2019/08/13
新時代の正統派オルガン系ジャズファンク‼リューベン・ウィルソンの『Fun House』を聴こう♪
新時代の正統派オルガン系ジャズファンク‼リューベン・ウィルソンの『Fun House』をご紹介します。
目立たない作品だけれども、ぜひご紹介したい現代風オルガン系ジャズ・ファンク作品!
今回は完全に僕の個人的な好みの音楽をご紹介したいと思います。
って、これに限らずいつも個人的な好みしか書いてないですよね……。(笑)
その中でも特にお気に入りの音楽ジャンルが、今回ご紹介するリューベン・ウィルソンの『Fun House』のようなオルガン系ジャズ・ファンク作品です。
僕は自分もギターを弾くので、楽器の中では特にギターが一番好きです。
そんなギターが、ベースやドラムのリズム隊以外で最も相性の良い楽器と言えば……オルガンだと思います。
どちらもブルース/ゴスペルをルーツにもった楽器でもあるので、アーシーな黒人音楽を演奏するのにピッタリだと言えます。
そういった黒人音楽が僕は好きなのですが、その中でも特に明るく軽快な音楽が好きです。
暗く憂鬱な音楽も時には悪くないのかもしれませんが……普段から聴く分には僕にとっては重すぎます……。
そこで、こういったオルガン系ジャズ・ファンクのアルバムは基本的に明るく軽快な楽曲が多いので毎日飽きずに聴くことが出来ます。
また今回ご紹介する作品は、2000年代を過ぎてからリリースされている比較的気最近のアルバムになります。
そのため録音技術が向上しているので、各楽器の音もクリアーでより楽しさが伝わってきます。
60年代後半~70年代半ば頃の年季を感じさせる籠った音も味があって素晴らしいのですが、しかし最近のブライトなトーンで録音された作品の方がより爽快で楽しい気持ちになれたりします。
ジャズ・ファンクの歴史上ではまだまだ若い作品で、目立たないアルバムではありますが……それでも僕好みの作品ということで今回こうやって自分のブログでご紹介したいと思いました。
それではリューベン・ウィルソンの2005年の爽やかなアルバム『Fun House』のご紹介です。
Reuben Wilson – 『Fun House』
01.Easy Talk
02.Fun House
03.For the Love of You
04.Ronnies Bonnie
05.Love Time
06.Sweet Feet
07.Minor Yours
08.Loft Funk
Personnel:
Reuben Wilson – Organ
Melvin Sparks – Guitar
Cochemea Gastelum – Alto Saxophone (except Track 07)
Mike Clark – Drums
過去に共演歴のあるジャズ・ファンク系名ギタリストのメルヴィン・スパークスも参加した名作!
本作の目玉は、なんといってもギタリストにメルヴィン・スパークスが参加していることです。
メルヴィン・スパークスは、過去にもブルーノート・レーベルから1970年にリリースされたリューベンのリーダー作『Blue Mode』にも参加していました。
そこでの共演を聴くと、この2人の相性の良さが伺えます。
オルガンとギターは基本的に相性の良い楽器同士なのですが、たまに演者同士のノリが合わないこともあります……。
例えば、ジャズ・オルガン奏者の草分け的存在のジミー・スミスが、オルガンとの共演を得意としていたグラント・グリーンと唯一共演した作品があるのですが……どうもお互いの良さが出ないままの凡作だと感じました。
やはりジミー・スミスには、ソーネル・チシュワルツやケニー・バレルが合います。
グラント・グリーンには、”ビッグ”・ジョン・パットンやラリー・ヤングが合います。
こういった組み合わせも大事だと言えます。
そう言った点でも、リューベン・ウィルソンとメルヴィン・スパークスの相性はバツグンなんです♪
ジャズだけでなく、B.B.キングやチャック・ベリーなんかのブルース/ロックからの影響も受けているメルヴィンと、ソウルフルなリューベンのオルガンが本作一番のおすすめポイントです。
ちなみにこの2人の他には、ハービー・ハンコックのジャズ・ファンク期に活躍した名ドラマーのマイウ・クラークと、ディープ・ファンク・バンドのシャロン・ジョーンズ&ダップ・キングスの一員としても知られるアルト・サックス奏者のコーチマ・ガステラムが参加しています。
ベーシスト不在のベースパートは、オルガン・ジャズ系のいつものパターンでリューベン・ウィルソンのフットベースに拠るものです。
演奏陣も、まさに正統派オルガン系ジャズ・ファンクにピッタリのメンバーばかりですよね♪
アルバムの内容
アルバムは、ドラムのイントロからメルヴィンのギターリフで始まる1曲目”Easy Talk”から始まります。
この曲な、ラスティ・ブライアントやフレディ・キング等の共演で知られるオルガン奏者のハンク・マーが1964年に演奏した曲のカヴァーです。
1969年にリリースされたアルバム『Greasy Spoon』に収録されています。
本作収録のリューベンのバージョンではテンポを上げて、より軽快で爽やかにアレンジされています。
原曲ではサックスとギターがユニゾンでテーマメロディーを演奏していますが、本作のバージョンではオルガンとサックスがユニゾンでテーマを弾いています。
その間にメルヴィンが16分のカッティングでファンキーなグルーヴをバックで演出しています。
テーマが終わると早速メルヴィンのギター・ソロから始まります。
本作のリーダーは、オルガン奏者のリューベン・ウィルソンではありますが、やはり目玉はメルヴィンの参加でしょう!
フルアコのクリーントーンで流れるようにフレーズを弾きまくっています。
ギターの次はサックスのソロが始まります。
高音中心の明るいトーンで軽快に演奏されています。
その次にようやくリーダーのリューベンのオルガン・ソロが始まります。
フレーズの多さで間を埋め尽くすとようなメルヴィンとは対照的に、リューベンの方は間を活かしたソウルフルなソロを奏でています。
最高のオープニングで始まったアルバムは、次の2曲目のアルバム・タイトルトラック”Fun House”に繋がります。
リューベンのオリジナル曲による楽し気なテーマが心地良いジャズ・ファンク曲です。
この曲もサックスとオルガンによるユニゾンでテーマを弾いています。
最初にソロを弾くのはリューベンのオルガンで、少し長めに演奏しています。
そのためかメルヴィンのギター・ソロはなく、その次のサックス・ソロが終わると、後テーマに戻ります。
3曲目”For the Love of You”は、アイズレー・ブラザーズの名バラード曲のカヴァーです。
アイズレー・ブラザーズのメロウで大人のバラード曲を、原曲に近い形で演奏しています。
歌メロ部分はサックスが吹いています。
この曲もメルヴィンはバッキングのみでソロを弾いていません。
次の4曲目の”Ronnies Bonnie”から7曲目の”Minor Yours”までの4曲は全てリューベンのオリジナル曲です。
4曲目の”Ronnies Bonnie”は、先の”Fun House”に似た感じの心地良いジャズ・ファンク曲です。
メルヴィンのギター・ソロもあります。
5曲目の”Love Time”もゆったりとしたジャズ・ファンク曲で、メルヴィンのギター・ソロはありません。
しかし次の2曲は聴き所です!
6曲目の”Sweet Feet”は、少しアップテンポのジャズ・ブルース曲なのですが、こういった楽曲はメルヴィンの得意とするところです。
オルガンのテーマが終わると勢いよくブルージーなギター・ソロが登場します!
まるでタイニー・グライムスのような楽しく軽快なソロ演奏です♪
その演奏に感化されてか、リューベンのオルガン・ソロもノッています♪
そして本作のベストな演奏と言えそうな7曲目”Minor Yours”のみサックスが参加していないオルガン・トリオ編成で演奏されています。
その代わり、この曲でのメルヴィンのギター・ソロは燃え上がっています!
オルガンのテーマが終わるとかなり長めのギター・ソロが始まります。
そして1分35秒辺りから、グラント・グリーンやアイヴァン・”ブーガルー”・ジョーンズばりの執拗なシーケンス・フレーズの繰り返しが登場します!
完全にこの楽曲の持つグルーヴ感をモノにしたノリにノッた演奏です!
そしてアルバムは最後の8曲目”Loft Funk”で締めくくられています。
この曲はドラムのマイク・クラークが書いたテーマのメロディーがかっこいいジャズ・ファンク曲です。
マイク・クラークという人は、ハービー・ハンコックのジャズ・ファンク期の70年時代に活躍したドラマーで、2005年には既に59歳を超えていましたが、まるでチャーリー・ハンターが演奏しそうなジャムバンド風のこういった楽曲を書くのが凄いところですよね。
ちなみにマイク・クラークがそのチャーリー・ハンターと共演した『プレスクリプション・リニューアル』については以前このブログでも取り上げましたので、ご興味ある方はぜひそちらにも目を通してみてください。
ザ・ヘッドハンターズの一員マイク・クラークが“プレスクリプション・リニューアル”名義で行ったライヴ盤『Live At the Fox Theatre』を聴こう♪
2曲のカヴァー曲を含む全8曲、どの楽曲も明るく軽快なアレンジが施されていて聴いていて飽きることのない良曲ばかりです♪

以上、【新時代の正統派オルガン系ジャズファンク‼リューベン・ウィルソンの『Fun House』を聴こう♪】でした。
大ヒットするような楽曲が収録されているわけではありませんが……しかしどの楽曲も正統派のオルガン系ジャズ・ファンク曲ばかりなのでアルバム全体を通して統一感があります。
またメルヴィン・スパークスだけでなく、マイク・クラークという名手も参加していることで演奏陣のレベルの高さも味わえる作品に仕上がっています。
肩の力を抜いてリラックスしながら楽しく聴くのに適したジャズ・ファンク作品です♪

僕のお気に入りの作品です♪
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