2018/12/13
ボ・ディドリーがミーターズになった⁉1974年のレア・グルーヴ系作品『Big Bad Bo』
ボ・ディドリーが1974年に放ったレア・グルーヴ系作品『Big Bad Bo』
ジャングルビートからブレイクビーツへ!
今回は、”Crackin Up”や”Road Runner”等のジャングル・ビートで有名なボ・ディドリーが1974年にリリースしたミーターズ風のレア・グルーヴ系作品『Big Bad Bo』をご紹介します。
特にレア・グルーヴ系の作品が好きな方には、この作品に収録されたヒップホップのサンプリングネタとしても使われたドラムの強力なブレイクビーツがかっこいい”Hit or Miss”は必聴です!
Bo Diddley – 『Big Bad Bo』
01.Bite You
02.He’s Got All the Whiskey
03.Hit or Miss
04.You’ve Got a Lot of Nerve
05.Stop the Pusher
06.Evelee
07.I’ve Been Workin’
Personnel:
Bo Diddley – Vocals
Bo Diddley, Carl Lynch, John Tropea – Guitar
Michael Pickett – Harmonica
Willis Jackson – Tenor Saxophone
Joe Newman, John Bello, Jon Faddis, Irvin Markowitz, Marvin Stamm – Trumpet
John Leone – Baritone Saxophone
Tony Price – Tuba
Dominick Gravine, Garnett Brown, Harry DiVito – Trombone
Ernest Hayes – Electric Piano
Wilbur Bascomb, Jr – Electric Bass
Jimmy Johnson, Jr – Drums
Esmond Edwards, Montego Joe – Percussion
J.R. Bailey, Ken Williams, Melvin Kent – Backing Vocals
アルバム参加メンバー
バリトンサックスやチューバを含む豪華なホーン隊が参加した本作ですが、注目すべきはテナーサックスに自身も多くのソウルジャズ作品をリリースしていたウィリス・ジャクソンが参加していることです。
ウィリス・ジャクソンは、時にはブラザー・ジャック・マクダフや初期のパット・マルティーノ等と共演してプレスティッジ・レコードで数多くのソウルジャズ作品を残しています。
そんなソウルフルなサックス奏者ともうひとり注目すべき参加メンバーにジョン・トロペイが参加していることでしょう。
トロペイは、70年代のニューヨークにおけるクロスオーバー/フュージョンシーンを席捲した名ギタリストです。
そんなメンバーに支えられて、ボ・ディドリーのファンキーな本作が制作されています。
アルバムの内容
1曲目”Bite You”からボ・ディドリーのこれまでの作品にないようなファンク・ロック系のギターリフで曲が始まります。
豪華なホーン隊の後押しもあって、もはやブルースでもロックンロールでもないファンク・ロックが展開されます!
ギターソロもマイナーペンタトニックを中心に弾いていますが、ブルースというよりもアイヴァン・”ブーガルー”・ジョー・ジョーンズが弾きそうなジャズファンク系の雰囲気です!
2曲目”He’s Got All the Whiskey”はルイジアナ州出身のソングライターのボビー・チャールズが1972年にリリースしたデビュー作『Bobby Charles』の5曲目に収録されていた曲です。
原曲はゆったりとしたスワンピーな曲調なのですが、本作ではドラムのビートが強調されたファンキーなアレンジが施されています。
そして3曲目の”Hit or Miss”が本作の目玉曲です!
クールなドラムのブレイクビーツで始まり、ファンキーなワウギターがリフを刻みます!
原曲はアフリカ系アメリカ人のフォーク歌手のオデッタ・ホームズが1970年にリリースした『Odetta Sings』の4曲目に収録されていました。
原曲もファンキーなのですが、本作収録バージョンはまるでミーターズのような粘つくビートがかっこいいアレンジが施されています。
ウィリス・ジャクソンのソウルフルなサックスソロも必聴の名演です♪
間違いなく本作の目玉曲でベスト・トラックだと思います。
4曲目”You’ve Got a Lot of Nerve”はR&B調の曲で、5曲目”Stop the Pusher”もミーターズ風のファンク系のギターリフが印象的な曲です。
そして6曲目の”Evelee”にてブルースの登場です!
この曲のみボ・ディドリーの自作曲で、ブルースハープが鳴り響きます!
急なブルース曲の登場で、この1曲だけ他の曲と雰囲気が違っています。
次の7曲目”I’ve Been Workin'”でアルバムは締め括られています。
この曲は英国のシンガーのヴァン・モリソンが書いた曲です。
1970年にリリースされた4作目のアルバム『His Band and the Street Choir』の4曲目に収録されていた曲です。
もともとファンキーな楽曲なのですが、ボ・ディドリーもグルーヴィーなドラムの力を借りてファンキーに仕上げています!
ちなみにヴァン・モリソンのバージョンでは、ワウギターがかっこいい1974年のライヴ盤『It’s Too Late to Stop Now (魂の道のり)』もおすすめです!
以上、全7曲が収録された【ボ・ディドリーが1974年のレア・グルーヴ系作品『Big Bad Bo』】のご紹介でした。
自作曲はブルースの1曲のみで、カヴァー曲や提供曲を貪欲に取り入れてこれまでにないファンキーな作品を制作したボ・ディドリーの懐の深さが感じられるような作品です。
まぁ時代の流れに合わせようとしたとも言えなくないですが……。
しかし従来のジャングル・ビートばかりに頼らずに、こういった意外性のある作品を制作したことはボ・ディドリーというミュージシャンの多様性を感じます。
個人的には、ミーターズのようなファンキーなレア・グルーヴ系の音楽が大好きなので、実はこの作品がボ・ディドリーの中では一番好きです♪
もちろんギター好きの僕にとっては、ジョン・トロペイの巧みなギターソロが聴けるから!ってのもあります。
ヒップホップのサンプリングネタとしても使われた”Hit or Miss”を含むボ・ディドリーのミーターズ風レア・グルーヴ作品、『Big Bad Bo』おすすめです!
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