
2019/01/05
【名曲が目白押しの名盤ばかり!?】絶対に聴くべきダイナソーJr.の80年代のアルバム3枚
絶対に聴くべきダイナソーJr.の80年代の名作アルバム3枚をご紹介します。
J・マスキスを中心とするノイズ系オルタナ・ギター・バンドのダイナソーJr.
ダイナソーJr.は、1983年に「ディープ・ウーンド」というハードコア・パンク・バンドでドラムを叩いていたJ・マスキスが、スティックを置いてギターに持ち替えたことから始まりました。
そしてJ・マスキスがベーシストのルー・バーロウと共に、「ダイナソー」というバンドを結成しました。
オリジナルメンバーは、ギター/ボーカルのJ・マスキス、ベース/ボーカルのルー・バーロウ、ドラムのマーフという3ピース編成です。
今回ご紹介する80年代の3作品は全てこのオリジナル編成で制作されています。
今回ご紹介する3枚のアルバムをリリースした後で、ベースのルー・バーロウがダイナソーJr.から脱退しています。
その後、ルー・バーロウはセバドーを結成します。
ちなみに結成当初のバンド名は「ダイナソー」という名前でしたが、1987年の2ndアルバムリリース時に、他に「ダイナソー」というバンドが存在していたためバンド名を変更せざるを得なくなりました。
そういった経緯で「ダイナソーJr.」というバンド名になったのですが、「Jr.」が付いただけなんですよね。
なんとなくテキトーなJの性格っぽいですね。
J・マスキスってどんな人?
ダイナソーJr.は、ほとんどの曲作りもボーカルもJ・マスキスが務めています。
しかもルーやマーフが抜けていた時期は、もはやJのソロ・バンドのような形になっていました。
なのでダイナソーJr.は、ほぼJ・マスキスを聴くためのバンドです。
ところでJ・マスキスという人は、インタビュー映像なんかを見てみても、とても寡黙でモゴモゴと話します。
内向的な人のようにも見えるのですが、しかし人付き合いが重要なバンド活動をかれこれ30年以上続けているので、一般的なコミュニケーションに問題はないようです。
もともとドラムを叩いていたので、マーフ脱退後や、自身のソロアルバムではJ本人がレコーディングでドラムを叩いていたりします。
また2000年代に入ってからは、他のバンドのアルバムにドラムで参加していたり、MVにもゲストでドラムを叩いている姿で登場したりもしていました。
変わった人だな~という印象だったのですが、人付き合いは良いようです。
ギターの方は、微妙な腕前が多いオルタナ/グランジ系のミュージシャンの中ではかなりの腕前です!
ギターはエレキだけでなくアコギも弾きます。
特にアコギのカッティングのキレの良さは相当なもんです!
ギターソロも「一度弾いたギターソロは二度と弾けない!」らしくって、毎回ライヴではアドリヴで弾いているようです。
僕がダイナソーJr.を知ったのは大学生の頃だったのですが、当時はアドリヴで毎回違うギターソロを弾くことが出来るなんて思ってもみなかったので、Jのこの発言を読んで衝撃を受けました!
そんな僕も今ではJと同じで、アドリヴでギターソロを弾けるようになったのですが、それもJの影響が大きかったと思います。
ただ、Jのギターソロはテクニカルに弾きまくると言うよりもメロディー重視で弾いている感じです。
ボーカルの延長線上にギターソロがある感じです。
一応ノイズ系の爆音バンドでもあるので、ソニック・ユースのように轟音ノイズでめちゃくちゃに弾くこともあります。
僕も若い頃にライヴを観に行ったことがあるのですが、最後にJがギターのフィードバック・ノイズを「キィィィ~~~~~ン!!!!」と出したままほったらかしにしてステージを去って行ったのが印象的でした。
その後、3日間耳がキーンと鳴りっぱなしだったのですが、そのことを大学の友達に話したら「そんなわけないやろ!嘘つくな!」と言われてムカッときたのは今となっては良い思い出です。
ちなみにこのライヴの時にJ本人に会って握手してもらったこともあります。
そしたらなぜかJに「サンキュ~サンキュ~」と言われました。
「サンキュ~」を言うべきなのは、握手してもらえたファンの僕の方なのにね。
ところで、J・マスキスと言えばよくニール・ヤングと似ていると言われますよね。
確かにゆる~い鼻声の歌い方や曲作りが似ていますよね。
ギターの方も、エレキで轟音を鳴らしたかと思えば、急にアコギでカントリー調の優しい曲を演奏したり…と、ニール・ヤングから大きな影響を受けているんだろうなって感じます。
ニール・ヤングのライヴアルバムに『Arc』という、全編フィードバック・ノイズの過激な作品があるのですが…
Jが90年代のライヴで終演後にフィードバック・ノイズをほったらかしにしていたのは、あの作品からの影響かな?と思ったりもします。
ちなみにニール・ヤングと同じく歌はヘタだけど、曲作りの天才であるルー・リードも、同じような過激なノイズ・アルバム『Metal Machine Music』を1975年にリリースしていたりします。
Jマスキスの使用機材
さて、Jマスキスの使用ギターなのですが、60年代のサーフ・ロック・バンドがこぞって使ったフェンダー社ジャズマスターを使用していました。
これはソニック・ユースのサーストン・ムーアも使っていました。
確か同じフェンダー社の人気機種ストラトキャスターやテレキャスターよりも安くで買えたからサーストンやJのようなオルタナ世代のミュージシャンが使い始めたとかだったはずです。
当時はジャズマスターの人気が落ちていたので、ストラトやテレキャスターよりも安くで売っていたようです。
Jのインタビュー動画を観ていたら、本当はストラトを買いに楽器屋に寄ったところ、高くて手持ちのお金で買えなかったようです。
そこで見つけたストラトよりも安い値段のジャズマスターだったら手持ちのお金で買えたのでジャズマスターに決めたようです。
本来ジャズマスターは、ストラトキャスターの上位モデルとして生産されたはずなのですが…皮肉なもんですね。
ちなみにジャズマスターには、大きめのシングルコイル・ピックアップが搭載されていて、通常のシングルコイルのピックアップよりも更にノイズを遮断出来るモデルです。
しかしJやサーストンはジャズマスターに、ファズという音を激しく歪ませるエフェクターを使ってギターノイズを出していました。
ノイズを遮断するのに優れたギターで敢えて激しく歪ませることで、余分なノイズが出ないようにコントロールしているのかもしれませんね⁉
またジャズマスターは、大きめのシングルコイル・ピックアップのため、ギターの音としてはストラトやテレキャスターよりもメロウな音が鳴るのが特徴的です。
激しく歪んだギターの音なのに、どこか哀愁のあるメロディーの曲が多いJにぴったりのサウンドだと思います♪
先ほども書きましたが、Jはギターを歪ませるために非常に激しいノイズの出るファズ・エフェクターを好んで使っています。
それはジミ・ヘンドリックスも購入したと言われる60年代の製品でエレクトロ・ハーモニクス社のビッグマフという機種です。
このビッグマフは、後にニルヴァーナのカート・コバーンが使用したことでグランジ系のギタリスト必須アイテムとして一躍有名になりました。
しかし本当は先にJやマッド・ハニーの連中が使っていたんです。
こうしてオルタナ=ジャズマスター+ビッグマフという定番の機材が揃いました。
Jを真似して僕も大学の頃はジャズマスターとビッグマフを使っていました。
ところでジャズマスターはもとはと言えば、その名の通り「ジャズ」を演奏するために作られたフェンダーの上級機種でした。
しかし当のジャズミュージシャンで使っている人は、若い頃のジョー・パスがジャズマスターを使ってたぐらいで…ほとんどいないですよね。
もはやサーフ・ロックやグランジ/オルタナのギターというイメージですね。
ちなみにペダル一台でJ・マスキスのあのサウンドを作り出すことが出来ると噂の『Wren and Cuff Garbage Face ファズペダル』というエフェクターもあったりします。
Jのあのサウンドを自分でも弾いてみたい!という方におすすめです♪
ザッとJ・マスキスと使用機材について書いてみました。
それでは、今回ご紹介する80年代の3枚のアルバムのご紹介をしたいと思います。
Dinosaur Jr. – 『Dinosaur』
CDで再発された際に「Dinosaur Jr.」名義に変更されていますが、1985年当時は「Dinosaur」というバンド名で発売されたデビュー作です。もう既にJ・マスキス節が発揮しています!歌もギターも、良くも悪くも今と変わってない感じがしますね。(笑)まだメンバーも若い頃だったのでハードコア・パンク的な激しい展開を持った曲があるのが特徴です。1曲目”Bulbs of Passion”や2曲目”Forget the Swan”に5曲目”Does It Float”に7曲目”Repulsion”、9曲目”Severed Lips”など、今でもライヴでちょくちょく演奏される曲がこの1作目から登場します。(曲順は再発したCD盤に準拠)特にヘヴィーなギターの音にキャッチーな歌メロを持つ”Repulsion”は、まさにダイナソーJr.らしい曲調だと言えます。”Forget the Swan”などで聴けるギターのジェット機が飛んでいるようなサウンドはフランジャーというエフェクターで出しています。このフランジャーのサウンドもJ・マスキスのトレードマークでもあります。またパンクなノリの”Cats in a Bowl”や終盤に激しくなる”Does It Float”やノイジーで激しい”Mountain Man”なんかにハードコア・パンクの名残を感じますね。”Cats in a Bowl”ではスライドギターの音色まで鳴っていて、どことなくミート・パペッツっぽい曲調だったりもします。後の名盤と比べるとどうしても地味な作品ではありますが、それでも既にJ・マスキス節満載の曲が多く収録された記念すべきデビュー作だと思います。
Dinosaur Jr. – 『You’re Living All Over Me』
B級ホラー映画か何か?と思うようなよくわからないジャケットの2ndアルバムです。1987年にリリースされたこの作品から正式にダイナソーJr.名義になっています。しかしまだ曲作りが甘かった1stと比べて、一気に飛躍しています!全9曲のうち、Jが書いた7曲はどれもクォリティーが高く、今でもよくライヴで演奏されています。(残り2曲はルー・バーロウの曲)ちなみにこのアルバムのオリジナル盤は全9曲収録なのですが、CD化の際に当時シングルのみのリリースだったザ・キュアーのカヴァー曲”Just Like Heaven”がボーナス・トラックで収録されています。この曲のカヴァー・バージョンは、最後にまるで音が途切れたかのようにプツっと切れてしまうのですが、これはJが聴いている人を驚かすためにわざとやったようです。初めて聴いた当時の僕もまんまとJのドッキリにハマってしまい、「あれ?音が切れた?」とビックリしました。激しく歪んだワウギターがかっこいいアルバムの1曲目”Little Fury Things”は今ではダイナソーJr.の定番曲になりました。Jはこの曲がお気に入りのようで、アコギで弾き語りする際にもよく演奏しています。イントロで叫んでいるのはルー・バーロウです。この曲以外にも、イントロのハードなトレモロ・ピッキングがメタルっぽい壮大な”Sludgefeast”や長めのイントロが印象的な”The Lung”にハードな曲調の”Raisans”、ポップな”In a Jar”などライヴでよく演奏される名曲が多いです。最後に収録されたルー・バーロウの2曲、パンキッシュな”Lose”と実験音楽的な”Poledo”も含めて文句なしの名作ですね♪
Dinosaur Jr. – 『Bug』
1988年にリリースされたダイナソーJr.を代表するアルバム『Bug』です。まずはなんといっても1曲目の”Freak Scene”ですね。これまでの2作よりも更にポップになったシングル・ヒットも狙えるような曲です。この曲は僕も若い頃にギターでコピーしたことがあるのですが、本来こういった激しく歪んだギターで弾く場合は、ノイズが鳴りにくいパワーコードを使うものです。しかしJは、あえて開放弦を含むフォーク・ギター系のオープンコードでノイズ混じりに弾いています。これもニール・ヤングからの影響だと思います。あえてノイズを鳴らすことでポップな曲調にも毒をチラつかせている…というか、単なるポップ・ソングに終わっていないのが印象的ですね。2曲目”No Bones”は軽快な1曲目から一転してスローで憂鬱な曲調です。そして3曲目の”They Always Come”でダイナソー節のキャッチーな曲が登場します。エンディングのトレモロアームの使い方が60年代サーフ・ロック風ですね。次の4曲目”Yeah We Know”はヘヴィーなワウギターがリフがかっこいいメタルっぽい曲です。6曲目の”Pond Song”もダイナソー節全開のキャッチーな曲です。そして7曲目に本作収録曲中最も勢いのある”Budge”が始まります!パンキッシュなサビから始まるドロップド・コーラス形式です。しかしヴァースの部分はポップなギターメロディーだったりします。サビの部分だけギターが激しく歪んでいます!最後の9曲目にフリーキーなノイズまみれの”Don’t”が収録されています。前2作よりもポップにはなりましたが、まだまだインディーズ時代の一風変わったオルタナ・バンドという感触が残っているアルバムです。ギターポップのようでいて、激しく歪んだギターがヘヴィーな傑作です!
ちなみに再結成後の2012年に。、ルーとマーフを含むオリジナルメンバーでこの『Bug』を完全再現したライヴが映像作品としてDVD化もしていますので要チェックです!
タイトルは『【ファン激撮】実演!バグ』です。
以上、【絶対に聴くべきダイナソーJr.の80年代の名作アルバム3枚】のご紹介でした。
この後、ルー・バーロウが脱退して90年代になりダイナソーJr.はメジャー・デビューすることになります。
メジャー・デビュー以降は、レコーディングの際もマーフではなくJ自身がドラムを叩いていたり…と、もはやJ・マスキスのソロ・プロジェクトのようなバンドとなってしまいます。
その分、大衆受けするポップな曲も増えて、シングル・ヒットをするようになりました。
その辺のご紹介はまた次回のブログ記事にしたいと思いますので、ぜひまたこのブログを読みに来て下さい。
メジャー・デビューして、シングル・ヒットしたからこそ今のダイナソーJr.が存在できているってのは否定できませんが、やはり僕としてはインディーズ時代の荒々しかったこの初期の2作こそがダイナソーJr.というバンドをよく表していると思います。
ちなみにこの3作から選りすぐりの曲を収録した『ベスト・オブ・ダイナソーJr.』というベスト盤も存在しています。
この1枚で一気にインディーズ時代のダイナソーJr.の代表曲が聴けるのでお得ですね♪
アルバム・ジャケットのよくわかんないゆるキャラっぽい歪な動物の絵もダイナソーJr.らしくって良いと思います。
それでは、次回は90年代のダイナソーJr.のご紹介をしたいと思います。
オマケ
この時期のシングル盤、”Little Fury Things”と”Freak Scene”と”Just Like Heaven”の3枚をまとめた『Fossils』という企画盤も存在しています。
僕も大学の頃にB面曲欲しさにこの作品を買いました!
また90年代の曲も含みますが、初期の曲を多く収録したBBCセッションを収めた『BBC Sessions』も必聴です!
公式のライヴ盤が存在しないダイナソーJr.の生々しいセッション音源を聴くことが出来ます!
ちなみに『BBC Sessions』に収録されている”Does it Float”は、最後にギターノイズまみれのフリーキーなジャムが始まるのですが、その最後にJがガンズの”Sweet Child O’ Mine”のギターリフを弾くお遊びをしていたりします。
この時期のダイナソーJr.のライヴでもちょくちょく”Sweet Child O’ Mine”を弾いているのがブートレッグで聴けたりもします
ガンズに喧嘩を売っていたカートと違って、Jはこの曲が好きだったんでしょうね。
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