カテゴリー:Music

2019/01/19

ジャズギターの巨匠ケニー・バレルの1stリーダー作『Introducing Kenny Burrell』を聴こう♪

 
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ジャズギターの巨匠ケニー・バレルの1stリーダー作『Introducing Kenny Burrell』をご紹介します。

今年の最初のブログ記事は、ケニー・バレルの最高傑作『Midnight Blue』だったのですが……

 

ケニー・バレルのブルージーな最高傑作!『Midnight Blue』を聴こう♪

今回はそのケニー・バレルが、故郷デトロイトからNYに進出してからブルーノート・レコードで初めてリーダー作を制作した1956年の作品『Introducing Kenny Burrell』をご紹介したいと思います。

 

その1stリーダー作と、更に同時期の録音が収録された2枚組CDもご紹介したいと思います。

 

 

『Introducing Kenny Burrell』を録音するまでの軌跡

 

ジャズの演奏スタイルが無頼派のビ・バップから、よりアンサンブルを重視したハード・バップへと変化するにあたって、その新しいスタイルに合ったギタリストはなかなか現れませんでした。

 

ブルノート・レコードの創始者であるアルフレッド・ライオンは、ジャズだけでなくブルースも好きだったと聞きます。

 

そういった理由からか、ギターという楽器も好きだったようです。

 

しかしジャズバンドのリーダーとしてハード・バップを演奏できるジャズギタリストは、当時のシーンではなかなかいなかったのも事実です。

 

ピアノのようにコンピングを得意とするジャズギタリストはいたようですが、チャーリー・クリスチャンのようにホーンライクに演奏できるジャズギタリストはほぼいない状態だったようです。

 

それだったらわざわざギターに演奏してもらわなくっても、ピアノで演奏した方が良いですからね。

 

それとアルフレッド・ライオンが求めるようなブラック・フィーリングあふれる黒人ギタリストは長いことジャズギター界には表れていません。

 

バーニー・ケッセルもハーブ・エリスもタル・ファーロウもサル・サルヴァドールもみな白人です。

 

白人だといけない!……なんていう理由はひとつもないのですが、しかしあの黒人独特のブルージーなフィーリングを表現することはやはり難しかったと感じます。

 

僕もバーニー・ケッセルやハーブ・エリスは好きでよく聴くのですが、どうしてもあっさりとした淡白な演奏に聴こえます……。

 

テクニックこそ凄いのですが、どうしても一音一音の間に存在するはずの「タメ」を感じられません。

 

どうも「軽い演奏」に聴こえてしまいます。

 

もちろんその「軽さ」が聴きやすさに繋がるので、一般的な人気が出るのも頷けます。

 

しかしドス黒いブルース・フィーリングを持つギタリストとは、全く違った感触に聴こえるんです。

 

そんな時に、アルフレッド・ライオンが求めるような黒人ギタリストがジャズシーンに登場します!

 

ミシガン州デトロイトから同郷の音楽仲間であったジャズピアニストのトミー・フラナガンと共にニューヨークにやってきたのがケニー・バレルでした。

 

1955年末のことです。

 

それまでに、ケニー・バレルは地元のウェイン大学で音楽を専攻し、その後1951年にツアーで同地を訪れたディジー・ガレスピーと共演して、既にレコード・デビューは果たしていました。

 

トミー・フラナガンと共に大都会ニューヨークへとやってきたバレルは、数多くのジャム・セッションに参加して名前を売っていきました。

 

そんな折に、ハーレムのクラブでバレルが演奏している姿をライオンが見つけたようです。

 

まさにラインが求めていたホーン隊にも負けないようなブルージーなギタリストがそこにいました!

 

さっそくライオンは、2人に声を掛けレコーディングをセッティングしました。

 

新人の発掘に力を入れていたライオンは、他のレコード会社と違って、無名の新人にいきなりリーダー・セッションを設定するのはよくあることでした。

 

かくして本作『Introducing Kenny Burrell』の録音が1956年5月29日、30日に行われました。

 

それでは、さっそくご紹介していきたいと思います。

 

 

 

Kenny Burrell – 『Introducing Kenny Burrell』

02.Fugue ‘N Blues
03.Takeela
04.Weaver Of Dreams
05.Delilah
06.Rhythmorama
07.Blues For Skeeter

 

Personnel:
Kenny Burrell – Guitar
Tommy Flanagan – Piano
Paul Chambers- Bass
Kenny Clarke – Drums
Candido – Congas

 

Blue Note:1523

 

Recorded: 1956 May 29–30.
Released: 1956.

アルバムの内容

1曲目”This Time The Dream’s On Me”は、ハロルド・アーレンとジョニー・マーサーの曲です。

 

エラ・フィッツジェラルドやチェット・ベイカーにレッド・ガーランドなんかが取り上げています。

 

どちらかというとバラードで演奏されることの多いこの曲を、バレルはかなり早いテンポで軽快に演奏しています。

 

エキゾチックなキャンディドのコンガが演奏を盛り上げています。

 

まるでサックス奏者やトランペット奏者になったかのよに、太いシングル・ノートの音でメロディーからソロまでギターで奏でています。

 

これこそがアルフレッド・ライオンが求めたジャズギターの演奏だったのでしょう。

 

デビューアルバムの1曲目から自身に満ち溢れるような名演で始まります。

 

続く2曲目”Fugue ‘N Blues”は、ケニー・バレルのオリジナル曲です。

 

ギターのコード弾きのイントロが終わると、いきなりポール・チェンバースのベースソロが始まります。

 

ポール・チェンバースは、生まれこそピッツバーグですが、デトロイトで育ったのでバレルやトミー・フラナガンと同郷の若手ジャズミュージシャンでした。

 

ベースソロの後は、ピアノがテーマを弾きます。

 

そのピアノのテーマを追いかけるように対位的なラインをバレルがギターで弾き始めます。

 

まさにこの部分がフーガ(遁走曲)になっています。

 

テーマが終わるとバレルがブルージーなギターソロを弾き始めます。

 

曲名通りに、「フーガとブルース」が見事に融合しています。

 

ギターソロの後は、ピアノソロ→ベースソロと続いて、再びピアノのテーマに戻ります。

 

本作のリーダーは、ケニー・バレルですが、同郷のトミー・フラナガンやポール・チェンバースも同じように活躍する曲に仕上がっています。

 

キャンディドのエキサイティングなコンガのリズムで始まる3曲目”Takeela”もケニー・バレルのオリジナル曲です。

 

この曲も速いテンポの中、調子を崩すことなくバレルのギターソロとキャンディドのコンガのリズムが絡み合う名演となっています。

 

4曲目”Weaver Of Dreams”は、ヴィクター・ヤングが1951年に書いたしっとりとした美しいバラード曲です。

 

どうやらバレルはこの曲を得意としていたようで、後に再演してアルバム・タイトルとしても使用していました。

 

コードとシングル・ノートを上手く混ぜてエモーショナルにテーマを弾いています。

 

トミー・フラナガンの優雅なピアノソロも曲調にぴったりです。

 

腕の立つギタリストは、バラード演奏も得意だと言うことを感じさせてくれる名演ですね。

 

5曲目”Delilah”もキャンディドのコンガが大活躍する曲です。

 

こちらも引き続きヴィクター・ヤングの曲です。

 

こういったマイナー・キーの曲をだと、バレルの持ち味であるブルース・フィーリングを存分に発揮することが出来るようです。

 

オクターブ奏法も交えてテーマメロディーを弾いた後は、渋い音色のギターソロが続きます。

 

ギターソロの後にピアノソロを挟んで、キャンディドのコンガのソロもあります。

 

そのまま次の6曲目”Rhythmorama”でもキャンディドが大活躍します!

 

というか、この曲はなんとリーダーのケニー・バレルのギターが一切含まれていません。

 

本作に参加しているドラマーのケニー・クラークが書いた曲なのですが、曲というよりもケニー・クラークとキャンディドがジャムった曲です。

 

ドラムとコンガだけでセッションしている、まさに「リズモラマ」な曲です。

 

まさかのデビュー作に、自身が不参加の曲を収録するなんて……といった驚きです。(笑)

 

しかしケニー・バレルが「リズム」を重要視していたことが伺えるようでもあります。

 

最後の7曲目”Blues For Skeeter”は、バレルのオリジナル曲です。

 

トミー・フラナガンのピアノのイントロで始まるゆったりとしたジャズ・ブルースの曲です。

 

本作には合計で3曲ものケニー・バレルのオリジナル曲が含まれています。

 

当時の他のレコード会社だったら、無名の若手ミュージシャンの作品には有名なスタンダード曲を演奏するように言っていたようですが……

 

才能豊かな新人発掘に力を入れていたアルフレッド・ライオンは新人でもオリジナル曲を書いてくるように言っていたようです。

 

特に彼の元でレコーディングを行う際には、必ずオリジナル・ブルース曲を1曲は用意してくるようにミュージシャンにリクエストをしていたようです。

 

さすがにブルース・フィーリングを持ち味としているだけあって、こういった曲調を演奏させるとバレルの右に出るものはいない!といった感じですね。

 

デビュー作の最後に自身が一番得意とするジャズ・ブルースの曲を収録しているがポイントですね。

 

 

 

Ryo@Dixiefunk Lab.の白アイコン
Ryo
おすすめ曲は、#1 #4 #5 #8

 


 

 

以上が【ジャズギターの巨匠ケニー・バレルの1stリーダー作『Introducing Kenny Burrell』】のご紹介でした。

 

ちなみにこの作品には、同時期のセッションを収録した2枚組のCDもあります。

 

赤いバージョンのジャケットがかっこいいですね♪

 

後に”世界初登場シリーズ”として録音当時は未発表だったブルーノート・レコードの音源をリリースした編集盤『K.B.Blues』に収録されている音源も含まれています。

 

CD1枚目には『Introducing Kenny Burrell』全曲と、同じセッションで録音された”Get Happy”と”But Not For Me”が収録されています。

この”Get Happy”とサル・サルヴァドールの演奏を聴き比べてみると、バレルのブルース・フィーリングをより感じることが出来ます。

 

サル・サルヴァドールのブルーノート・レーベル唯一のリーダー作を聴こう!

グルーヴ感が全然違います。

 

バレルの方が一枚も二枚も上手です!

 

また”But Not For Me”の方は、もはやオマケ音源を超えた必聴の名演です!

 

バレルのギター1本の独奏で演奏されています。

 

コードとシングル・ノートのメロディーと、ベースとなるルート音を巧みに混ぜ合わせて、たった1人とは思わせないような厚みのある演奏を聴くことが出来ます。

 

これ1曲だけでも、ケニー・バレルがいかに素晴らしいジャズギタリストであるかがわかる名演です♪

 

ケニー・バレルという才能を見出して、世に知らしめたのが今回ご紹介したケニー・バレルのデビュー作『Introducing Kenny Burrell』でした。

 

 

 

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