2024/08/16
ミート・パペッツのおすすめアルバムを5作品選んでランキング形式でご紹介!
【第40回】おすすめアルバムを5作品選んでランキング形式でご紹介シリーズ
今も活動を続けるオルタナティブ・ロック・バンド、ミート・パペッツのおすすめアルバムをご紹介!
【おすすめアルバムを5作品選んでランキング形式でご紹介シリーズ】の第40回です。
今回は、ニルヴァーナのカート・コバーンにも大きな影響を与えたオルタナティヴ・ロック・バンド、ミート・パペッツのおすすめアルバムを5枚選んでご紹介します。
ミート・パペッツとは?
ミート・パペッツは、1980年に米国アリゾナ州フェニックスにて結成されたバンドです。
「肉人形たち」という何とも過激なバンド名ですが…。
結成当初のメンバーは、カート・カークウッド(ギター/ボーカル)とクリス・カークウッド(ベース/ボーカル)のカークウッド兄弟とデリック・ボストロム (ドラム)の3人でした。
その後はメンバーの入れ替わりは色々とありましたが、今現在はこの3人に、カート・カークウッドの息子エルモ・カークウッドがギターで、ロン・スタビンスキーがキーボードでツアー・メンバー として参加しています。
1981年に5曲入りEP『In a Car』でデビューしています。
初期の頃は現在と全く違うハードコア・パンクを演奏していました。
1stアルバム『Meat Puppets』は『In a Car』と同じくハードコア・パンク路線でしたが、2ndアルバムの『Meat Puppets II』辺りからブルーグラスやフォーク・ロックの要素が混じり、ごちゃ混ぜのオルタナティブ・ロック・バンドへと変化していきます。
ニルヴァーナのカート・コバーンは、この2ndアルバムを気に入っており、1993年11月18日に行われた『MTV・アンプラグド・イン・ニューヨーク』に出演した際に『Meat Puppets II』に収録されていた”Lake Of Fire”、”Plateau”、”Oh Me”の3曲をカヴァーしていました。
これによってローカルな人気バンドだったミート・パペッツがメジャーな人気を得るようになります。
『MTV・アンプラグド・イン・ニューヨーク』収録後にミート・パペッツは、それまでの独自路線とは違ったヒット狙いのシングル曲が収録されたアルバム『Too High to Die』をリリースします。
この辺りからカート・カークウッドの歌唱力も上がり、聴きやすくなったアルバムが制作されるようになります。
カート・コバーンは『Meat Puppets II』を気に入っていたようですが、この時期のカート・カークウッドの調子の外れた歌い方はかなりクセがあります…。
ニルヴァーナのライヴとかでカート・コバーンが調子外れな歌い方をするのも、若い頃にミート・パペッツを聴いていたので多少なりとも初期のカート・カークウッドの影響を受けてのことでしょう。
しかし次回作となるアルバム『No Joke!』をリリースした後にバンドはクリス・カークウッドの薬物問題で活動を休止してしまいます。
その後、カート・カークウッドは別名義(ロイヤル・ネアンデルタール・オーケストラ)で活動していたのですが、法的な問題で活動名をミート・パペッツ名義に戻しています。
2000年には、クリス・カークウッドとデリック・ボストロム抜きでアルバム『Golden Lies』をリリースしています。
しかし2002年に入ると、ついにミート・パペッツは解散してしまいます。
それからカート・カークウッドは、元ニルヴァーナのクリス・ノヴォセリックと共にアイズ・アドリフトを結成したり、ミート・パペッツ以外の活動を続けていました。
それから数年が経ち、2006年になるとカート・カークウッドが自身のMySpaceページにて「オリジナル・メンバーでの再結成に興味はありますか?」とファンへのアンケートを行います。
このアンケートは好評で、多くのファンがミート・パペッツのオリジナル・メンバーでの再結成に肯定的でした。
しかしこの時期のデリック・ボストロムは、再結成に否定的で、結局この時はデリック抜きでのバンド再開が決定しています。
デリック・ボストロムの代わりにテッド・マーカスを加えて7年振りのアルバム『Rise to Your Knees』を2007年にリリースします。
デリック・ボストロムは不参加でしたが、カークウッド兄弟が久しぶりに揃って活動を再開したことは多くのファンに歓迎されました。
その後デリック・ボストロム抜きで合計4枚のアルバムが制作されましたが、2018年についにオリジナル・メンバーが再集結することとなります。
2019年にリリースされた現時点での最新作『Dusty Notes』は、『No Joke!』以来、実に24年振りとなるオリジナル・メンバーで制作されたアルバムでした。(最新作にはエルモ・カークウッドとロン・スタビンスキー も録音に参加しています。)
『Dusty Notes』以降は、この5年間でまだアルバム・リリースはありませんが、バンドは今も活動を続けています。
それでは今回は、ミート・パペッツのおすすめアルバムを5枚選んでランキング形式でご紹介します。
各種EPやライヴ盤やコンピレーション・アルバムはランキング外ですが、話の流れでご紹介することはあります。
現時点ではミート・パペッツのベスト盤は1枚もリリースされていないのでこちらもランキングには反映されていません。
それでは第5位です。
ミート・パペッツのおすすめアルバムを5作品選んでランキング形式でご紹介!
第5位:Meat Puppets – 『Dusty Notes』
第5位は、現時点での最新作『Dusty Notes』です。
2019年にリリースされた15作目のアルバムで、約24年振りにオリジナル・メンバーが揃って制作されたアルバムです。
再結成後のミート・パペッツのアルバムもどれも悪くない出来だったのですが…ドラムにデリック・ボストロムが戻ってくるだけで、80年代後半から90年代前半のミート・パペッツ全盛期に戻ったかのようです。
1曲目の”Warranty”と9曲目の”Vampyr’s Winged Fantasy”以外で歪んだギターはほぼ登場しないのですが、むしろこのアコースティック・ギター中心のカントリー・ロックこそ今のミート・パペッツにぴったりのイメージです。
もともと3rdアルバムの頃からカントリー・ロックやフォーク・ロックの要素が垣間見えていたので、これはバンドにとって原点回帰の退化ではなく、進化だと言えます。
もし今の時代にカート・コバーンが生きていたとしても、本作のことを気に入っていたことでしょう。
生前にカート・コバーンは、次のアルバムはアコースティック・ギター中心の作品にしたいと語っていたほどですからね。
相変わらずカート・カークウッドの歌唱力は、そこまで高くはありませんが…ギターの腕は上がっており、曲作りの能力も上がっています。
“Sea of Heartbreak”のみドン・ギブソンのカヴァーです。
ベスト・トラックは、タイトル曲の”Dusty Notes”でしょう。
ちなみにバンジョーを弾いているのは、クリス・カークウッドです。
しかしこういったカントリー風味のアルバムには、デリック・ボストロムのドタバタなドラミングが一番合っていますね。
第4位:Meat Puppets – 『Too High to Die』
ニルヴァーナの『MTV・アンプラグド・イン・ニューヨーク』に参加したことで、一般の音楽リスナーからも注目を集めていた中で、ミート・パペッツは過去最高となるポップなアルバム『Too High to Die』をリリースします。
第4位に選んだ本作『Too High to Die』は、1994年にリリースされた8作目のアルバムです。
ニルヴァーナがアンプラグドで取り上げた2ndアルバム『Meat Puppets II』に収録されていた”Lake of Fire”の再録バージョンも本作『Too High to Die』の最後に隠しトラックとして収録され、後にシングルカットもされました。
他にも”Backwater”と”We Don’t Exist”といったキャッチーなロック曲と、ブルージーな”Roof with a Hole”もシングル・カットされています。
かなりわかりやすいキャッチーな曲ばかり続くアルバムですが、一番らしさを感じられるのはアルバム最後に収録されたカントリー・ロックの”Comin’ Down” だったりします。
今回ご紹介する5作品の中でも最も聴きやすいアルバムなので、ミート・パペッツを聴く際に一番最初に聴くアルバムとしておすすめもできます。
しかし…ちょっとヒットを狙いすぎて「らしさを欠いたアルバム」であることも事実です。
この次のアルバム『No Joke!』では更に「らしさ」を欠いて、結果的にはセールス的にも悩まされました。
ミート・パペッツ史上最も聴きやすいアルバムは、この『Too High to Die』です。
第3位:Meat Puppets – 『Forbidden Places』
第3位は、『Too High to Die』の前作にあたる『Forbidden Places』です。
『Forbidden Places』は、1991年にリリースされた7作目のアルバムです。
本作の時点でも、以前より更にポップになっており、聴きやすいアルバムなのですが…次の『Too High to Die』や『No Joke!』ほど売れ選狙いには聞こえない点が好きな理由です。
キャッチーさとオルタナティヴ(反主流)が程よい塩梅で混じったアルバムです。
全曲カート・カークウッドが書いており、「ミート・パペッツらしさ」が感じられる楽曲ばかりです。
“Sam”と”Whirlpool”の2曲がシングル・カットされており、どちらも素晴らしい楽曲です。
“Open Wide”や”Popskull”といった激しく歪んだギターが登場するハード・ロックな曲もあれば、”That’s How It Goes”や”Six Gallon Pie”のようなカントリー・ロック調の曲もある…このごちゃ混ぜ感が最新作『Dusty Notes』には失われていました。
ミート・パペッツの良さって、このごちゃ混ぜ感だと思います。
第2位:Meat Puppets – 『Huevos』
第2位は、1987年にリリースされた5作目のアルバム『Huevos』です。
3rdアルバム以降、カントリー・ロックの要素が前面に打ち出されてハードコア・パンク路線から脱却していったミート・パペッツでしたが、そのカントリー・ロック路線が板についてきた頃の作品です。
アルバム最後の”I Can’t Be Counted On”がシングル・カットされています。
カントリー・ロック調のこの曲は、ミート・パペッツを代表する曲の1つで、ライヴでも頻繁に演奏されています。
ただし、ライヴになるとスピード・アップしてかなりパンキッシュに演奏されることが多いです。
そのバージョンもかっこいいのですが…個人的にはこのスタジオ・バージョンののんびりした感じが好きです♪
謎にスペーシーなダンスミュージック”Sexy Music”やヘヴィーなZ.Z.トップ風ブギロックの”Automatic Mojo”等も含まれていますが、”Paradise”、”Look at the Rain”、”Bad Love”の冒頭3曲のはミート・パペッツの全アルバムの中で最高に心地良い流れです。
初期の名作と呼ぶに相応しい『Huevos』もおすすめしたいアルバムです。
ちなみに”huevo”(ウエーボ)とは、スペイン語で卵を意味します。
本作のアルバム・ジャケットのアートワークには3つの卵がイラストで絵が描かれているので複数形の”huevos”になっています。
このイラストはカート・カークウッド自身が描いています。
一般的には”huevo”は卵の意味なのですが…複数形になるとスラングで「男性の下半身についている2つの丸いもの」の意味になります。
果たして本作のアルバム・タイトルの本当の意味とは…⁉
第1位:Meat Puppets – 『Up on the Sun』
かれこれ20年近く前になるのですが…初めてこのアルバムを聴いた時に、タイトル・トラックの”Up on the Sun”を自分でも弾きたくなってギターを練習しました。
もちろんそこまで難しくないのでコピーすることは出来たのですが、そんなこともあってこのアルバムにはすごく思い入れがあります。
『Up on the Sun』は、1985年にリリースされた3作目のアルバムです。
本作からハードコア・パンク路線が完全に終了して、ほぼ全曲でギターの歪みがないクリーントーンで弾いています。
本作中、最もキャッチーな曲”Swimming Ground”のみシングル化されています。
ちなみに1996年にリリースされた6曲入りEP『Out My Way』には、”Not Swimming Ground”という曲も収録されており、そちらも必聴の名曲です!
この時期のミート・パペッツは、最もこのバンドの良さが出ていた時代だと思います。
この当時のブートレッグのライヴ盤をいくつか聴いたことがあるのですが、本作に収録されている”Up on the Sun”や”Maiden’s Milk”に “Animal Kingdom”、そして “Enchanted Porkfist”といった曲はよく演奏されていました。
『No Joke!』や『Golden Lies』、そして2007年以降の復活作では忘れられかけていたこの当時のカントリー・ロックの要素が、最新作『Dusty Notes』で復活していたのは喜ばしいことです。
出来れば今後のミート・パペッツは、本作『Up on the Sun』や、EPの『Out My Way』に『Huevos』の頃の様なカントリー・ロック中心の路線に回帰して欲しいところです。
以上、【ミート・パペッツのおすすめアルバムを5作品選んでランキング形式でご紹介!】でした。
今回初めてミート・パペッツを知ったという方も、カート・コバーンお気に入りのバンド、ミート・パペッツを聴いてみたかったという人も、ぜひこのブログ記事を参考に各アルバムを聴いてみて下さい。
もしかしたら近いうちに『Dusty Notes』以来となるニュー・アルバムもリリースされるかもしれませんからね⁉
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