2019/10/17
マゴット・ブレインの名演で知られる エディ・ヘイゼルの唯一のソロアルバム『Game, Dames and Guitar Thangs』を聴こう♪
エディ・ヘイゼルが1977年に制作した唯一のソロアルバム『Game, Dames and Guitar Thangs』をご紹介します。
ジミ・ヘンドリックス直系ヘヴィなファンクロック!
ちょうど前回【ファンクおすすめの名盤シリーズ⑧ 絶対に聴くべきファンクおすすめのライヴ盤5選】というブログ記事で、パーラメントのライヴ名盤『Live: P-Funk Earth Tour』をご紹介していました。
【ファンクおすすめの名盤シリーズ⑧】絶対に聴くべきファンクおすすめのライヴ盤5選
その関連で今回は、ファンカデリックやパーラメント等P-ファンクのギタリストとして活躍したエディ・ヘイゼルの唯一のソロアルバムについてご紹介したいと思います。
もうだいぶ前になるのですが、このブログで【ファンカデリックのギターがかっこいい曲6選】という記事も書いていました。
ファンカデリックのギターがかっこいい曲【6選】ファンカデリックに在籍した名ギタリスト3人からチョイス!
その時にもエディ・ヘイゼルのことを多少触れていたのですが……今回はマゴット・ブレインの名演が誉れ高いエディ・ヘイゼルが1977年にP-ファンクのメンバー達の助けを借りて制作したソロアルバム『Game, Dames and Guitar Thangs』をご紹介します。
Eddie Hazel – 『Game, Dames and Guitar Thangs』
01.California Dreamin’
02.Frantic Moment
03.So Goes the Story
04.I Want You (She’s So Heavy)
05.Physical Love
06.What About It?
07.California Dreamin’ (Reprise)
Personnel:
Eddie Hazel – Lead Vocals, Lead Guitar
Garry Shider, Glenn Goins, Mike Hampton – Guitar
Bernie Worrell – Keyboards, Synthesizer
Billy Bass, Bootsy Collins, Cordell Mosson – Bass
Jerome Brailey, Bootsy Collins, Tiki Fulwood – Drums
Dawn Silva, Gary Cooper, Lynn Mabry – Backing Vocals
アルバムの内容
1977年にリリースされたエディ・ヘイゼル唯一のソロアルバムは、まさかの1曲目”California Dreamin’(夢のカリフォルニア)“から始まります。
ママス&パパスの1965年の曲で、全米4位を記録した大ヒット曲です。
ジャズギター好きだとどうしてもウェス・モンゴメリーが1967年にアルバム『California Dreaming』で取り上げたオクターヴ奏法が主体のインスト・バージョンを思い起こしますが……
本作ではなんとエディ・ヘイゼルが自らギターを弾きながら歌っています!
原曲よりもウェスのバージョンよりもゆったりとしたテンポで、ブルースギターからの影響がみられるマイナーペンタトニック主体のイントロが始まります。
ブルースギターといっても、B.B.キングやフレディ・キングなどから直接影響を受けたフレージングというよりも、むしろジミ・ヘンドリックスのフィルターを通して影響を受けたはずです。
エディ・ヘイゼルのギタープレイは、その音色作りからしてモロにジミヘン風です。
ロータリースピーカー風のシュワシュワした音はフェイザーから作り出されています。
制作現場に立ち会ったわけではないので予想でしかありませんが……おそらく同時期にエディ・ヴァン・ヘイレンが使っていたMXR社の『PHASE 90』を使っているんじゃないかな?と思います。
どちらもエディという名前なので、「エディはフェーズ90がお好き♪」なんでしょう。(笑)
そこにファズで歪ませた音色と、クライベイビーと思われるワウペダルを合わせてジミヘン・サウンドの完成です!
原曲の印象的なメロディーラインをエレピがバックで奏でているのですが、その上をエディ・ヘイゼルのギターが冒頭から暴れまわります!
ファンカデリック期のアルバムでも、エディ・ヘイゼルの参加した作品はジミヘン風ギターが暴れまわることが多かったのですが……ソロアルバムとなるとジョージ・クリントンに遠慮する必要もないので、自由奔放にギターを弾きまくっています!
ボーカルも少しモチャッとした粘っこい歌い方ですが、ジミヘンほどクセもなく悪くはないです。
ブライズ・オブ・ファンケンシュタインの女性シンガー、ドーン・シルバとリン・メーブリーの2人のバックコーラスも加わり歌部分もしっかりとアレンジされています。
しかし本曲の一番の聴きどころは歌ではありません。
ジミヘン直系のヘヴィ・ファンクロックが「これでもか!」というように展開されています。
3分5秒のフレージングなんてモロにジミヘンですからね。(笑)
ウェスから10年後にカヴァーされた”California Dreamin'”は、ジミヘン風にアレンジされたファンクロックへと変貌していました!
2曲目”Frantic Moment”は、ジョージ・クリントンとバーニー・ウォーレルにブーツィ・コリンズが共作して書いた曲です。
逆回転のサイケデリックなイントロが、1977年という時代においても「時代遅れ」に感じたりもしますが……やはりエディ・ヘイゼルは、こういった60年代風サイケ・ロックの曲が得意なんですね。
こちらはエディ・ヘイゼルはギターのみで、歌部分はブライズ・オブ・ファンケンシュタイン組の女性シンガー2人に任せています。
時はディスコ・ファンク・ブームの最中!
時代に逆行するかのようなサイケ・ロックが今となっては逆にかっこよく聴こえます♪
3曲目”So Goes The Story”は、先ほどのソングライティング・チームの3人からバーニー・ウォーレルに代えてエディ・ヘイゼル自らも作曲に参加した楽曲です。
冒頭からフェイザーを効かせたディストーション・ギターが凶暴に暴れまわります!
この曲もエディ・ヘイゼルはリードギターに専念して、ボーカルはブライズ・オブ・ファンケンシュタイン組の女性シンガー2人が歌っています。
本作はギタリストのソロアルバムということで、ギターが主役なのは言うまでもありませんが、この曲のギターソロは特に凄いです!
エディ・ヘイゼルが、若手マイケル・ハンプトンにはまだまだ負けないぜ!と言わんばかりにギターを弾きまくっています。
そのバックではブーツィ・コリンズがオートワウを掛けた「ブワッブワッブワッワワッ」と喋り声のようなベースを弾いています。
次の4曲目”I Want You (She’s So Heavy)”は、なんとビートルズの『Abbey Road』に収録されていたカヴァー曲です。
もちろんジミヘン風のヘヴィなロック調にアレンジされています。
後にジャムバンドのソウライヴも全編ビートルズのカヴァーアルバムでこの曲を取り上げていましたが、もしかしたら本作でエディ・ヘイゼルが取り上げていたのを参考にしたのかな?なんて思ったりします。
この曲でもボーカルはブライズ・オブ・ファンケンシュタインの2人に任せて、エディ・ヘイゼルは口ではなくギターを歌わせます!
フュージョン全盛期の70年代後半にあって、もはやこういったジミヘン風のギターソロは時代遅れだったと思われますが……40年以上の時が経ち2019年現在で聴くと、もはや「ファンクロック・クラシック!」と言いたくなるような歴史的な名演ですね。
5曲目”Physical Love”は、ブーツィ・コリンズとゲイリー・シャイダーが中心になって書かれた曲です。
前年にリリースされていたブーツィのアルバム『Stretchin’ Out in Bootsy’s Rubber Band』にも収録されていたファンクロックです。
エディ・ヘイゼルの後にP-ファンク軍団に加入したゲイリー・シャイダーも自身が作曲に関わった曲なので、この曲でギターソロを披露しています。
イントロで左チャンネルから聞こえてくるデイヴィッド・T・ウォーカーのハープ奏法ようなダブルスラーを弾いているのがゲイリー・シャイダーのギターです。
その後中央から大きめの音でフェイザーの掛かったギターを弾いているのがエディ・ヘイゼルです。
この曲はインスト・ナンバーで、まずはエディ・ヘイゼルのギターソロがトップバッターを務めます。
2分31秒から始まる2番手のギターソロがゲイリー・シャイダーです。
どちらが上手いのか?ではなく、エディ・ヘイゼルとに負けず劣らずゲイリー・シャイダーもギターの名手ですね!
一応バーニー・ウォーレルのシンセサイザーのソロもあるのですが、そのバックでエディ・ヘイゼルとゲイリー・シャイダーが弾きまくっていて、もはやギターが主役でシンセはオマケ程度です。(笑)
6曲目”What About It?”は、エディ・ヘイゼルとジョージ・クリントンの共作曲で、なんとここでは当時のP-ファンク軍団期待の若手ギタリストのマイケル・ハンプトンが参加しています。
ちなみにこの曲は『Maggot Brain』の最後に収録されていた”Wars Of Armageddon”のリメイク曲になります。
おそらくリードを弾いているのがマイケル・ハンプトンで、オクターヴ・ボックスを使ってリフを弾いているのがエディ・ヘイゼルだと思います。
アルバム最後の7曲目”California Dreamin’ (Reprise)”は、リズム・マシンとブーツィのブリブリベースをバックにフィルターを通したボーカルをフィーチャーした1曲目の短い再演バージョンです。
まるでスライの『暴動』を意識したような曲です。
この曲があることで、本作が「1つの作品」として、まとまっている気がします。
以上、【マゴット・ブレインの名演で知られる ディ・ヘイゼルの唯一のソロアルバム『Game, Dames and Guitar Thangs』を聴こう♪】でした。
P-ファンク軍団の初代ギタリスト、エディ・ヘイゼルが残した唯一のソロアルバムは、ジミヘンの影響を感じさせながらもオリジナリティも出した傑作に仕上がっています。
やはりギター好きにこそおすすめしたいアルバムです。
ジミヘン好きの人はぜひ!
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