2019/03/11
ハービー・ハンコックから大きな影響を受けたトランペット奏者エディ・ヘンダーソンの『Heritage』を聴こう♪
エディ・ヘンダーソンがブルーノート・レコードに残した『Heritage』をご紹介します。
ハービー・ハンコックの70年代初期の作品にも参加したトランペット奏者エディ・ヘンダーソン
今回はエディ・ヘンダーソンです!
このブログにも何度か登場していたサックス奏者のジョー・ヘンダーソンではなくって…トランペット奏者のエディ・ヘンダーソンです!
エディ・ヘンダーソンは、ハービー・ハンコックの70年代初期の作品に参加していたトランぺッターです。
そのアルバムとは、1971年の『Mwandishi』、1972年の『Crossings』、1973年の『Sextant』の3作品になります。
ハービー・ハンコックがワーナー・ブラザース・レコードに残した3枚の名作アルバムを聴こう♪
そのためか、自身のリーダー作でもハービーからの影響が感じられるような作品に仕上がっています。
特に今回ご紹介するこの『Heritage』は、ハービーの『Sextant』に近いファンク系のフュージョン曲が多く収録されています。
それではさっそくご紹介していきたいと思います。
Eddie Henderson -『Heritage』
01.Inside You
02.Acuphuncture
03.Time And Space
04.Nostalgia
05.Kudu
06.Dr. Mganga
07.Dark Shadow
Personnel:
Eddie Henderson – Trumpet, Flugelhorn
Julian Priester – Trombone
Hadley Caliman – Bass Clarinet, Soprano Saxophone, Flute
Patrice Rushen – Electric Piano, Clavinet, Synthesizer
Paul Jackson – Bass
Mike Clarke – Drums on Tracks 01 to 05
Woody Theus – Drums on Tracks 06 & 07
Billy Hart – Drums on Tracks 07
Mtume – Congas, Piano, Percussion
Recorded:at Wally Heider Recording Studios, San Francisco, California, April 2, 1976.
BN:636-G
アルバム参加メンバー
エディ・ヘンダーソン自身はハービーのヘッド・ハンターズにこそ参加していませんが、本作にはそのヘッド・ハンターズからベーシストのポール・ジャクソンにドラムのマイク・クラークが参加しています。
ヘッド・ハンターズのパーカッション奏者と言えば、ビル・サマーズなのですが、本作には代わりにマイルス・バンドからエムトゥーメが参加しています。
またハービー役として本作には、パトリース・ラッシェンが参加しています。
歌手として成功する前の彼女は、本作のようにエレピやクラヴィネット、シンセサイザーなんかを演奏していました。
こういったメンバーからも想像できるように、サウンドとしては同時代のハービーやウェザー・リポートのようなフュージョン系のサウンドに仕上がっています。
アルバムの内容
アルバム1曲目の”Inside You”は、エムトゥーメが書いた曲です。
ピアノのイントロからフュージョン系のシンセサイザーの音色が混じり、そこにヘッド・ハンターズ組のリズム隊がジャズ・ファンク調の土台を作り上げます。
バックのファンキーなリズムに対して、鍵盤が醸し出すハーモニーの幻想的な感じはフュージョン系だという対比が面白いですね。
そこにまるでマイルス・デイヴィスのようなミュート・トランペットの音色でエディ・ヘンダーソンがテーマ・メロディーを吹き始めます!
ところどころでディレイを使って音に厚みが出るようにしています。
曲が進むにつれ、幻想的なエレピを弾いていたパトリース・ラッシェンが、ファンキーなクラヴィネットに移行します。
ファンクとフュージョンが混じり合ったこの1曲目のイメージで本作は統一されています。
マイク・クラークのファットバックなドラムから始まる2曲目”Acuphuncture”は、本作にトロンボーンで参加しているジュリアン・プリースターの曲です。
1曲目と作者が違っても、本作の統一されたサウンドに変化はありません。
パトリース・ラッシェンの弾くファンキーなクラヴィネットに、マイルス風のミュート・トランペットを吹くエディ・ヘンダーソンは変わりありません。
トランペットソロの後に続くパトリース・ラッシェンのクラヴィネットのソロにも注目です!
ひとつひとつのフレーズを考えながら吹いているような硬いフレーズを吹くエディ・ヘンダーソンに対して、バックのリズムに自然とノッたファンキーなクラヴィネットソロの対比が上手くできています。
どことなく後のクリスチャン・スコットの作品に受け継がれていくような曲調です。
3曲目”Time And Space”は、エディ・ヘンダーソン自身が書いた曲です。
この雄大な曲で中心となってソロを吹くのは、ハドリー・カリマンです。
まるでウェザー・リポート期のウェイン・ショーターのようなソプラノ・サックスでソロを吹いています。
4曲目”Nostalgia”じは、1977年からフランク・ザッパのバンドに参加することになる技巧派ベーシストのパトリック・オハーンが書いた曲です。
ベーシストが書いた曲ですが、静かなトランペットのメロディーが中心となった曲です。
5曲目”Kudu”は、パトリース・ラッシェンの書いた曲です。
そのためかファンキーなフュージョン系の曲に仕上がっています!
こういった曲調では、やはりヘッド・ハンターズ組のリズム隊の腕の見せ所ですね♪
バックのファンキーなサウンドに対して、マイルス・デイヴィスを模倣するようなトランペット・ソロを吹くエディ・ヘンダーソンが最高です♪
6曲目”Dr. Mganga”は、ブレント・ランポーニが書いた曲です。
まるでハービーの『Sextant』に収録されていた曲のような、怪しい雰囲気のフュージョン曲です。
パトリース・ラッシェンのエレピの弾き方も、ハービー・ハンコックを彷彿させます!
最後の7曲目”Dark Shadow”は、エディ・ヘンダーソンの自作曲です。
この曲には『Sextant』でエディ・ヘンダーソンとも共演していたビリー・ハートがドラムを叩いています。
ハドリー・カリマンの吹くバス・クラリネットの怪しい音色が、マイルスの『Bitches Brew』のベニー・モウピンを彷彿させます。
ベニー・モウピンもハービーのヘッド・ハンターズ組でしたからね。
この辺のサウンドは、お互いに影響を受けたり与えたり…なんでしょうね。
そのムーブメントを作ったのはやはりマイルスであり、ハービーであった…ということですね。
以上、【ハービー・ハンコックから大きな影響を受けたトランペット奏者エディ・ヘンダーソンの『Heritage』を聴こう♪】でした。
同時期のマイルスやハービー・ハンコックにウェザー・リポートなどがお好きな方におすすめの作品です♪
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