
2019/06/08
ニューオーリンズの偉大なるミュージシャン Dr.ジョンが亡くなりました。【追悼記事 おすすめ作品4選!】
米ニューオーリンズを代表する偉大なるミュージシャンのDr.ジョンが逝去
突然の訃報に驚きました。
つい2日前の2019年6月6日にニューオーリンズを代表する偉大なるミュージシャンのひとりDr.ジョンが77歳で亡くなりました。
こちらのブログでも何度かミーターズのことやプロフェッサー・ロングヘアなどのニューオーリンズ音楽をご紹介していますが、もちろん僕も同地の音楽の大ファンです。
僕がDr.ジョンを初めて聴いたのは大学生の頃にプロフェッサー・ロングヘア繋がりでDr.ジョンの代表作『Dr. John’s Gumbo』という作品からです。
そのちょっと前にリトル・フィートを聴いていたので「どこか似ているな~?」なんて思って聴いていました。
その後、他の作品も聴いてみるとミーターズがバック・ミュージシャンで参加していたり、またザ・バンドの解散ライヴの様子を映画化した『ラスト・ワルツ』に出演していたり…とますますDr.ジョンにハマっていきました。
しかし僕は結局一度も生でDr.ジョンを観ることがないまま亡くなってしまいました。
というわけで今回は追悼の意を込めて僕の好きなDr.ジョンのおすすめアルバムを4作品をご紹介したいと思います。
それでは4作品をリリースされた年代順にご紹介したいと思います。
Dr. John – 『In the Right Place』
1973年にリリースされた6作目のアルバム『In the Right Place』です。
この作品のリズム・セクションにはミーターズの4人のメンバーが参加しています。
それまでの作品とは違った粘っこいグルーヴが特徴のアルバムです。
またプロデューサーにニューオーリンズ音楽を代表するアラン・トゥーサンが参加しているため耳馴染みの良いキャッチーな楽曲も増えています。
初期の4作目までは少し聴く人を選ぶような風変わりな楽曲が多かったのですが、5作目の『Dr. John’s Gumbo』から一般受けするようなキャッチーなサウンドのアルバム作りに変わっています。
本作はその延長で更に聴きやすくなった作品です。
1曲目の”Right Place, Wrong Time”は、もはやニューオーリンズR&Bのクラシック・ソングのような曲で、パパ・グロウズ・ファンクやダンプスタファンクなどの近年のニューオーリンズ・バンドがライヴでカヴァーしています。
このオリジナル・バージョンでは、なんとセッション系スタジオ・ミュージシャンのデヴィッド・スピノザ がギター・ソロを弾いています!

その他の楽曲もミーターズの巧みな演奏に彩られたキャッチーな楽曲が並んでいます。
その中でもやはり突出した楽曲は”Such a Night”ですね。
この曲は先ほどもご紹介していた通りザ・バンドのラスト・コンサート『ラスト・ワルツ』でも披露されていた楽曲です。
ザ・ボナルー・ホーン・セクションによるチューバのゆったりとした雰囲気がバーボン・ストリートの気怠い夜を感じさせてくれています。
Dr.ジョンの最初に聴くべき作品はやはり『Dr. John’s Gumbo』なのですが、その次に聴くべきアルバムはやはりこの『In the Right Place』だと思います。


Dr. John – 『Desitively Bonnaroo』
間にマイク・ブルームフィールドとジョン・P・ハモンドとの連名アルバム『Triumvirate(三頭政治)』を挟んでいますが1974年に『In the Right Place』の次の作品としてリリースされた7作目の『Desitively Bonnaroo』です。
この作品もアラン・トゥーサンがプロデュースしたアルバムで、リズム・セクションにが全面参加しています。
もちろん僕がこのアルバムを好きな理由もミーターズが参加しているからです。
前作の”Right Place Wrong Time”や”Such a Night”のような突出した楽曲こそ収録されてはいませんが、全体の統一感はこちらの方が上だと言えます。
一応6曲目の”(Everybody Wanna Get Rich) Rite Away”がシングルカットされていますが、全米92位止まりです。
他にはニューオーリンズ・ブルースを代表するアール・キングの曲”Let’s Make a Better World”の曲など、Dr.ジョンにぴったりのカヴァー曲も収録されています。
『In the Right Place』を聴いたら、次はこの『Desitively Bonnaroo』を続きで聴きましょう♪

Dr. John – 『Goin’ Back to New Orleans』
時代は進んで、1992年にリリースされたアルバム『Goin’ Back to New Orleans』です。
本作は『Dr. John’s Gumbo』から20年の時を超えて再びニューオーリンズという土地に捧げられた作品です。
アルバムは、古い時代のニューオーリンズのピアニストのルイス・モロー・ゴットシャルクが1850年代に作った楽曲を下敷きに作られた1曲目”Litenie des Saints”から壮大に始まります。
2曲目には”St Louis Blues”で有名な「ブルースの父」ことW.C.ハンディの書いた”Careless Love”のカヴァーを取り上げています。
もはやDr.ジョンのオリジナル曲のように完全にモノにした素晴らしい演奏ですね♪
また興味深い所では、レッドベリーの”Goodnight Irene”を飛びっきり明るくカヴァーしていることです。
ニルヴァーナのカート・コバーンもMTVアンプラグドで取り上げていたバラード曲を、Dr.ジョンが演奏するとここまで明るい曲になるとは!といったところです。
ちなみにカート・コバーンは、スクリーミング・ツリーズのマーク・ラネガンからこの楽曲を教わっています。
ギター好き的には、ドン・ライエ の書いた8曲目”Do You Call That a Buddy?”や12曲目のバディ・ジョンソンの曲”Since I Fell for You”で聴けるトミー・モーガンのギター・ソロが聴きどころです。
古き良き時代のニューオーリンズの音楽を現代風に蘇らせた名盤がこの『Goin’ Back to New Orleans』です。
Dr.ジョンの集大成のような大作です!
ちなみに数曲でネヴィル・ブラザーズが参加しています。

Dr. John – 『Funky New Orleans』
2000年4月25日にリリースされたライヴ盤の『Funky New Orleans』です。
このライヴは1991年にニューヨークの老舗バードランドにて行われライヴを収録したものです。
音源は1991年の3月と11月に行われたライヴから選ばれています。
また本作にはニューオーリンズ出身の名サックス奏者のドナルド・ハリソンが参加しているのも特徴です。
そのためか、いつも以上に「ジャズ色」が感じられたりもします。
収録曲の中にはプロフェッサー・ロングヘアの”Big Chief”だけでなく、ワイルド・マグノリアス風のインディアン・チャントを含むファンク曲がいくつか見られます。
3曲目には女性ブルース・シンガーの始祖ともいえるルシール・ボーガンの曲”Shave ‘Em Dry”のカヴァーも収録されています。
ルシール・ボーガンは、タンパ・レッドやB.B.キングの”Sweet Little Angel”の元ネタで知られる”Black Angel Blues”を歌った歌手です。
ルシール・ボーガンといえば『ホーカム・ブルース』という際どい性的表現を含む歌詞をダンサンブルなリズムに乗せて歌うスタイルでした。
ということはこのShave ‘Em Dry”も、下の毛を剃ってツルツルに…といった意味でしょうか⁉(笑)
アルバムを通してDr.ジョンの粘っこい歌い方とは逆にスムースなドナルド・ハリソンのサックスが対比になっています。
ライヴ盤ならではの熱さも併せ持った名作ですので、ジャズ好きの方にもぜひおすすめしたい作品です♪
ニューオーリンズ音楽の良い部分をギュッと凝縮したようなライヴ盤です♪

以上、【ニューオーリンズの偉大なるミュージシャン Dr.ジョンが亡くなりました。】でした。
近年は体調を崩しがちで表舞台から遠ざかっていたDr.ジョンではありますが、昨日、突然の訃報を聞いた時はとても残念な気持ちでした。
4年前に亡くなったアラン・トゥーサンに続いて今度はDr.ジョンまでもが、またひとり偉大なミュージシャンが旅立たれました。
しかしDr.ジョンが残した素晴らしい音楽の数々は永遠に残り続けます。
マック・レベナックよ安らかに。
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