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カテゴリー:Music

2021/03/02

実はメルヴィン・スパークスを聴くべき作品!?ロニー・スミスの隠れた名セッション・アルバム『Lenox And Seventh』

オルガン奏者ロニー・スミスとドラム奏者アルヴィン・クィーンが1958年に録音した隠れた名セッション・アルバム『Lenox And Seventh』をご紹介したブログ記事のタイトル画像です。

オルガン奏者ロニー・スミスとドラム奏者アルヴィン・クィーンが繰り広げる濃密セッション『Lenox And Seventh』

フランスのレーベル『Black And Blue』にて吹き込まれた名セッション

オルガン奏者ロニー・スミスは、このブログでもよく登場している名手です。

 

以前、『オルガン奏者ロニー・スミスが60~70年代に残したおすすめのソウルジャズ/ジャズファンク作品!』といった過去の名作をご紹介したブログ記事も書いていたことがあります。

 

オルガン奏者ロニー・スミスが60~70年代に残したおすすめのソウルジャズ/ジャズファンク作品!

また、ロニー・スミスは、同じ鍵盤奏者のロニー・リストン・スミスと名前が似ているためか、近年ではドクター・ロニー・スミスを名乗っていたりもします。

 

このドクター・ロニー・スミスというのも、今回ご紹介しているオルガン奏者のロニー・スミスのことです。

 

ちなみに、つい先日イギー・ポップが2曲で参加した2017年に NY のマンハッタンにある有名ジャズ・クラブ『ジャズ・スタンダード』で行ったライヴ盤『Breathe』をリリースしたばかりでもあります。

 

そんな今も現役バリバリのロニー・スミスなのですが、70年代半ばからは、従来のオルガン・ジャズから少し離れて、ディスコ・ファンク調の軽いアルバムばかりを制作していました。

 

時代の流れに沿った作品だと言えなくもないのですが、僕のようなコテコテのオルガン・ジャズが好きな者としては、不満に感じる作品ばかりでもありました。

 

しかし80年代に入ってからもロニー・スミスは、原点回帰したような録音を残していました。

 

それが今回ご紹介する『Lenox And Seventh』というアルバムです。

 

こちらのアルバムは、ドラム奏者のアルヴィン・クィーンとの双頭リーダー名義でリリースされています。

 

1985年5月28日にフランスのパリで録音された本作は、1968年に設立されたフランスのレーベル『Black And Blue』にてリリースされています。

 

『Black And Blue』というレーベルは、ジャズマンだけでなく、T-ボーン・ウォーカーやヒューバート・サムリンにオーティス・ラッシュ、ジョン・リー・フッカーにルーサー・アリソン、ジョン・リトル・ジョンにマイティー・ジョー・ヤング、マジック・スリムにジミー・ドーキンス等の有名無名の数多くのブルースマンの録音も残しているレーベルです。

 

しかもそのどれもが、隠れた名作と呼びたくなるほどの高いクォリティーの作品ばかりなのです。

 

レーベルの力が弱いためか?知名度こそ低いのですが、本作もその例に沿った隠れた名作でもあります。

 

ちなみにロニー・スミスとアルヴィン・クイーンの双頭リーダー作扱いではありますが…実は本作にはもう1人注目のミュージシャンが参加しています。

 

それがメルヴィン・スパークスです。

 

メルヴィン・スパークスは、このブログでも過去に何度もご紹介していたジャズ・ファンク系の名ギタリストです。

 

ロニー・スミスとアルヴィン・クイーン、更にメルヴィン・スパークスを加えたトリオ編成で録音されたのがこの『Lenox And Seventh』という作品です。

 

それではアルバムに収録された各曲をご紹介したいと思います。

 

 

Lonnie Smith / Alvin Queen – 『Lenox And Seventh』

1985年5月28日に録音された本作『Lenox And Seventh』は、ロニー・スミスとアルヴィン・クイーン、メルヴィン・スパークスのオルガン・トリオで録音されています。

 

同年にレコードでリリースされた際には、全7曲を収録していました。

 

その後、2000年になってからリマスターされたCD盤が発売され入手しやすくなりました。

 

その際にボーナス・トラックとして未発表曲だった”Chopsticks”という曲が8曲目に収録されています。

 

CD化されるにあたって、ボーナス・トラックの追加だけでなく曲順も変更となっています。

 

レコードからCD化される際に曲順が変わったりすることは、よくあることなので、今回は入手しやすいCD盤の曲順でご紹介したいと思います。

 

まず1曲目”L.S. Blues”は、ロニー・スミスが書いたオリジナル曲です。

 

“Lonnie Smith Blues”といった曲名通りに、ロニー・スミスが中心となったジャズ・ブルースが展開される楽曲です。

 

ロニー・スミスの弾くイントロのテーマが終わると、まるでビル・ドゲットの名曲”Honky Tonk”でギターを弾いていたビリー・バトラーかのような出だしのフレーズをメルヴィン・スパークスが弾いています。

 

このフレーズは、コーネル・デュプリーのお得意のスタイルでもありましたが、元はビリー・バトラーの真似をしたものでした。

 

まぁ今となってはジャズ・ブルースを弾くギタリストの定番のフレーズと言えなくもないですね。

 

そんなお決まりのパターンをメルヴィンが披露した後は、ロニー・スミスのオルガン・ソロが続きます。

 

まるでグラント・グリーンかのような繰り返しのシーケンス・フレーズをオルガンで弾き、更には倍音がクセになりそうな濃い~ロングトーンを用いてソロを盛り上げています。

 

もうこの1曲目だけでロニー・スミスが非凡なオルガン奏者であることが窺えますね。

 

続く2曲目”Slightly Monkish”もロニー・スミスのオリジナル曲です。

 

しかし先の、よくあるジャズ・ブルース曲とは違って、こちらはロニー・スミスでしか書くことが出来ないようなオリジナリティのある楽曲です。

 

ロニー・スミスは、90年代になってから近年までに従来のソウルフルなオルガン奏者として復活するのですが…この”Slightly Monkish”という曲は、復活後のロニー・スミスを感じさせる楽曲です。

 

もちろんこの曲でも、バッキングにソロに…メルヴィン・スパークスの存在感が目立ちます。

 

3曲目”Who Can I Turn To?”は、イギリス・ロンドン出身のシンガーソングライター、アンソニー・ニューリーの曲です。

 

デクスタ-・ゴードンやビル・エヴァンスが取り上げたことでジャズ好きには有名な楽曲のひとつです。

 

さすがにビル・エヴァンスの感動的な演奏と比べると、本作の演奏はそこまでに感じてはしまいますが…それでも美しいバラード曲であることに違いはありません。

 

ていうか、天才ビル・エヴァンスと比べるのはあまりにも酷です…。

 

この曲では、いつものブルージー熱いギターソロではなく、まるでケニー・バレルにでもなったかのようなジャジーなメルヴィンのギター演奏を聞くことが出来ます。

 

メルヴィン・スパークスというギタリストの素晴らしいところは、こういったオーソドックスなジャズ演奏であってもそつなくこなすところですね。

 

先に名前を挙げたコーネル・デュプリーやエリック・ゲイルといった名セッションマン達との違いは、こういったジャズ演奏にあります。

 

良くも悪くもコーネル・デュプリーなんかは、ジャズの演奏になるとイマイチでしたからね…。

 

4曲目”Billie’s Bounce”は、チャーリー・パーカーの書いた定番中の定番曲です。

 

素人同士の初心者ジャズ・セッションなんかでも、よく課題曲として取り上げられる楽曲ですね。

 

こういった曲に於いても、メルヴィンはバップなギターソロをそつなく弾いていたりします。

 

5曲目”There Is No Greater Love”もジャズ好きにはお馴染み、アイシャム・ジョーンズが書いた楽曲で、ビリー・ホリデイが歌ったバラード曲です。

 

こういったバラード曲になると、ロニー・スミスの弾く、倍音を吹くんだロングトーンが良い味を出しています♪

 

6曲目”Minor Chant”は、サックス奏者スタンリー・タレンタインが書いたハード・バップ曲です。

 

ジャズ・ファンク曲ばかりやっていた晩年のメルヴィン・スパークスは、16ビートに乗せたファンキーなギター・カッティングしかバッキング時に弾かなくなってしまったのですが、この曲で聴けるように4ビートで刻むスウィングも得意としていました。

 

僕も同じギター弾きとして思うのですが、「ギターソロが上手い人は必ずバッキングも上手い」のです。

 

逆に「バッキングが下手だけどソロは上手い!」人はいません。

 

この曲を聴いていると、メルヴィン・スパークスがいかに腕の立つギタリストであるかが分かると思います。

 

どうしてもギターって派手なソロばかり目立ってしまいますが、上手くバッキングを弾くことは、とても難しいことです。

 

この曲のように「スウィング」したバッキングを弾くのは、かなりの技術なのです。

 

そのバッキングの凄さは、次の7曲目”Oleo”でも聴くことが出来ます。

 

マイルス・デイヴィスが取り上げたことで有名になった難曲”Oleo”は、サックス奏者ソニー・ロシンズが書いた名曲です。

 

この曲に於いても、メルヴィン・スパークスがかなり速いテンポでスウィングするギター演奏を披露しています。

 

残念ながらギター・ソロは弾いていないのですが、このバッキングの上手さだけでもギター好きなら聴く価値ありです!

 

CD盤のボーナス・トラックである最後の”Chopsticks”は、摩訶不思議なオルガンのリフで始まる楽曲です。

 

しかしテーマが始まると、明るめの曲調に変わります。

 

ただ単調な楽曲であるため、当時は外されていたのかな?とも感じます。

 

Ryo@Dixiefunk Lab.の白アイコン
Ryo
おすすめ曲は、1,2,3,6,7

 

以上、【実はメルヴィン・スパークスを聴くべき作品!?ロニー・スミスの隠れた名セッション・アルバム『Lenox And Seventh』】のご紹介でした。

 

ロニー・スミスはとアルヴィン・クイーンの名義ではありますが、メルヴィン・スパークスのバッキングの上手さをぜひ聴いてもらいたいアルバムです。

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