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カテゴリー:Music

2018/12/22

オーティス・ラッシュにも影響を与えた!?不遇だったブルースマン、ジョディ・ウィリアムスが2000年代に制作した2枚のアルバム!

オーティス・ラッシュにも影響を与えた!?不運のブルースマン、ジョディ・ウィリアムス

今回ご紹介するのは、ちょっとマニアックだけれども、ブルースが好きだったら名前ぐらい聞いたことがある!?といった感じの「不運のブルースマン、ジョディ・ウィリアムス」についてです。

 

 

ジョディ・ウィリアムスって誰??

惜しくもつい先日の2018年12月1日に83歳で亡くなってしまったジョディ・ウィリアムスなのですが、そのブルースマンらしからぬ地味(?)な名前のせいか、とても印象に残りにくい感もあります。

 

かくいう僕も、今回このブログ記事を書く事前準備の際に「え~~と…あのオーティス・ラッシュの”All Your Love (I Miss Loving)”の原曲を書いてたあのブルースマン…なんだったけな??ジョン・リトルジョンじゃなくって…ロング・ジョン・ハンターでもなくて…え~~っと」てな感じでした。

 

どこにでもいそうな名前なのでなかなか思い出せなかったです。

 

なんとなく映画俳優っぽい名前ですもんね!?

 

もう先に書いてしまったんですが、オーティス・ラッシュが1958年に伝説のコブラ録音で世に放ったブルースの名曲のひとつ”All Your Love (I Miss Loving)”は、実はジョディ・ウィリアムスが1957年にシングルリリースした”You May”のB面曲”Lucky Lou”が元になっています。

 

なので、実質”All Your Love (I Miss Loving)”を書いたのはジョディ・ウィリアムスと言えなくもないです。

 

またこのA面に収録されていた”You May”という曲なのですが、バディ・ガイのデビュー作”Sit and Cry (The Blues)”に参加しているオーティス・ラッシュが弾くギターソロが、前年にジョディ・ウィリアムスがシングル盤”You May”で弾いたフレーズとそっくりなんです!

 

ブルースが好きなら誰もが知るオーティス・ラッシュが、実はこんなマニアックなブルースマンに影響を受けていた!というおもしろ話があったので、今回ご紹介したいなって思いました。

 

残念ながら、ジョディが亡くなる3ヶ月ほど前にオーティス・ラッシュも亡くなってしまいました…。

 

今年は僕の好きなブルースマンが続々と亡くなっていって哀しいです。

 

ジョディ・ウィリアムスを思い出すきっかけは、ハウリン・ウルフ!

 

さて、そんな地味な名前のジョディ・ウィリアムスを思い出したきっかけが僕の大好きなブルースマン、ハウリン・ウルフでした!

 

僕は自分もギターを弾くので、どうしてもブルース・ギタリストを中心にブルースを聴きます。

 

そんな中でもハウリン・ウルフの右腕とも言えるヒューバート・サムリンのギタープレイに個人的に凄く影響を受けました。

 

なので、ハウリン・ウルフの曲はいくつか20代の頃にやっていたブルースバンドでカヴァーしたことがあります。

 

しかしヒューバート・サムリンがウルフのバンドに参加する以前は、他のギタリストがギターを担当していました。

 

しかもかなりの腕前のブルース・ギタリストが参加していました!

 

個人的にはヒューバートのギタープレイが好きなのですが、単純なテクニックだけでギターを語るなら、前任者の方が遙かにしっかりとギターを弾いていました!

 

ヒューバートのギターはニュアンス第一!ですからね。

 

そんな初期のウルフの多くの曲でギターを弾いていたのが、このジョディ・ウィリアムスです!

 

テクニック的にはとてもしっかりと弾いている印象なのですが、…地味なんです。

 

ヒューバートのように一度聴けば「あ、これヒューバートだ!」とわかるよう特徴があるわけでもなく。

 

しかも名前も”Hubert Sumlin”なんていう他にいなさそうな変わった名前ではなく、”Jody Williams”なんていう同姓同名がたくさんいそうな、すぐに忘れてしまいそうになる名前です。

 

地味なんですが、さすがにオーティス・ラッシュに影響を与えたぐらいの腕前は持っています!

 

ちなみにウルフの録音では”Baby How Long”や”Forty Four”や”I’ll Be Around”に”Who Will Be Next”、”Moanin’ For My Baby”などでギターを弾いています。

 

“Baby How Long”は、こないだ紹介していたロバート・ビルボ・ウォーカーの1998年の名作『Rompin’ & Stompin’』でも1曲目に選ばれていましたね。

 

ロバート・ビルボ・ウォーカーの1998年の名作『Rompin’ & Stompin’』を聴こう♪


個人的におすすめしたいジョディ・ウィリアムスが参加したウルフの曲は”I’ll Be Around”です!

 

ウルフの名作『More Real Folk Blues』の4曲目に収録されています。

 

 

他にもウルフ以外では、サニー・ボーイ・ウィリアムソンⅡ世(ライス・ミラー)の代表曲”Don’t Start Me Talkin'”でもギターを弾いています。

 

 

この記事の初めの方で「ブルースが好きだったら名前ぐらい聞いたことがある!?」と書いたのはウルフなど多くのブルースマンの作品に参加してクレジット表記されているからです。

 

 

不運のブルース・ギタリスト!?

しかし影響を与えたオーティス・ラッシュと違い、ジョディ・ウィリアムスの方はアルバム制作をする機会に恵まれなかったようです。

 

シングル盤こそ1956年~1966年の10年の間に6枚ほど制作していますが、自身がリーダーのアルバムは1枚も残されていません。

 

6枚のシングルといっても、”Lonely Without You” は合計3回もシングル盤でリリースされています。

 

そのうち2回はB面曲まで同じなので、実質4.5枚ぐらいですかね…。

 

そんな不遇だったブルース・ギタリストのジョディ・ウィリアムスが、2000年代に入ってからついに初のリーダー作を制作することになります。

 

今回はその2作品についてご紹介したいと思います!

 

Jody Williams – 『Return of a Legend』

ルバム・タイトルからして『帰ってきた伝説!』というブルース・ギタリスト、ジョディ・ウィリアムスがついにブルース界に復活したことをアピールするかのようです!復帰後、そして初のリーダー作となったこの作品はなんと2002年にリリースされました!実にジョディ67歳にして初のアルバムです!アルバムのジャケットも、現在の年老いたジョディの後ろに過去の自分の写真が飾られていますね。しかし「俺のブルース人生はまだ始まったばかり何だぜ!」といった感じで「お前ら、待ってろよ!俺が本物のブルースを聴かせてやるからな!」といった余裕の貫禄でこちらを指さしているかのようでもあります!もちろんボーカルとリードギターを務めるのはジョディ自身です。過去の録音したものを使うのではなく、全てこの時の新録になります。アルバムの1曲目は「オーティス・ラッシュの”All Your Love (I Miss Loving)”だって?あれを書いたのは俺なんだよ!」と言わんばかりの挨拶代わりの”Lucky Lou”で始まります。”All Your Love (I Miss Loving)”の方が有名になってしまったので、”Lucky Lou”を聴くと「似た曲なのかな?」と感じてしまいますが、こちらの方が原曲です!ちなみに1957年のオリジナル録音と同じようにインストで演奏しています。しかも新録の方がギターが上手くなっています!ジョディさん、練習を怠らなかったんですね!それとも初のリーダー作に向けて必死に練習してた?2曲目からは歌モノのブルースが続きます。ヒューバートと違って歌も悪くないので安心して聴けるブルースアルバムです!なぜこの年までリーダー作を作るチャンスに巡り会わなかったのか不思議なぐらい絶好調のブルース・アルバムに仕上がっています!4曲目に”Lucky Lou”のA面として1957年にリリースされた”You May”の新録バージョンが収録されています。他にも5曲目で2本のリードギターが絡み合う”Moanin’ for Molasses”も聴き所です!この曲も1963年にシングルのB面としてリリースされていた曲の新録バージョンです。この曲でジョディとギターバトルを繰り広げるのは、2008年に28歳の若さで亡くなってしまった白人ブルースマンのシーン・コステロという人物です。シーン・コステロは次の6曲目”Monkey Business”でリードボーカルも歌っています。エディ・コクラン風のやさぐれた歌い方がかっこよかったりします!見た目もどことなくコクランに似ていたり!?ギターの腕も相当なものなので、若くして亡くなったのが非情に残念です。9曲目のインスト曲”Jive Spot”では当時は若手だったこれまた白人ギタリストのラスティー・ジンとギターバトルを繰り広げ、次の10曲目”Brown Eyes and Big Thighs”は、ジョディとラスティーの会話がイントロで聴けます。歌っているのもラスティーです。こういった若手の後続ブルースマン達に活躍の場を設けてあげるジョディの懐の深さも感じられますね。そして最後の13曲目ではイントロでチキン・ピッキング奏法が聴けたり、とジョディが67歳にしてやりたかったことを思う存分やった作品です!そもそものギターの上手さもあるので、初リーダー作にしてクォリティーの高いブルース・アルバムに仕上がっています!ついに日の目を見た伝説のブルースマンの初作品を、ぜひブルース好きの人におすすめしたいと思います!正統派のブルース曲ばかり収録されているので、今風の音作りなんだけれども純度100%の濃い~ブルースが聴きたい方にもおすすめです♪還暦を超えてからの初リーダー作にして正統派の名作ブルース・アルバムです♪

 

 

Jody Williams – 『You Left Me in the Dark』

ビュー作から2年後の2004年に制作された2作目のリーダー作にしてジョディ最後の作品となった『You Left Me in the Dark』です。今作の1曲目”You Left Me in the Dark”は、まるで演歌調の渋いマイナー・スロー・ブルースで濃い~く始まります!いきなり渋すぎます!そして次の2曲目”I Can’t Get You Off My Mind”と5曲目”I’ll Be There”には、なんとロバート・ロックウッドJr.がギター&ボーカルでゲスト参加しています。”I Can’t Get You Off My Mind”では先にジョディが1コーラス歌ってからギターソロを弾きます。その後ロバート・ロックウッドJr.が2番を歌ってギターソロを弾きます。ロバート・ロックウッドJr.はおそらく12弦ギターを使っているのか、ギターの音色が倍音のように聴こえますね。”I’ll Be There”ではジョディの歌にロバート・ロックウッドJr.がコーラスで合いの手を入れています。ファーストソロを弾くのはロバート・ロックウッドJr.の方です。相変わらず職人技の上手さです!さすがにジョディも御大ロバート・ロックウッドJr.の前ではギターでは負けてしまいますね……こればかりは相手が悪いので仕方ない!ジョディよりもロバート・ロックウッドJr.の方が20歳も年上なのですが、ギターのフレージングが多彩なのがロバート・ロックウッドJr.の凄いところです!また4曲目のノリの良いインスト・ナンバーの”She’s Got a Spell on Me”と10曲目の”Someone Else”には、ジョディと同世代のブルースマン、ロニー・ブルックスがギター&ボーカルでゲスト参加しています。こちらの方はギターの腕もどっこいどっこいといったところでしょうか。さすがにブルース・ギタリスト界の最高位に位置するロバート・ロックウッドJr.と比べるのが酷なだけですよね。ジョディもロニー・ブルックスも、そこらのブルースギター弾きと比べると遙かに上手いギタリストです!前作では”Lucky Lou”と”You May”と”Moanin’ For Molasses” の3曲が過去のシングル盤から焼き直しされていました。本作では8曲目に収録された”Hideout”が1963年にシングル・リリースされていた曲になります。この1曲のみが、過去のシングル盤からの焼き直し曲になります。曲名を見てブルース好きの方なら気づきそうなのですが……そうです、フレディ・キングの有名曲”Hideaway”です。1960年にフレディ・キングが作った名インスト曲なのですが、ジョディの”Hideout”は”Hideaway”の人気にあやかって制作したような似た曲調です。”Lucky Lou”の方は、オーティス・ラッシュの”All Your Love (I Miss Loving)”となって、今ではブルースのスタンダード曲となりましたが、”Hideaway”を真似た”Hideout”の方はダメでしたね。ジョディってどこまでもツイてないんですね。しかしギターのテクニックは本物です!さすがに化け物レベルのロバート・ロックウッドJr.には劣るけども……しかしフレディ・キングやオーティス・ラッシュに引けを取るようなものではありません!2作目もデビュー作と変わらず正統派のブルースばかりが収録されたブルースの名作となっています!1作目と比べるとより多少渋い曲が増えた感じではありますが、ゲストにロバート・ロックウッドJr.やロニー・ブルックスなんかの大御所ブルースマンが参加した曲が聴きもののアルバムです!

 

 

以上、【オーティス・ラッシュにも影響を与えた!?不遇だったブルースマン、ジョディ・ウィリアムスが2000年代に制作した2枚のアルバム!】のご紹介でした。

 

もし今回のこのブログ記事を読んで初めてジョディ・ウィリアムスというブルースマンを知ったっていうブルース好きの方に、ぜひおすすめしたい正統派のブルースギタリストです!

 

ギターだけでなく歌もいけます!

 

ちなみに初期の”Lucky Lou” や”You May”に”Moanin’ For Molasses” や”Hideout”などのシングル曲は、今年リリースされたコンピレーション・アルバムの『IN SESSION 1954-1962 -DIARY OF A CHICAGO BLUESMAN- (邦題:1954-1962セッション集 -シカゴ・ブルースマンの日記-)』でまとめて聴けるのでおすすめですよ♪

 

それでは今後も、こういったブルースマンをこのブログでご紹介していきたいと思いますので、ぜひまたこのブログを読みに来てください♪

 

 

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