
2019/03/18
メルヴィン・スパークスの2004年のおすすめ作品『It Is What It Is』を聴こう♪
メルヴィン・スパークスのオルガン系ジャズ・ファンク作品『It Is What It Is』!
スライ&ザ・ファミリー・ストーンの”Thank You”やアベレージ・ホワイト・バンドの”Pick Up The Pieces”も含む傑作!
今回は、僕の好きなジャズ・ファンク系ギタリストのメルヴィン・スパークスが2004年にリリースしたアルバム『It Is What It Is』のご紹介になります。
本作『It Is What It Is』にはスライ&ザ・ファミリー・ストーンの”Thank You”やアベレージ・ホワイト・バンドの”Pick Up The Pieces”にジョージ・ベンソンの”Give Me The Night”などの人気曲のカヴァーも含まれています。
『Groove On Up』だけでなく、本作も素晴らしいアルバムですのでオルガン系ジャズ・ファンク好きの人におすすめしたいと思います!
Melvin Sparks – 『It Is What It Is』
01.It Is What It Is
02.Thank You
03.Charlie Brown
04.A Love Jam
05.Clinton Park
06.Guitar Playah
07.Got The Blues?
08.Pick Up The Pieces
09.Give Me The Night
Personnel:
Melvin Sparks – Guitar
Cochemea Gastelum – Saxophone on Tracks: 03
Joe Herbek – Saxophone on Tracks: except
Adam Scone – Organ on Tracks: 01 & 05
Jeremy Baum – Organ on Tracks: except 01 & 05
Eric Kalb – Drums
アルバムの内容
基本はメルヴィン・スパークスのギターを中心としたサックス入りのオルガン・カルテット作品になります。
ベースはオルガンのフットペダルで弾いているのでベーシストは不参加です。
ギター+アルト・サックス+オルガン+ドラムの4人編成です。
曲によってはオルガン奏者とサックス奏者が交代していますが、特に問題なく通して聴けます。
まずはタイトル・トラックの1曲目”It Is What It Is”は、メルヴィン・スパークス自身の作曲です。
軽快なテンポで演奏されるジャズ・ファンク曲です。
ギターとサックスがユニゾンでマイナー調の渋いメロディーを弾きます。
1曲目からかなりかっこいい曲です♪
メルヴィン・スパークスは、この作品を制作していた時期は既に58歳になっていました。
還暦前なのに、まるで当時流行っていたザ・ニュー・マスター・サウンズやソウライヴのような若手のオルガン系ジャズ・ファンク・バンドが作りそうなオシャレな曲を書いています。
この曲はそれこそザ・ニュー・マスター・サウンズやソウライヴが演奏していても全く違和感ありません!
ということは、もちろんザ・ニュー・マスター・サウンズとソウライヴのファンにもおすすめの作品だと言えます♪
ちなみにザ・ニュー・マスター・サウンズのエディ・ロバーツとソウライヴのエリック・クラズノーは共にメルヴィン・スパークスのことを尊敬しているようで、ギタープレイにもかなり影響を受けています。
特にエディ・ロバーツの方は、生前のメルヴィン・スパークスを共演していたり、メルヴィンの楽曲をライヴでよく取り上げていたり、自身のレコード会社からメルヴィンのライヴ・アルバムをリリースさせていたり…と、色々と親交もあったようです。
さすがにその2人に影響を与えているだけあって、メルヴィンのギターの腕前もピカイチです!
次の2曲目は、スライ&ザ・ファミリー・ストーンの代表曲”Thank You”です。
本作ではベースレスですので、ラリー・グラハムの弾いていたスラップ奏法のパートはありません。
代わりにオルガンがイナタさを演出しています。
メルヴィン流のギターイントロの後、サックスがテーマ・メロディーを吹いています。
サックスソロがイマイチなのですが、その後に続くメルヴィンのお得意のシーケンス・フレーズも交えたメジャー・ペンタトニック中心のギターソロは最高です♪
実はメルヴィンがこの曲を取り上げたのは初めてではなく、1970年のデビュー作『Sparks!』の1曲目にも取り上げていました。
その時はテーマ・メロディーをギターで弾いていました。
当時はちょうどスライの”Thank You”がヒットしていた時期だったことでしょう。
1970年のバージョンも悪くはないのですが、2004年の本作収録バージョンは、少しテンポが速くなり更にグルーヴ感が増しています!
ちなみに2004年から2006年辺りのメルヴィン・スパークスのライヴでもよく演奏されていた曲です。
もちろんライヴではメルヴィン自身がギターでテーマ・メロディーを弾いています。
おそらくこの曲はメルヴィンのお気に入りだったんでしょうね。
3曲目の”Charlie Brown”は、オルガン奏者のロニー・スミスも取り上げていたオルガン系ジャズ・ファンクの定番曲です。
こちらの曲も”Thank You”と同じくデビュー作の『Sparks!』の3曲目に収録されていました。
ちなみに原曲は、コースターズの曲になります。
この曲もお気に入りだったのか、2003年辺りからずっとライヴでも演奏していました。
本作収録バージョンは、原曲よりもテンポを上げてかなりの速さでギターソロを弾きまくっています!
この曲のサックスソロはそこそこ良い感じです♪
4曲目から7曲目までの4曲は全てメルヴィンのオリジナル曲です。
まず4曲目”A Love Jam”は、ミドル・テンポのマイナー調ジャズ・ファンク曲です。
こういった曲調ではマイナー・ペンタトニック中心のブルージーなギターソロを弾いています。
ギターソロの終盤では、しつこいぐらいの繰り返しシーケンス・フレーズやダブル・ストップのグリッサンドを交えたお得意のフレーズ満載です♪
5曲目”Clinton Park”も晩年のライヴでよく演奏されていた曲です。
まぁでもライヴ向けの曲だと思います。
ノリの良いジャズ・ファンク曲なので、ライヴ映えもしますからね♪
本作収録バージョンでは、オルガンソロが大活躍しています♪
6曲目”Guitar Playah”は、メルヴィンがボーカルを取る歌もの曲です。
本来なら”player”のところを、わざと黒人スラング風に”playah”と記載しているのが良いですね♪
これはスペル間違えじゃないですよ。ワザと狙ってやってます。
曲の方は先ほどの”Clinton Park”と似た感じの軽快なジャズ・ファンク曲です。
ただボーカル部分があるという感じです。
メルヴィンはライヴでも、ちょくちょく”Sweet Home Chicago”なんかで歌うことがあるんですが、歌はお世辞にも上手いとは言えません。
この辺は僕の好きなブルース・ギタリストのヒューバート・サムリンと似たところがあります。
歌は決して上手くありませんが、なぜか歌いたがりなんですね。
7曲目”Got The Blues?”は、曲名通りにイントロからメルヴィンのブルージーなギターソロで始まる少し渋いメロディー・ラインの楽曲です。
しかしバックのリズムは、ファンクのリズムで演奏されています。
ギターソロはいつになくシンプルに弾いていますね。
そして8曲目の”Pick Up The Pieces”は、ご存知アベレージ・ホワイト・バンドの代表曲のカヴァーです!
キャンディ・ダルファーなんかもカヴァーしていますし、日本でもジャズ・ファンク系のセッションに行ったりすると定番で演奏されている楽曲です。
ちなみに僕も自身のバンドでこの曲を演奏していたことがあります。
その際は、サックス不在のバンドだったので、あのサックスのテーマ・メロディーをギターで弾きました。
これが、ギターで弾いてみると意外と運指が難しかったりします。
多分サックスだと吹きやすいフレーズだと思うのですが、ギターだと普段使わない斜めに動く様な運指になります。
僕も慣れるまでは、少し戸惑いました。
さすがに今ではスンナリ弾けるようにはなりましたが。
僕自身もこの曲を演奏したことがあるので、実体験から言えることなのですが、セッションなんかでよくこの曲が取り上げられるのは、やはり演奏していて「楽しいから♪」が理由だと思います。
ファンクが好きなら誰しもが知るような有名曲という理由もありますが、しかし一番は演奏する際の「楽しさ♪」だと思います。
この曲のグルーヴでサックスやギターをアドリヴで弾きまくると…とっても心地良いんです♪
そして長めに弾きすぎてしまいバックのリズム隊から「ソロ長いって!早く終わって!」と怒られる曲になります。
ついつい楽しくって弾きすぎてしまう危険な楽曲でもあります。
さて、メルヴィンもこの曲を晩年のライヴでは毎回のように演奏していました。
もちろんライヴとなると、メルヴィンも長尺ソロを弾きまくっています!
ちなみにライヴでは、メルヴィンもサックスのテーマ・メロディー部分をギターでひとりで弾いています。
しかし本作収録バージョンでは、サックスが参加しているので、ギターとユニゾンで弾いています。
原曲キーは、A♭なのですがメルヴィンは半音下のGのキーで演奏しています。
多分Gの方がギターで弾きやすいからだと思います。
でもギターでならどちらでもあまり変わりないような気がしないでもないです⁉
僕は原曲キーのままでカヴァーしていました。
最後の9曲目”Give Me The Night”は、ジョージ・ベンソンの有名曲です。
ベンソン自身もライヴの最後に演奏することが多い名曲ですね♪
メルヴィンはベンソンにも憧れていたようで、この曲以外にも”Breezin'”なんかをライヴでよくカヴァーしています。
“Give Me The Night”も晩年までメルヴィンのライヴの定番曲でした。
ちなみにベンソンのように歌うのではなく、メルヴィンは歌メロ部分もギターで弾いてインストの形でカヴァーしています。
面白いのが、この曲のギターソロ部分でジョン・コルトレーンのフレーズが登場します。
まず1分39秒辺りからちょくちょく弾いている「ジャジャン♪ジャジャ~ン♪」のフレーズは、コルトレーンの『A Love Supreme(至上の愛)』の1曲目”Acknowledgement”のメインのリフです。
そして2分9秒で登場するフレーズは、コルトレーンの1960年のアルバム『Giant Steps』に収録されていた”Mr. P.C.”のメロディー・ラインです。
ベーシストのポール・チェンバースに捧げられた曲なので”Mr. P(Paul).C(Chambers).”なんです。
メルヴィン・スパークスの先輩格に当たるグラント・グリーンも、チャーリー・パーカーやジョン・コルトレーンにソニー・ロリンズなんかのサックス奏者から影響を受けたフレーズを弾くことが多々ありましたが、やはりメルヴィンも同じく影響を受けているのでしょうね。
ちなみにライヴで”Breezin'”を演奏する際には、ソニー・ロリンズの代表曲”St. Thomas”や”The Surrey With The Fringe On Top”のフレーズを弾いていたりもします。
まぁ腕の立つミュージシャンならライヴ中に他の曲のフレーズをあえて弾くのは「お約束」みたいな感じですので、そこまで驚く様なテクニックではないのですが、聴いている方は「あ、あの曲のメロディーだ!」と嬉しくなる、お客さんへのサービスのような感じですね♪
以上、【メルヴィン・スパークスの2004年のおすすめ作品『It Is What It Is』を聴こう♪】でした。
どうしても”Thank You”や”Pick Up The Pieces”のような有名曲に目が行ってしまいますが、メルヴィンの自作曲”It Is What It Is”と”Clinton Park”も素晴らしい出来なので、オルガン系ジャズ・ファンク好きの方におすすめです♪
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