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カテゴリー:Music

2019/09/26

【スーパー・フュージョン・グループ】ファンク・ファクトリー唯一の作品『Funk Factory』を聴こう♪

奇才マイケル・ウルバニアクがプロデュースしたスーパー・フュージョン・グループ『ファンク・ファクトリー』の作品をご紹介します。

スティーヴ・ガッドやアンソニー・ジャクソンにバリー・フィナティやトニー・レヴィンまで参加した豪華面子による近未来ジャズ・ファンクを体験せよ!

今回ご紹介するのはポーランド出身の奇才マイケル・ウルバニアクがプロデュースした『ファンク・ファクトリー』の唯一の作品『Funk Factory』というアルバムです。

 

マイケル・ウルバニアクは、1943年1月22日にポーランドの首都ワルシャワに生まれています。

 

主にバイオリンやサックスを演奏するミュージシャンでもあります。

 

1966年に『Urbaniak’s Orchestra』でデビューして以来、現在に至るまで数多くの作品を残しています。

 

演奏スタイルとしては、ジャズやフュージョン系が中心です。

 

そんな奇才マイケル・ウルバニアクが1975年にプロデュースしたスーパー・フュージョン・グループ『ファンク・ファクトリー』には、その界隈の凄腕ミュージシャンたちが録音に参加しています。

 

それでは今回は『ファンク・ファクトリー』の唯一の作品『Funk Factory』をご紹介したいと思います。

 

 

Funk Factory  – 『Funk Factory』

01.Watusi Dance
02.Horsing Around
03.Rien Ne Va Plus
04.After All the World Goes Home
05.Next Please
06.The Music in Me
07.Funk It
08.Lilliput
09.Sinkin’ Low

 

アルバム参加メンバー

 

まず一番目に付くのは、ドラムにスティーヴ・ガッドが参加していることです。

 

今も現役で活躍するガッドは日本でもファンが多く、フュージョン好きにとってはとても有名ですよね。

 

チック・コリアとスタンリー・クラークを中心に結成されたフュージョン・グループのリターン・トゥ・フォーエヴァーへの参加や、リチャード・ティーやコーネル・デュプリーを要するR&B系フュージョン・グループのスタッフへの参加が特に有名だと思います。

 

その他にもロック・ファンにとってはエリック・クラプトン・バンドのドラマーとして有名です。

 

またスタッフ解散後にはリチャー・ティーとコーネル・デュプリーと共に、自身のバンド、ガッド・ギャングとしても活動していました。

 

最近だと僕の尊敬する日本人ギタリストのトモ藤田さんのアルバムにも参加していました。

 

僕も含めこの辺の音楽ジャンルが好きな人なら誰しもがガッドのドラムのファンだと思います。

 

もはや説明不要なぐらいのスーパー・ドラマーですよね。

 

本作にはもう1人リターン・トゥ・フォーエヴァー組からジェリー・ブラウン(ジェラルド・ブラウン)もドラムで参加しています。

 

この2人のスーパー・ドラマーが曲によって交代で叩いています。

 

そしてこの2人とリズム隊のコンビを組むベーシストも2人のスーパー・プレイヤーが参加しています。

 

1人は6弦ベース奏者のアンソニー・ジャクソンです。

 

リー・リトナーや、アル・ディ・メオラのレコーディングに参加したことで有名となったフュージョン界隈の、ファースト・コール・ミュージシャンです。

 

そしてもう1人のベーシストが、なんと80年代にキング・クリムゾンに参加することになるトニー・レヴィンです。

 

キング・クリムゾンやピーター・ガブリエルのバンドのベーシストとしての印象が強いですが、本作制作時の70年代にはハービー・マンのアルバム制作に参加していたころです。

 

本作では基本的にはアンソニー・ジャクソンがメインのベーシストを務め、トニー・レヴィンは2曲のみで参加しています。

 

このリズム隊の面子だけをみても演奏力の高いアルバムが完成することは約束されたようなものですが、ギタリストも2人の凄腕が参加しています。

 

1人はクルセイダーズやブレッカー・ブラザーズでも活躍したスーパー・ギタリストのバリー・フィナティです

 

一応マイルス・デイヴィスの1981年の復活作『The Man with the Horn』にも参加していたのですが、あの作品ではマイク・スターンの方が目立っていましたからね……。

 

僕としてはブレッカー・ブラザーズの名盤『Heavy Metal Be-Bop』の方が印象的です。

 

本作ではバリー・フィナティーは6曲でギターを弾いています。

 

そしてもう1人のスーパー・ギタリストのジョン・アバークロンビーは最後の曲”Sinkin’ Low”のみ参加しています。

 

2017年に惜しくも亡くなってしまったジョン・アバークロンビーは、それまでの旧態依然としたジャズ・ギターに早い段階でロックの要素を取り入れたギタリストの1人でした。

 

今となってはフュージョン系ギタリストにとっては当たり前のロック・ギターの要素も、当時としては衝撃的だったことでしょう。

 

そんなアメリカのミュージシャン達に交じって本作のプロデューサーであるポーランド出身のマイケル・ウルバニアク自身も、ソプラノ・サックスやテナー・サックスにバイオリンを演奏しています。

 

そして本作のある意味主役でもあるモーグ・シンセサイザーを弾いているのが、同じくポーランド出身の鍵盤奏者ウロデック・グルゴウスキーです。

 

ウロデックの弾くスペイシーなモーグ・シンセサイザーのサウンドこそが、本作を近未来ジャズ・ファンク・サウンドに仕上げた一番の要因です。

 

まるでパーラメントの壮大な『近未来SF系宇宙ファンク・サウンド』と似たようなウネったサウンドを、当時の古き良きアナログ・シンセサイザーを以てして表現しています。

 

また本作にはポーランドの女性ジャズ・シンガーのウルシュラ・ドゥジャクも参加しています。

 

彼女の得意とする高音スキャットが所々で本作の近未来サウンドに適した良い味を付け加えています。

 

ボーカルだけでなくシンセサイザーやパーカッションも演奏する多才ぶりです。

 

アメリカとポーランドを代表するようなフュージョン系ミュージシャンが集まって制作されたのが本作『Funk Factory』ということです。

 

 

アルバムの内容

本作収録曲のほとんどは、ポーランドのヴォーカル・グループのノヴィ・シンガーズのメンバーだったベルナルト・カフカが書いています。

 

マイケル・ウルバニアクが書いた曲は”After All the World Goes Home”と”Funk It”の2曲のみです。

 

ウロデック・グルゴウスキーは、1曲目の”Watusi Dance”と8曲目の”Lilliput”の2曲を提供しています

 

そのウロデックのペンによる1曲目”Watusi Dance”から本作の特徴的な近未来ファンク・サウンドが始まります。

 

ベルナルト・カフカとウルシュラ・ドゥジャクによるスキャットのイントロから始まり、ウロデックの弾くモーグがガッドのドラムとアンソニー・ジャクソンのベースと共にウネるグルーヴを醸し出しています。

 

そこにマイケル・ウルバニアクによるエフェクトを付け加えたエレクトリック・サックスやエレクトリック・ヴァイオリンがメロディーを奏でます。

 

ソロ部分ではまるで宇宙人かサイボーグか何かの呻き声のようなサウンドをエレクトリック・ヴァイオリンで表現しています。

 

こういった電子音が近未来のサウンドを演出こそしていますが、シンセのリフやドラムとベースのグルーヴだけを聴いてみると割とオードックスなジャズ・ファンクだったりするのが耳馴染み良い部分なんだと思います。

 

これがあまりにフリーキーな電子音だらけだと聴くのが辛くなりますからね……。

 

サウンドこそ近未来風ですが、リズムは規律のあるファンクなのが良いところです。

 

マイケル・ウルバニアクの弾くどこか牧歌的なユニークなヴァイオリンのイントロから始まる2曲目”Horsing Around”は、ベルナルト・カフカとウルシュラ・ドゥジャク以外にも数名のコーラス隊が参加した楽曲です。

 

イントロは曲名通りに馬の鳴き声入りです。

 

ドラムはガッドからジェリー・ブラウンに交代しています。

 

この曲からバリー・フィナティのギターが登場します。

 

ワウペダルを使って「ワカチョコ♪ワカチョコ♪」とファンキーなリズムギターを弾いています。

 

マイケル・ウルバニアクのフリーキーなヴァイオリンソロも楽しめる曲ですが、なんといってもこの曲で一番すごいのはアンソニー・ジャクソンのベースラインです!

 

とにかくベースが目立つ目立つ!

 

これだけ電子音や多数のボーカルが入っているのに、ベースのあまりのグルーヴ感に低音ばかりに耳が行ってしまいそうです!(笑)

 

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Ryo
ベーシスト必聴の楽曲です♪

 

3曲目”Rien Ne Va Plus”は、ウルシュラ・ドゥジャクがメインで歌うボーカル曲です。

 

ミドルテンポのこのファンク曲のドラムを叩くのはガッドです。

 

なんとソロ部分をウルシュラ・ドゥジャクとベルナルト・カフカがボイスで表現する奇抜な楽曲でもあります。

 

それでもバックのリズム隊は普通にジャズ・ファンク系の演奏をしているのが本作の面白い部分でもあります。

 

4曲目”After All the World Goes Home”はプロデューサーのマイケル・ウルバニアクの書いた曲です。

 

この曲もウルシュラ・ドゥジャクをメインボーカルに、バックに数人のコーラス隊が参加した楽曲になります。

 

ドラムはジェリー・ブラウンでバリー・フィナティのワウギターもリズム隊に貢献しています。

 

ここから”The Music In Me”までの3曲は、アンソニー・ジャクソンのベースとジェリー・ブラウンのドラムにバリー・フィナティのギターが参加する編成で演奏されています。

 

まるでエレキギターのようにも聴こえるソロを弾いているのは、マイケル・ウルバニアクのエレクトリック・ヴァイオリンになります。

 

この部分はバリー・フィナティのギターによるものではありません。

 

あくまでもバリー・フィナティのはバックでリズムギターに徹しています。

 

5曲目”Next Please”は、ベルナルト・カフカの書いた曲で、ボーカル陣のスキャットとユニゾンで弾くバリー・フィナティのギターのイントロから始まります。

 

ウロデック・グルゴウスキーのモーグによるスペイシーなソロが聴きどころです。

 

6曲目”The Music in Me”は、ベルナルト・カフカとリンダ・”テキーラ”・ローガンが共作したバラード曲です。

 

リンダ・”テキーラ”・ローガンは、オルガン奏者のラリー・ヤングの『Larry Young’s Fuel』で歌っていた女性シンガーです。

 

彼女は本作のこの曲を共作するのみならず、この曲のメインボーカルでも参加しています。

 

さすがに歌が上手いので安心して聴くことが出来ます。

 

マリーナ・ショウやランディ・クロフォードの楽曲を彷彿させる美しいバラード曲です。

 

7曲目”Funk It”は、マイケル・ウルバニアクが書いた軽快なファンク曲です。

 

この曲と次の8曲目”Lilliput”は、スティーヴ・ガッドとトニー・レヴィンのリズム隊で演奏されています。

 

こちらの”Funk It”は、ウロデックのスペイシーなシンセソロとマイケル・ウルバニアクの喋り声のようなヴァイオリンソロが面白い楽曲です。

 

この曲こそラリー・ヤングの『Larry Young’s Fuel』に収録されていそうな感じの曲調ですね。

 

曲の締めにボーカルのスキャットとユニゾンで駆け上がっていくベースとドラムのハイレベルなテクニックに脱帽です!

 

8曲目”Lilliput”は、どことなくキング・クリムゾンを感じさせる曲調ですが、この時点ではまだトニー・レヴィンはクリムゾンに参加していなかったはずです。

 

もしやこれが前兆だったとか⁉(笑)

 

少し不気味なボイスや、マイケル・ウルバニアクの吹くエレクトリック化されたソプラノ・サックスとか、一瞬ロバート・フリップのようにも聴こえるバリー・フィナティの歪んだギターがクリムゾンしています。

 

最後の9曲目”Sinkin’ Low”は、ベルナルト・カフカの書いたフュージョン系のアップテンポの曲です。

 

リズム隊はアンソニー・ジャクソンとジェリー・ブラウンに戻り、この曲のみギターにジョン・アバークロンビーが参加しています。

 

ジョン・アバークロンビーはギターソロも披露しています。

 

ギターソロの後にウロデックのエイリアンの声のようなウネるサウンドのシンセソロ、そしてマイケル・ウルバニアクの弾く6弦ビオラ(アルペジョーネ)による過激なソロで締めくくられています。

 

ソロだけでなく何度か登場するキメのフレーズが、ボーカルのスキャット共に高速でユニゾンで弾かないといけない高難度の楽曲構成です。

 

しかしさすがのアンソニー・ジャクソンのベースは、信じられないほどのハイテクニックであっさりと弾ききっています!

 

本作は楽曲のかっこよさだけでなく、演奏陣のレベルの高さも魅力的な作品ですね♪

 

 

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Ryo
おすすめ曲は、#1 #2 #5 #6 #8 #9

 

 

以上、【ファンク・ファクトリー唯一の作品『Funk Factory』を聴こう♪】でした。

 

この1作のみの企画バンドではありますが、しかし全9曲に全てを詰め込んだような傑作に仕上がっています。

 

この時代のフュージョンがお好きな方はもちろん、一風変わったジャズ・ファンク系のアルバムをお探しの方にもおすすめです♪

 

それにガッドやアンソニー・ジャクソンのファンの人にもおすすめできるアルバムです。

 

特に本作は、アンソニー・ジャクソンの存在の大きさが目立つアルバムです。

 

これだけ個性的なミュージシャンたちがフロントを張る中、アンソニー・ジャクソンの低音が負けず劣らず目立つというのはやはり鉄壁のグルーヴの為せる業ですね!

 

音楽って表面上のハーモニーやメロディーだけが重要なわけではありませんからね。

 

いくら素晴らしいメロディーや美しいハーモニーがあっても、リズムが無茶苦茶ではそれはもはや『音楽』ではありません!

 

音楽の本質は、心地よくグルーヴする鉄壁のリズムがあってこそです!

 

これだけ派手なフロント陣がいながらも、『音楽』にとってのリズムの重要性をアンソニー・ジャクソンのベースから感じることが出来ます。

 

またアンソニー・ジャクソンだけでなく2曲のみの参加ですが、トニー・レヴィン好きのベーシストも要チェックのアルバムです。

 

個人的には1曲のみですが、美しいバラード曲を歌ってくれたリンダ・”テキーラ”・ローガンの存在も大きい作品です。

 

忙しい曲が多い中、唯一のバラード曲”The Music in Me”が良い箸休めになっています♪

 

 

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