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カテゴリー:Music

2018/12/25

シチューの中にクモが入ってる⁉バスター・ベントンの『Spider In My Stew』を聴こう♪

ウィリー・ディクソンズ・ブルース・オールスターズの一員だったブルース・ギタリストのバスター・ベントン

アーカンソー州出身のシカゴ・ブルースマン!

前回ご紹介していたロング・ジョン・ハンターよりも1歳年下のブルース・ギタリスト、バスター・ベントンの1978年デビュー作『Spider In My Stew』をご紹介します。

 

たまたま前回ご紹介していたロング・ジョン・ハンターの作品『Border Town Legend』の7曲目に”Arkansas”という曲が収録されていたのですが、アーカンソー州はテキサス州とルイジアナ州のどちらにも面した州です。

 

豪快なテキサス系ブルースギタリスト!ロング・ジョン・ハンターの『Border Town Legend』を聴こう♪

全米で唯一のダイヤモンド鉱山のある州でもあります。

 

ミシシッピ川の西に広がるこの地は、「自然の州」と呼ばれていて、その名の通りに豊かな自然が広がる州でもあります。

 

この州だけでも国立公園が5つ、州立公園が48も存在しています。

 

州名の「アーカンソ-」という言葉は、アメリカン・インディアンのクアポー続の言葉「下流の人々」に由来していると言われています。

 

“Arkansas”というスペルを見たら、僕ら日本人がローマ字読みすると「アーカンサス?」と呼んでしまいそうになるのですが……あながち間違いでもないようです。

 

この地は1803年にルイジアナ買収によってアメリカ領となるまで、フランスやスペインの統治下にありました。

 

そのため地名を表すスペルが何度も変わっています。

 

1881年の州議会で”Arkansas”と書いて「アーカンソー」と発音することが決められたぐらいです。

 

しかしこの州にある同名の川に関しては”Arkansas”と書いて「アーカンザス」と発音します。

 

なので、ローマ字読みしてもあながち間違いではないのかな?……といったところですね。

 

……と、普通ブルースマンをご紹介するのに、アメリカの州の説明なんてする必要ないのですが……。(笑)

 

そんな地に生まれ育ったバスター・ベントンですが、1950年代の多くはオハイオ州で過ごしたようです。

 

 

バスター・ベントンというブルースマン!

 

オハイオ州と言えば、オハイオ・プレイヤーズですね!(笑)

 

【ファンクおすすめの名盤シリーズ①】オハイオプレイヤーズの名盤3選+α

その頃に、ソウルシンガーのサム・クックや、この時代の多くのブルース・ギタリスト達と同じようにB.B.キングの影響を受けるようになりました。

 

そして1959年になり、当時のブルースの中心地であったシカゴに移住することになります。

 

それから何年もの間、シカゴで研鑽を積んでいたようです。

 

1971年になった頃に転機が訪れます。

 

ウィリー・ディクソンズ・ブルース・オールスターズへ参加することになりました。

 

ウィリー・ディクソンは、ブルース・ベーシストでありながら才能あるコンポーザーでもありました。

 

マディ・ウォーターズやハウリン・ウルフなど、多くのブルースマンに楽曲提供をしています。

 

そのウィリー・ディクソンの書いた楽曲”Spider in My Stew”をリードトラックとして制作されたのが、今回ご紹介するバスタ・ベントンの1978年のデビュー作『Spider In My Stew』になります。

 

ちなみにバスター・ベントンは1993年に血行不良の疾患が原因で片足を切断することになってしまいます。

 

しかしそれから1996年に亡くなるまでの3年間も活動は続けていたようです。

 

前回ご紹介していたロング・ジョン・ハンターの作品がたまたま1996年に制作されたアルバムだったのですが、2016年に亡くなったロン・ジョン・ハンターよりも20年前に63歳でバスター・ベントンは亡くなっています。

 

それでは、そんなバスター・ベントンのデビュー・アルバム『Spider In My Stew』をご紹介したいと思います。

 

 

Buster Benton – 『Spider In My Stew』

01.Spider in My Stew
02.Sweet 94
03.Born With the Blues
04.Love Like I Wanna
05.Leave Me Alone
06.Sorry
07.Funny About My Money
08.Lonesome for a Dime
09.Do It in the Rain
10.Disco Blues
– Bonus Track –
11.Dangerous Woman
12.Going Fishin’
13.Money Is the Name of the Game
14.Good To The Last Drop

 

 

アルバムの内容

オリジナルのLP盤では、10曲目までが収録されています。

 

他の4曲はCD化の際のオマケ音源です。

 

なので、オリジナルの10曲を中心にご紹介したいと思います。

 

1曲目がウィリー・ディクソン作の”Spider in My Stew”です。

 

この曲だけ他の収録曲とは雰囲気の違うマイナー調のブルースなのですが、ディクソンが書いているからなんですね。

 

他の曲は、全てバスター・ベントンが書いた曲のようです。

 

1978年の時代性もあったとは思うのですが、そもそもサム・クックに憧れていたためか1曲目以外はソウル系のブルース曲が多いです。

 

良くも悪くも時代性を考えると少し古いブルース・ナンバーだとは感じなくもないですが……しかしそこはウィリー・ディクソンのプロデュースのお陰でデビュー作を制作できたから!ってこともあるのでしょうか。

 

しかし”Spider in My Stew”という「俺のシチューの中にクモがはいってるぜ!」という何とも侘しい曲名は、いかにもブルースな感じですね!

 

おそらく”my stew”が「俺の恋人」を暗喩していて”spider”とは「ドロボウ猫」じゃないですが、「間男」を表していると思います。

 

他にも”spider”には「どんちゃん騒ぎ」や「スラム街」という意味もあります。

 

ディクソン作の曲は、”Back Door Man” のように「浮気」を隠喩で何かに例えて取り扱ったものが多いです。

 

ちなみにハウリン・ウルフが歌って、その後ドアーズがカヴァーして有名になったディクソン作の曲”Back Door Man” とは、主人が留守中に人妻と浮気する間男が裏玄関から逃げていくという物語です。

 

サン・ハウスがインタビューで言っていたことなのですが、「ブルースってのは簡単なことだよ。”男と女”これがブルースなんだよ!」とはまさにこのことだと思いました。

 

なんしか「浮気」、「間男」、そして「朝起きたら恋人が出て行ってた!寂しいよ~ウ~~~ン」がひとつのパターンでもありますね。(笑)

 

世俗を歌ったからこそ、大衆音楽として受け入れられたんでしょう。

 

さた、B.B.キング風のスクィーズ・ギターで始まるこの曲は、まるでオーティス・ラッシュが歌いそうなマイナー・スロー・ブルースです。

 

悪くはないですが、なんとなくギターのピッチが悪いような……アルバム全体に言えるのですが、チューニングが甘いような気がします……。

 

チョーキングの音程も不安定です……。

 

B.B.キングのようにバッチリ!と決まってないです。

 

この辺にバスター・ベントンが一流になれなかったことが現れていると思います。

 

やはりギターのチューニングは、めちゃくちゃ大事ですよ!

 

野村ギター商会に出演していたローリーさんも、チューニングは一番大事!っておっしゃてましたからね。

 

当たり前のことですが、音のピッチはミュージシャンにとって「出来て当たり前!」のことだと思います。

 

次の2曲目”Sweet 94″からベントンの曲になります。

 

いきなりサム・クック風のソウルナンバーに変わります。(笑)

 

本当はこれがベントンのやりたかったことなんだろうな~と言ったとこでしょうか。

 

軽快なソウルナンバーで、ギターソロすらありません。

 

ソロを取るのはロン・スコットというサックス奏者で、エレクトリック・サックスのエフェクター音を使ってまるで「のどをごろごろ鳴らす」ようなユニークな音でソロを吹いています。

 

個人的には、わりと好きな曲です。

 

3曲目”Born With the Blues”は、「ソウルも好きだけれども、俺はやっぱブルースマンなんだよ!」と言った具合にスロー・ブルースが始まります。

 

しかしディクソン作の濃い~”Spider In My Stew”と比べると、ややあっさりしています。

 

塩加減が足りなかったのでしょうか?(笑)

 

喉を張って歌ったときの歌唱法がサム・クックを意識しているように感じます。

 

さすがにサム・クックの域には到底達してはいませんが……影響受けているってことは感じられます。

 

4曲目”Love Like I Wanna”、5曲目”Leave Me Alone”となんとなくバディ・ガイが歌いそうなロック風味の軽快なブルース曲が続き、6曲目”Sorry”でマイナー・キーの落ち込んだ曲に移ります。

 

そして落ち込んだ気分を変えて7曲目”Funny About My Money”で再び軽快なソウル風ブルースナンバーが始まります。

 

というか、ブルースマンというよりもR&Bシンガーが歌っても良さそうな曲調ですね。

 

8曲目”Lonesome for a Dime”もサム・クックやオーティス・レディングが歌いそうなバラード曲です。

 

キャリー・ベルのブルースハープがギリギリブルース風味を付け加えてくれています。

 

ギターソロもないですからね……。

 

9曲目”Do It in the Rain”は、再びバディ・ガイ風のブルース曲です。

 

そして10曲目”Disco Blues”は、1978年当時のディスコ・ブームに併せたような曲名ですが、ああいったダンスフロア向けの曲調ではなくソウルフルなR&B調の曲です。

 

それこそ曲名に”Blues”とも付いていますが、ほぼブルースではない曲です。

 

これまたギターソロすらありません。

 

 

Ryo@Dixiefunk Lab.の白アイコン
Ryo
おすすめ曲は、#1 #2 #4 #7 #10

 

以上、【シチューの中にクモが入ってる⁉バスター・ベントンの『Spider In My Stew』】のご紹介でした。

 

ウィリー・ディクソンのバンドにいたからと言って、ガッチガチのブルースを演奏したアルバムではありません。

 

どちらかって言うと、サム・クックを意識したかのようなソウル系の楽曲が多く収録されています。

 

なので、ズッカズッカ♪と重いビートでシャッフルする純粋なブルースを聴きたいって方には、少し違うかもしれません……。

 

むしろ古い時代のR&Bが好きで、でもちょっとブルースも聴いてみたいな?って方や、純粋なシャッフル・ブルースに飽きてしまって、ソウルフルなブルースも聴いてみたいかな?といった人におすすめです!

 

ギターもそこまで活躍する作品ではないです。

 

そもそも腕前もイマイチ……ではあります。

 

ギターにこだわらない、楽曲中心のソウルフルなブルース作品を聴きたいって方におすすめします!

 

 

 

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