2018/12/21
ロバート・ビルボ・ウォーカーの1998年の名作『Rompin’ & Stompin’』を聴こう♪
マディ・ウォーターズやハウリン・ウルフのカヴァー曲を含むゴキゲンなアルバム『Rompin’ & Stompin’』
昨年惜しくも亡くなったブルースシンガー/ギタリストのロバート・ビルボ・ウォーカー
今回ご紹介するのは、昨年惜しくも亡くなったブルースシンガー/ギタリストのロバート・ビルボ・ウォーカーです。
ギターの弾き方は、前回ご紹介していたカール・ウェザーズビーのように、親指と人差し指を軸にした指弾きで弾いています。
ブルースだけでなくソウルやR&Bも!カール・ウェザーズビーの2000年の名作『Come to Papa』
ただテクニック的には、カール・ウェザーズビーのように上手いギタリストではありません。
リズムもズレることが多いですし、音程もよく外します。
単純な「上手い、ヘタ」で言うと、ヘタなギタリストです。
しかしどこか抜けた歌声とマッチしている雰囲気で聴かせるブルースマンだと思います。
単体でギターだけを聴くと、カール・ウェザーズビーのように他のミュージシャンのサポートを出来るような腕前はありませんが、しかし自分で歌う曲調にはマッチしているので、自身がリーダーを務める作品として聴いた場合はテクニック不足もそこまで気にならないかと思います。
むしろそのすっとボケたような歌い方に合ったギターを弾いていると思います。
これが逆に、あの歌声なのにテクニカルに弾きまくるギターだとしたら、ミスマッチになるかもしれませんね。
ちなみにロバート・ビルボ・ウォーカーは、昨年亡くなってしまったのですが、生涯で3枚のアルバムしか残していません。
作品として聴く場合には、なかなか楽しいアルバム作りがされているのでもう少し多くの作品を残してもらいたかったな~と残念に感じますね。
それでは今回は、気軽に聴きたい1998年にロバート・ビルボ・ウォーカーがリリースした2作目『Rompin’ & Stompin’』をご紹介したいと思います。
Robert “Bilbo” Walker – 『Rompin’ & Stompin’』
01.Baby How Long
02.Take Yo’ Hand Off a Me
03.Mustang Sally
04.Cut You a Loose
05.Something on Your Mind
06.Mel’s Hideaway
07.Shake for Me
08.Moanin’ at Midnight
09.Still a Fool
10.Mystery Train
Personnel:
Robert “Bilbo” Walker – Vocals, Guitar
Clarence Walker – Guitar
Jeff Henry – Bass
Chris Millar – Drums
Recorded: November 22, 1997.
Released: April 14, 1998.
アルバムの内容
1曲目”Baby How Long”からいきなりハウリン・ウルフの曲で元気よく始まります!
この作品には、合計で3曲ウルフのカヴァー曲が収録されています。
その際に「C. Burnett」とクレジットに記載があるのですが、これはウルフの本名チェスター・バーネットのことです。
さすがに原曲には遠く及びませんが……しかしジミー・リード風なお気楽ごくらくな演奏は悪くないです。
2曲目”Take Yo’ Hand Off a Me”は、”Got My Mojo Workin'”風の曲です。
ていうか、歌詞を替えただけな気がしなくもないです。
まぁこれ系の曲はエルモアの「ブルーム調」と同じくブルースの定番なので仕方ないですよね。
3曲目”Mustang Sally”は、サー・マック・ライスが書いた人気のR&B曲です。
ウイルソン・ピケットが歌って有名になった曲です。
バディ・ガイなど、ソウルフルでファンキーなブルースマンもよく取り上げる人気曲です。
この曲自体のもともとの明るい曲調がロバート・ビルボ・ウォーカーにピッタリの雰囲気なので、選曲が上手くいってますね。
4曲目”Cut You a Loose”は、ジェームス・コットンやオーティス・ラッシュにバディ・ガイも取り上げたファンキーなブルース曲です。
本作では、ジョン・リー・フッカーような重いブギ風のアレンジで演奏しています。
5曲目”Something on Your Mind”は、ロサンゼルス出身のサックス奏者ビッグ・ジェイ・マクニーリーの1959年の曲”There Is Something On Your Mind”のことです。
僕はこの曲を聴くと、どうしてもプロフェッサー・ロングヘアのニューオーリンズ風セカンドラインのアレンジが思い浮かびます。
こういたゆったりとした曲もロバート・ビルボ・ウォーカーのキャラクターにマッチしています♪
6曲目”Mel’s Hideaway”は、フレディ・キングの”Hideaway”をアレンジした(というかちゃんと弾けなかっただけかも?)曲です。
正直、ロバート・ビルボ・ウォーカーのギターの腕前はイマイチです。
こういったインスト物では、その技術力の足りなさが浮き彫りになるので、少しキツイ部分もありますね。
ロバート・ビルボ・ウォーカーの場合は、歌ありき!のギタープレイだと思います。
7曲目”Shake for Me”と8曲目の”Moanin’ at Midnight”は、2曲続けてハウリン・ウルフの代表曲のカヴァーです。
こちらの2曲は、なかなか良い感じに演奏しています!
特に”Moanin’ at Midnight”の方は、かなりウルフを意識して力強く歌っています!
9曲目”Still a Fool”は、マディ・ウォーターズの曲です。
こういったミドルテンポの渋いブルースもロバート・ビルボ・ウォーカーには割りとあっています!
インスト物などのギターをバリバリ弾く系の曲では実力を発揮できていませんが、歌の方はなかなか渋い歌声なのでウルフやマディの曲調に合っています!
10曲目”Mystery Train”は、もちろんエルヴィス・プレスリーで有名なあのロックンロール曲です!
本作ではどことなくR.L.バーンサイドを彷彿させるようなミシシッピ・ヒル・カントリー・ブルース風のビートで演奏しています。
以上、全10曲【ロバート・ビルボ・ウォーカーの1998年の名作『Rompin’ & Stompin’』】のご紹介でした。
“Mel’s Hideaway”のクレジットには”R. Walker”と記載がありますが、これはフレディ・キングの曲のアレンジなので、ロバート・ビルボ・ウォーカー自身のオリジナル曲はこの作品には収録されていません。
しかし全編ロバート・ビルボ・ウォーカーの無骨だけど不思議とオリジナリティが感じられる演奏が繰り広げられている作品だと言えます。
重苦しく暗い曲が収録されていないので、気軽に楽しくブルースを聴きたいときにおすすめです♪
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