2018/12/24
豪快なテキサス系ブルースギタリスト!ロング・ジョン・ハンターの『Border Town Legend』を聴こう♪
豪快なテキサス系ブルースギタリスト!ロング・ジョン・ハンター
ルイジアナ州出身のテキサス・ブルースマン!
今回ご紹介したいのは、T-ボーン・ウォーカーやアルバート・コリンズやクラレンス・”ゲイトマウス”・ブラウンを彷彿させるような豪快なテキサス系ブルースギタリストのロング・ジョン・ハンターです!
といっても、T-ボーン・ウォーカーやアルバート・コリンズと違ってテキサス出身のブルースマンではないんです。
クラレンス・”ゲイトマウス”・ブラウンのようにルイジアナ州出身だけれども、隣の全米一大きな州テキサス州で活躍したブルースマンです!
本当はアメリカ合衆国で一番大きな州はアラスカ州なのですが……ちょっと場所が離れちゃうので、北米大陸の中では一番大きな州がテキサス州ってことになります。
ちなみに第二の州はロサンジェルスやサンフランシスコなど魅力的な町がたくさんあるカリフォルニア州になります。(アラスカ州を含めた場合は、三番目に大きい州)
テキサス州は、フロリダ州と同じく北米大陸の最南端に位置する州です。
ちょうどメキシコとの「国境の州」ということになります。
なので、今回ご紹介する作品はロング・ジョン・ハンターが1996年にリリースした『Border Town Legend』というアルバムです。
“border town”というのは「国境の町」という意味です。
その「国境の町」に住む「ブルース・レジェンド」と言ったとこでしょうか!?
ロング・ジョン・ハンターというブルースマン!
ロング・ジョン・ハンターは、1953年に初録音をしてデビューしています。
しかし1988年になるまでは、前回ご紹介していたジョディ・ウィリアムスのようにリーダーアルバムはありませんでした。
シングル盤はいくつか残しています。
オーティス・ラッシュにも影響を与えた!?不遇だったブルースマン、ジョディ・ウィリアムスが2000年代に制作した2枚のアルバム!
前回書いていた「あのブルースマン……なんだったけな??ジョン・リトルジョンじゃなくって……ロング・ジョン・ハンターでもなくて……え~~っと」の部分で登場していたのですが、「ロング・ジョン・ハンター」は僕が勝手にブルースマンぽい名前で書いていたのじゃなくって実在の人物です!(笑)
ちなみに初期の録音は『Ooh Wee Pretty Baby!』というコンピレーション・アルバムで聴くことが出来ます。
ロング・ジョン・ハンターは、1988年に今回ご紹介するアルバムと似たタイトル名の初のリーダー作『Texas Border Town Blues』をリリースした後は、2009年までに2~4年に一度のペースでアルバムを制作しています。
特に90年代は6枚のアルバムを制作するなど、絶好調でした!
今回ご紹介する『Border Town Legend』は、アルバート・コリンズやハウンド・ドッグ・テイラーにフェントン・ロビンソンやジョニー・ウィンターでもお馴染みの、アリゲーター・レコード移籍後第二弾のアルバムです。
1996年にリリースされた本作は90年代に入ってから3作品目に当たります。
この後、2000年になるまでに更に3作品制作しているので、ロング・ジョン・ハンターにとってこの時期が一番の全盛期と言ってもいいでしょう。
ちなみにこの作品から20年後の2016年にロング・ジョン・ハンターは84歳の生涯の幕を閉じることになります。
つい先日亡くなったオーティス・ラッシュやジョディ・ウィリアムスも83歳で亡くなっていますね……。
ロング・ジョン・ハンターは、彼らよりも4歳ほど年上になります。
それではアルバムのご紹介をしたいと思います。
Long John Hunter – 『Border Town Legend』
01.T-Bone Intentions
02.Ice Cold
03.Ole Red
04.Marfa Lights
05.Nasty Ways
06.Grits Ain’t Groceries
07.Arkansas
08.Rooster and the Hen
09.Lone Star Shootout
10.Everybody Knows
11.Road Hog
12.John’s Funk
Personnel:
Long John Hunter – Vocals Guitar
Art Lewis, Kaz Kazanoff – Tenor Saxophone
Keith Winking, Martin Banks – Trumpet
Red Rails – Baritone Saxophone
D.B. Cooper – Organ
Johnny Nicholas – Piano
Joseph J. Kelly, Michael Henry Martin, Derek O’Brien, Jake Andrews- Guitar
Dave Keown – Bass
Sarah Brown – Bass on Track 07
Kevin Taylor – Drums
アルバムの内容
1曲目の”T-Bone Intentions”から豪快なテキサス・ブルース全開です!
勢いのある元気な曲でアルバムが始まります!
曲名通りに同地のレジェンド、T-ボーン・ウォーカーに敬意を表した派ではホーン隊が登場する軽快なブルース調になっております。
“Intention”とは「(哲学的な)志向」を意味します。
ロン・ジョン・ハンターのギターは、まるでアルバート・コリンズ風の切れ味抜群な鋭利な音です。
ボーカルの方は、なのとも特徴のある甲高いモッチャリ声です。
なのにどこかあっさりしていてアクがないので聴きやすいのですが……パワー不足でもあります。
ギターの方はパワフルなんですがね!!!!(笑)
なので、渋いマイナー・ブルース系の曲よりも、ロン・ジョン・ハンターの歌う曲は明るい曲調が多いんです。
2曲目の”Ice Cold”も、T-ボーン・ウォーカーの”Cold, Cold Feeling”やアルバート・コリンズの”Frosty”のような「寒い系」シリーズの曲名です。(笑)
テキサスは暑い地域だからこういった「寒い系」の曲名を付けるのでしょうか!?(笑)
曲のイントロは、まるでT-ボーン・ウォーカーの”Stormy Monday”のようなオーギュメント・コードで始まっています。
“Stormy Monday”はキーGなのでDのオーギュメント・コードが使われていますが、この曲では1音下がってキーFなのでCのオーギュメント・コードが使われています。
曲調も俗に言う「ストマン進行」のスロー・ブルースです。
この「ストマン進行」は、実はT-ボーンが最初ではなくボビー・”ブルー”・ブランドのギタリストだったウェイン・ベネットが考えたものだとも言われています。
どちらにしろ、3コードのブルースとは違ったオシャレで洗練された曲調になる良いアレンジだと思います♪
それでいて、最悪マイナー・ペンタトニック・スケールだけでも弾けるっていう初心者にも優しい曲調でもあります。
3曲目”Ole Red”は明るく元気な曲です。
イナタくブロウするサックスの音色がいかにもテキサス風です!
アーネット・コブが登場しそうな雰囲気です♪
ロング・ジョン・ハンターのギターソロも絶好調です!
チキン・ピッキング風のスタッカート気味のフレーズも登場します!
歌は特徴的すぎますが……ギターの方はアルバート・コリンズんび負けず劣らず!と言ったところです。
4曲目”Marfa Lights”は、落ち着いたスロー・ナンバーですが、暗くなりすぎないのがロング・ジョン・ハンターの良いところでもあります。
ゆったりとしたリズムにアクのないロング・ジョン・ハンターの歌が聴きやすく感じます。
あまりにもマイナー調で喰らいブルースだと、毎日聴くにはきつく感じるときがありますからね……。
5曲目”Nasty Ways”も楽しくシャッフルする曲です。
6曲目”Grits Ain’t Groceries”は、リトル・ミルトンが1969年に歌った代表曲のひとつでソウルフルなブルース曲です。
リトル・ミルトンのバージョンほどファンキーなアレンジではないのですが、ロング・ジョン・ハンターの高めの歌声にマッチしています。
この曲ではダーティーにブロウするサックスソロが聴き所です♪
7曲目”Arkansas”は、テキサス州とルイジアナ州のどちらにも面したアーカンソー州を歌った曲です。
ダイナミックに弾くだけでなく、あえて音量を小さくセーブした優しいピッキングでギターソロを弾いています。
この辺はまるでテキサス・ギター・ヒーローのスティーヴィー・レイ・ヴォーンのようでもあります。
8曲目”Rooster and the Hen”は、”rooster(おんどり)“や”hen(めんどり)“という曲名通りに、チキン・ピッキングのイントロから始まります。
9曲目”Lone Star Shootout”は、イントロのロールするピアノの直後にロン・ジョン・ハンターが「ヒ~ハ~♪」と、どこかのM1チャンピオンのように叫びます。(笑)
歌はなく、メンバー紹介なんかもしながらロン・ジョン・ハンターがMCをする形のインスト曲です。
ライヴの1曲目とかにやったら盛り上がりそうな曲ですね♪
ロン・ジョン・ハンターの次に名前を紹介されてギターソロを弾くデレック・オブライエンやジョセフ・J・ケリーという人物がなかなかの腕前だったりします!
僕らが知らないだけで、その地域地域の腕の立つローカル・ミュージシャンって多くいるもんですね。
10曲目”Everybody Knows”と、少しジョン・リー・フッカー風の11曲目”Road Hog”はどちらも少し渋いミドルテンポのブルース曲です。
そしてアルバム最後の12曲目”John’s Funk”は、曲名通りにファンキーなインスト曲です。
アップテンポの曲ではなく、ミドルテンポでゆったりとグルーヴするファンキー・ブルースです♪
バックの演奏陣のグルーヴィーな演奏に乗せてサックスやギターがソロを弾きます!
以上、【ロング・ジョン・ハンターの『Border Town Legend』】のご紹介でした。
T-ボーン・ウォーカーやアルバート・コリンズやクラレンス・”ゲイトマウス”・ブラウンといったテキサスで活躍したブルースマンのように、豪快だけれども野暮ったくなくどこか洗練されたブルースマンです。
ボーカルは、T-ボーン・ウォーカーに遠く及びませんが……ロング・ジョン・ハンターのギターの腕は本物です!
豪快なブルースギターと明るく楽しい曲調を聴きたい方におすすめですよ♪
もちろんアルバート・コリンズのブルースが好きだって人にもおすすめです!
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