2021/07/07
オルガンのコルトレーン ラリー・ヤングのコズミック・ファンク2作品を聴こう♪
70年代ラリー・ヤングの珠玉のコズミック・ファンク2作品!
ビッチェズ・ブリューとライフタイムを超えて…。
以前、こちらのブログでもご紹介していた「オルガンのコルトレーン」ことラリー・ヤングは、僕のお気に入りのオルガン奏者です。
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それまでのジミー・スミスやワイルド・デイヴィス等のジャズ・オルガン奏者とは一線を画するモードな演奏がラリー・ヤングの魅力となっています。
そんなラリー・ヤングは、1969年にマイルス・デオイヴィスの黄金のクインテットでドラムを担当していたトニー・ウイリアムスとジョン・マクラフリンのトリオ編成による画期的なバンド、ライフタイムで『Emergency!』という名作を吹き込んでいます。
その後、1970年には御大マイルス・デイヴィスの歴史的名盤『Bitches Brew』にも名を連ねています。
これらの録音においてもラリー・ヤングの革新的な演奏を聴くことが出来るのですが、しかしその先にもまだラリー・ヤングの物語は続いています。
1978年に37歳という若さで亡くなってしまうのですが、その数年前にコズミック・ファンクなアルバムを2作品残しています。
その2作品を今回はまとめてご紹介したいと思います。
Larry Young – 『Larry Young’s Fuel』
1975年に録音された本作『Larry Young’s Fuel』は、『Unity』と共にラリー・ヤングの代表作と言える名作です。
ただ、あくまでもジャズというフォーマットをなぞったインスト作品の『Unity』とは違って、本作には女性ボーカリストが参加していたり、ラリー・ヤングもオルガンだけでなくエレピや様々なシンセサイザーを使っています。
そういった意味でも、本作の方が『Unity』よりも更に革新的なアルバムだと言えるでしょう。
この時期のジミー・スミスなんかのジャズファンク作品同様に、本作にも専属のベーシストが参加しています。
それまでのオルガン奏者と言えば、ジミー・スミスやザ・ドアーズのレイ・マンザレクのようにフットペダルを用いてベースラインを弾くのが常でした。
しかし70年代のファンク時代に突入すると、やはり本職のベーシストが必要となってきます。
この作品にも、フェルナンド・ソーンダースという凄腕が参加しています。
むしろ本作の影の主役は、フェルナンド・ソーンダースのベースだと言えるほどの活躍です!
まるでポール・ジャクソンばりにベースが目立つコズミック・ファンクは、当時のハービー・ハンコックと引けを取らないぐらいです!
ロブ・ゴットフリードのドラムのから始まる1曲目”Fuel for the Fire”からして、他のコズミック・ファンク系の作品とも一線を画する楽曲です。
ラリー・ヤングのエレピに呼応するかのようにローラ・”テキーラ”・ローガンが酒焼けした声でスキャットを始めます。
そして一度聴いたら頭から離れないようなクセになるシンセサイザーのテーマメロディーが始まります!
ついつい僕もこのフレーズをギターで真似て弾いてみたくなります♪
ラリー・ヤングの印象的なシンセのバックで、フェルナンド・ソーンダースのベースがブリブリと大股開きでウォーキングします。
一応、サンチャゴ・ソラーノというギタリストも参加していて、ラリー・ヤングのシンセに合わせてリフを弾いてはいるのですが、フェルナンド・ソーンダースのベースの影に完全に隠れてしまっています。
やはりこういったファンク・ミュージックに於ける主役は、ベースなんだな!って感じる瞬間です。
この1曲目だけでも十分に強烈なのですが…本作は聴く者に休み暇を与えてはくれません!
2曲目のインスト曲”I Ching (Book of Changes)”も過激です!
それこそトニー・ウイリアムスのライフタイムで学んだことを、ここで実践しているかのようです!
こちらの楽曲では、サンチャゴ・ソラーノがギターを大きく歪ませて目立つソロを弾いています。
しかし、またしてもフェルナンド・ソーンダースのベースが目立ちます!
異様にかっこいいベースラインをブリブリと弾き倒し、誰が主役なのか?忘れさせる勢いです。
そのソーンダースのベースリフから始まる3曲目”Turn Off the Lights”では、再びローラ・”テキーラ”・ローガンがシャガレ声で歌い始めます。
所々でラリー・ヤングの過激なシンセ使いを聴くことが出来ます。
強烈な3曲が終わると、キャッチーなギター・カッティングに愉快なシンセのメロディーが印象的な”Floating”というインスト曲に移ります。
しかしこの曲よりも、次の実験的なジャム演奏を収録したインスト曲”H + J = B (Hustle + Jam = Bread)”の方が強烈です!
これこそ、この時期のラリー・ヤングが表現したかった音楽の集大成だと言えそうな楽曲です。
次のファンカデリック風な6曲目”People Do Be Funny”にもローラ・”テキーラ”・ローガンがボーカルで登場します。
ラリー・ヤングのボーカルも収録されているアルバム最後の”New York Electric Street Music”も、これまた8分を超える長尺の実験曲です。
サンチャゴ・ソラーノがジョン・マクラフリンを意識したかのような過激なギター・ソロを弾いています。
アルバムの締めまで革新的で過激な楽曲が収録されています。
『Unity』とは全く違った感触のアルバムではありますが、むしろこちらの『Larry Young’s Fuel』の方が、ロック・ファンやファンク・ファンの方でも聴きやすくって好きになれるんじゃないかな?と感じます。
ほとんどジャズっぽさがないですからね。
もちろんファンカデリックやパーラメント系にロニー・リストン・スミスのようなコズミック・ファンクがお好きな方や、ジャズファンクがお好きな方にもおすすめの作品です♪
Larry Young – 『Spaceball』
実質ラリー・ヤングのラスト・アルバムとなった『Spaceball』は、『Larry Young’s Fuel』よりも華やかな演奏陣で吹き込まれています。
管楽器の追加やパーカッションの導入、そしてラリー・コリエルを含む2本のギター…と、前作よりもサウンドに厚みが出ています。
多少メロディーがキャッチーになった楽曲が多く収録されてはいますが、演奏陣の暴れっぷりは前作以上だったりします!
特に”Sticky Wicket”や”Message From Mars”等の長尺曲に於けるラリー・ヤングと2人のギタリストの暴れぷりが凄まじいです!
ラリー・ヤングは、最後の最後までも革新的で過激な作品を残してくれたのでした。
ただタイトル・トラックのあえぎ声はいただけない…。
以上、【オルガンのコルトレーン ラリー・ヤングのコズミック・ファンク2作品を聴こう♪】のご紹介でした。
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