア・ジェームスがカヴァーしたような激しいボトル・ネック・ギターが鳴り響くバージョンで取り上げています。

 

過去にもエルモアの”Sky Is Crying”なんかを取り上げていたクラプトンですので、初のブルース・アルバムの1曲目は、エルモアの熱いバージョンで演奏したかったのでしょう!

 

エルモア印の「ブルーム調」で始まるギターの音は激しく歪んでいます!

 

“I had a Bluuuuu~~es♪”と歌い始めるクラプトンの歌い方は、エルモアを意識したような力んだ歌い方です。

 

なんというか……力みすぎではあります。

 

初のブルース・アルバムということで、気合が入っていたのでしょうが……ちょっとがなるような歌い方は違和感を感じます。

 

それまでのクラプトンと言えば、ギターの上手さとは裏腹に、喉の弱さからくる「あっさりした歌い方」が特徴的でした。

 

しかしこのアルバム以降は、こういった「がなる」ような歌い方が多くなっていきます。

 

これに関しても、好き好きだとは思うのですが……僕はもうちょっと自然体で歌って欲しかったな……と言ったところです。

 

何も無理にエルモアや黒人ブルースマンを意識することなく、「クラプトン流のブルース」でよかったと思います。

 

ギターに関しては、過去の偉人のフレーズを「クラプトン流のブルース」として上手く昇華しているように感じるのですが、ボーカルに関しては……もっと「自分らしさ」を表現して欲しかったかな……と思います。

 

そう言えば、この時期のクラプトンはエルモア・ジェームス風の丸眼鏡まで掛けていましたよね。(笑)

 

ちなみに”Blues Before Sunrise”のギターソロは、スライドギターでエルモア風に弾いています。

 

ギターに関しては、「エルモア風」ではありますが、しかし「クラプトンらしさ」も失われていません!

 

続く2曲目”Third Degree”、ブルース・ピアニストのエディ・ボイドがウィリー・ディクソンと共作した渋いブルース曲です。

 

さすがにスローな曲なので、先ほどの”Blues Before Sunrise”と違って「がなる」ような歌い方はしていません。

 

しかし歌に関しては、少し不安定さも感じますね……。

 

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Ryo
その代わり、ギターに関してはさすが!の上手さです♪

 

この曲ではクリーントーンの綺麗な音色でギターを弾いています。

 

特にメロディーラインを流れるように弾く流麗なギターソロは必聴です♪

 

3曲目”Reconsider Baby”は、”Every Day I Have The Blues”で有名なローウェル・フルソンが1954年に吹き込んだフルソンの代表曲のひとつです。

 

クラプトンも尊敬するB.B.キングもフルソン楽曲を数多くカヴァーしていました。

 

今回はB.B.キングのフィルターを通さずに、直接フルソンの楽曲をカヴァーしています。

 

再び強く歪ませたギターの音色で、原曲通りのイントロを弾き始めます。

 

バックのホーン隊も、当時のブルース・シーンを彷彿させてくれるような演出です♪

 

そして4曲目”Hoochie Coochie Man”は、マディ・ウォーターズの1954年に発表された代表曲です。

 

作曲者は、ブルース・ベーシストのウィリー・ディクソンです。

 

残念ながら、マディの濃い~~ボーカルと比べるとクラプトンの歌は弱すぎますが……その代わりにジェリー・ポートノイの吹くブルース・ハープがジェイムス・コットンやポール・バターフィールドを彷彿させてくれます!

 

クラプトンのギターソロがないのも残念ではあります……。

 

ちなみにその後もクラプトンは”Hoochie Coochie Man”を何度もライヴで演奏しています。

 

1996年の英国ハイドパークで行われたコンサートを映像作品化した『Eric Clapton Live in Hyde Park』でもその様子を見ることが出来ます。

 

 

次の5曲目”Five Long Years”もエディ・ボイドの代表曲です。

 

これまたクラプトンが尊敬するブルースマンのバディ・ガイの得意曲としても知られた名曲です。

 

本作でもクラプトンの気合の入ったギターソロから始まります!

 

およそ48秒ある初っ端のギターソロだけでお腹一杯になりそうなぐらいですね♪(笑)

 

歌はまたしても力みすぎていますが……ギターソロはバディ・ガイもびっくり!なぐらい弾きまくりです!

 

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Ryo
本作のハイライトとも言える名演ですね♪

 

6曲目”I’m Tore Down”は、R&B系ピアニストのソニー・トンプソンが曲です。

 

もちろんクラプトンが尊敬するブルースマンのひとり、フレディ・キングが1961年に発表したのを元に演奏しています。

 

クラプトンは、過去にもフレディ・キングの”Hideaway”や”Have You Ever Loved a Woman”なんかを取り上げています。

 

そもそもレス・ポールのギターにマーシャルのアンプという組み合わせはフレディ・キングが使っていた組み合わせでした。

 

それを見たクラプトンや、同じヤードバーズ出身でレッド・ツェッペリンのギタリストとなったジミー・ペイジが真似するようになりました。

 

そして今では、エアロスミスのジョー・ペリーやガンズ・アンド・ローゼズのスラッシュなんかが使いだし、ロックギターの定番の組み合わせのようになりました。

 

しかしやはり、ロックの先祖はブルースなんですよね!

 

曲調だけでなく、使用機材にまで大きな影響を与えています!

 

さて、クラプトンのカヴァーするブルースマンの曲の中でも、特にフレディ・キングのカヴァー・ソングが一番上手くいってると僕は考えています。

 

この”I’m Tore Down”も、過去の”Hideaway”や”Have You Ever Loved a Woman”の名演と比べても遜色ないような出来です♪

 

ちなみにクラプトンは、70年代にフレディ・キングと何度か共演しています。

 

その様子は『Freddie King (1934~1976)』などで聴くことが出来ます。

 

 

ギターソロだけでなく、クラプトンがバッキングの名人であったことが伺えますね♪

 

7曲目”How Long Blues”は、1曲目でも登場したリロイ・カーの代表曲です。

 

この曲もブルースマンに大人気の曲で、T-ボーン・ウォーカーやB.B.キングなど多くのブルースマンに取り上げられたスタンダード曲です。

 

本作では、クリス・ステイントンの弾くピアノとジェリー・ポートノイの吹くブルース・ハープと共に、クラプトンの弾くリゾネーター・ギターを使ったスライド・プレイが聴けます。

 

一気にバレルハウスに居るようなダウンホームな雰囲気になりますね♪

 

8曲目”Goin’ Away Baby”は、ジミー・ロジャースの1950年の曲です。

 

原曲も、ハンボーン・ウィリー・ニューバーン作の伝承歌”Rolling and Tumbling”のような曲調です。

 

こういった楽曲では、ジム・ケルトナーのキレのあるドラムが大活躍します♪

 

残念ながらクラプトンのギターソロはありません。

 

9曲目”Blues Leave Me Alone”も同じくジミー・ロジャースの曲です。

 

イナタいブルース・ハープと、コロコロなるピアノがレイドバックした雰囲気を演出しています♪

 

しかしまたしてもクラプトンのギターソロはなく、ブルース・ハープのソロのみです。

 

10曲目” Sinner’s Prayer”は、ローウェル・フルソンの1950年の曲です。

 

怪しい雰囲気のピアノのイントロから”Lord have mercy~♪”とクラプトンが気怠そうな歌声で歌い始めます。

 

ここまでの数曲はギターが大人し目でしたが、やっとこの曲でクラプトンのギターソロを聴くことが出来ます♪

 

11曲目”Motherless Child”は、バーベキュー・ボブが1927年の書いたとても古いブルース曲です。

 

クラプトンは、過去にも1971年の名作『461 Ocean Boulevard』の1曲目で取り上げていました。

 

 

その時は、軽快なロックなアレンジでエレキギターでスライドを弾いていました。

 

本作ではアコースティック・ギターを使ってかなり軽快なポップ調で演奏しています。

 

どことなくシスター・ロゼッタ・サープを彷彿させるゴスペル調でもありますね。

 

ただ、どことなく「軽さ」を感じます。

 

12曲目”It Hurts Me Too”は、スライドギターの名手タンパ・レッドが1940年に吹き込んだのがオリジナルです。

 

しかしこの曲をカヴァーするミュージシャンは、みなエルモア・ジェームスのバージョンで取り上げています。

 

それはジミ・ヘンドリックスだけでなく、ここでのクラプトンも同じことです。

 

1曲目の”Blues Before Sunrise”同様に、エルモアを意識した激しく歪むスライドギターを「がなり声」での歌が登場します。

 

無理にエルモア風に歌うよりも……自然体で歌って欲しかったところです。

 

13曲目”Someday After a While”は、これまた”I’m Tore Down”と同じくソニー・トンプソンとフレディ・キングの曲です。

 

先ほどの”It Hurts Me Too”と同じようにギターの音色は激しく歪んでいますが、エルモアを意識しなくっていい分、歌い方は力みすぎ一歩手前……と言ったとこでしょうか⁉

 

聴きどころは、2分59秒から始まるフレディ・キング風の豪快なギターソロです!

 

14曲目”Standin’ Round Crying”は、マディ・ウォーターズの1952年の曲です。

 

かなりマディを意識したスライドギターのイントロで曲が始まります。

 

“Hoochie Coochie Man”といい、なぜかマディの曲ではギターソロを弾いていません……。

 

出来ればジョニー・ウィンターのようにスライドギターを弾きまくって欲しかったところですね!

 

15曲目”Driftin’ Blues”は、ジョニー・ムーアズ・スリー・ブレイザーズの曲です。

 

1945年にチャールズ・ブラウンがピアノ弾き語りで吹き込んでいます。

 

本作ではクラプトンが、カントリー・ブルース風にアコースティック・ギターの弾き語りで歌っています。

 

足でリズムを取る「コツッコツッ」という音がダウンホームな雰囲気ですね♪

 

そしてアルバム最後の曲16曲目”Groaning the Blues”は、ウィリー・ディクソンが書いた曲で、オーティス・ラッシュの「伝説のコブラ録音」で知られる曲です。

 

イントロは、激しく歪ませたギターのチョップ音で始まります!

 

またしてもクラプトンの歌は力みすぎですが……最後の最後に濃い~ブルースの曲をチョイスしていますね♪

 

 

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おすすめ曲は、#1 #2 #3 #5 #6 #12 #13
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やはりクラプトンには、
ギターを弾きまくって欲しいですね♪

 

 

以上、【エリック・クラプトンが本格的にブルースに挑んだ!初のブルース・アルバム『From the Cradle』を聴こう♪】でした。

 

ボーカルはちょっと……と思う個所がいくつかありますが、その代わりギタープレイの方は、さすがは”ギターの神様”と言ったところです。

 

若い頃のクラプトンが必死で聴いてコピーした楽曲がここにあります!

 

最近クラプトンを知って聴き始めた人も、クラプトンのバラード曲やヒット曲を聴いて好きになった人も、もしこのブルース・アルバム『From the Cradle』を未聴でしたらこの機会にぜひとも聴いてみてください。

 

クラプトンがやりたかったこと!がここには詰まっています。

 

アルバム・タイトルの『From the Cradle』の通り、クラプトンのブルースの旅は「揺りかごから」始まっているんですね♪

 

こういった全編ブルース作品を「今」のクラプトンにも作って欲しいところですね……。

 

その場合は『From the Cradle』の続きで『To The Grave(墓場まで)』となるのでしょうか……⁉

 

まるでB.B.キングが最終作で歌ったブラインド・レモン・ジェファーソンの曲”See That My Grave Is Kept Clean”のようで……不吉ですね。

 

しかしあれから20年近く経った今だからこそ『From the Cradle』の第二弾も期待したいところです。

 

 

 

オマケ

1999年に、これまでのブルース系の曲などをまとめた企画盤、その名もずばり『Blues』というアルバムもあります。

 

 

 

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