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カテゴリー:Music

2019/09/19

ビバップだけじゃない⁉コーネル・デュプリーも参加したディジー・ガレスピーのソウル・ジャズ作品『Soul & Salvation』を聴こう♪

ビバップの巨匠ディジー・ガレスピーが1969年に制作したソウル・ジャズ作品『Soul & Salvation』をご紹介します。

ビリー・バトラーやコーネル・デュプリーといったR&B系セッション・ギタリストも参加した意欲作!

それまでBGMのように気軽に掛けて楽しむだけだったスウィング・ジャズに、クラシック音楽の要素や即興性を取り入れて1940年代辺りからジャズは『ビ・バップ』という新しいスタイルが生まれました。

 

これによって単なる娯楽のための音楽であったジャズが、より芸術性の高いものへと変化していきました。

 

その変化の中心にいたのが、アルト・サックス奏者のチャーリー・パーカーとトランペット奏者のディジー・ガレスピーでした。

 

この2人のアイデアがあったからこそ、今日のようにジャズは即興性の高い難解な音楽へと変化していったと言っても過言ではありません。

 

そんなビバップにも限界が見えてきたころ、よりバンドの一体感を意識したハード・バップへとジャズは進化していきました。

 

無頼派と言われた自由奔放なビバップに対して、ハード・バップは全体のアンサンブルの強化が試みられたスタイルです。

 

その後のジャズと言えば、ドラム奏者のアート・ブレイキーやトランペット奏者のマイルス・デイヴィス等によって「バンドのアンサンブル」により重要性を見出したハード・バップの方が主流へとなっていきました。

 

そして1960年代にロックやポップスと言った音楽がシーンを圧巻すると、ジャズはそれらのジャンルをも飲み込んでジャズ・ロックやソウル・ジャズといった風に変化していきました。

 

チャーリー・パーカーは1955年に惜しくも亡くなっていますが、ディジー・ガレスピーは1993年まで長生きしています。

 

ビバップの権化とも言えるディジー・ガレスピーも、時には音楽シーンの流行りに乗らなければいけないこともありました。

 

そんなわけもあってか、1969年というR&Bやファンク全盛期の時代に録音されたソウル・ジャズ系のアルバムが残されています。

 

それが今回ご紹介したい『Soul & Salvation』という作品です。

 

この作品は何度もアルバム名やジャケットや曲順を変えて再発されているようですが、今回は2005年にオリジナル・フォーマットでCD化された物をご紹介したいと思います。

 

ちなみに本作はビリー・バトラーやコーネル・デュプリーといった、キング・カーティス組のソウルフルな演奏を得意とするギタリスト達が参加した作品でもあります。

 

 

Dizzy Gillespie – 『Soul & Salvation』

 

01.Stomped & Wasted
02.Pot Licka
03.Blue Chuchifrito
04.Turnip Tops
05.The Fly Fox
06.Chicken Giblets
07.Casabah Melon
08.Clabber Biscuits
09.Rutabbag Pie
10.Turkey Fan

 

アルバムの内容

本作に収録されている10曲は、プロデューサーも務めたエド・ブランドによって全て書かれた楽曲ばかりです。

 

どことなく「食べ物」系の曲名が並んでいるのも当時のソウル・ジャズ風ですね。

 

1曲目”Stomped & Wasted”のイントロから思いっきりソウルフルなギターのリフで始まります。

 

リズムも4ビートではなくファンキーな16分音符で演奏されています。

 

R&B系のギター・カッティングを中心としたミドルテンポでグルーヴするソウル・ジャズ系の楽曲です。

 

まずはこの曲のメインのテーマが終わると、先にサックスのソロが始まり、その後ホーン隊によるキメフレーズへとなだれ込みます。

 

本作にはサックスだけでも5本、トランペットはガレスピーも併せて3本、そこにトロンボーンと数多くのホーン奏者が参加しています。

 

2分13秒で一旦ブレイクが入り、ここから主役のガレスピーのトランペットソロが始まります。

 

ビ・バップ全盛期の頃のようなフレーズを積み込むような速弾きは登場しません。

 

まるでマイルス・デイヴィスかのような、バックの演奏陣とのアンサンブルを大事にした演奏です。

 

フレーズもやたらと詰め込み過ぎず、必要最低限の音だけでまるでシンガーが歌うかのようにメロディアスに吹いています。

 

2曲目”Pot Licka”は、イントロから女性コーラス隊が「ウ~~~ウウウ~~♪」とゴスペル風に歌ったR&B系の楽曲です。

 

ガレスピーのトランペットは、そのコーラス隊のバックで、まるでコール&レスポンスのように呼応したフレーズを吹いています。

 

この曲ではソロパートが用意されているわけでなく、終始女性コーラス隊のバックでトランペットを吹いている形になります。

 

アレサ・フランクリンやオーティス・レディングが歌ってもおかしくないような、とてもソウルフルな楽曲です。

 

3曲目”Blue Chuchifrito”は、コーネル・デュプリーと思われるギター・カッティングが全体の演奏を主導するR&B系の曲です。

 

本作に参加したジェイムス・ムーディーとジョー・ファレルが曲によってはサックスだけでなくフルートも披露しています。

 

そのフルートによる曲のテーマ部分が終わると、ガレスピーのトランペットソロが始まります。

 

ビ・バップ時代のようにフレーズを敷き詰めるのではなく、ちゃんとバックのコードトーンを意識した歌心溢れる演奏を心掛けているのが聴き取れます。

 

アルト・サックスの泣けるようなイントロから始まるソウル・バラード曲の4曲目”Turnip Tops”でも女性コーラス隊が登場します。

 

「イェイ♪イェイ♪イェイ♪イェイェェェ~~~~♪」という女性コーラスのバックを、まるでハンク・クロフォードやデビッド・”ファットヘッド”・ニューマンのようなソウルフルなサックスの音色が彩ります。

 

途中でサックスがガレスピーと交代し、次はトランペットによるコーラス隊との絡み合いが始まります。

 

2曲目の”Pot Licka”と同様に明確なソロパートはなくそのまま楽曲は終わりを迎えます。

 

5曲目”The Fly Fox”は、軽快なギター・カッティングから曲が始まり、そこにフルートのイントロが乗っかります。

 

メインのテーマ部分は、ミュート・トタンペットとヴィブラフォンがユニゾンで演奏しています。

 

テーマが終わるとガレスピーのトランペットソロが始まります。

 

6曲目”Chicken Giblets”は、どことなくミーターズを彷彿させるようなワウギターの間抜けなフレーズのイントロから始まります。

 

ガレスピーのトランペットに絡み合う他のホーン隊とのやり取りが盛り上がっりを見せる楽曲です。

 

7曲目”Casabah Melon”、8曲目”Clabber Biscuits”と同じ路線の曲が続き、9曲目”Rutabbag Pie”で女性コーラス隊が再び登場します。

 

エディ・フロイドを思い起こさせるような60年代風のR&B曲です。

 

少し濁ったダーティーなトランペットのミュート音が、この楽曲の持つイナタさを際立たせています。

 

最後の10曲目”Turkey Fan”は、それこそ当時のアレサ・フランクリンが歌いそうなR&B系の楽曲です。

 

最後の最後にガレスピーのトランペットソロで本作は締めくくられています。

 

 

Ryo@Dixiefunk Lab.の白アイコン
Ryo
おすすめ曲は、#1 #2 #4 #6 #9

 

 

以上、【ビバップだけじゃない⁉コーネル・デュプリーも参加したディジー・ガレスピーのソウル・ジャズ作品『Soul & Salvation』を聴こう♪】でした。

 

少し残念なのが、どうしてもディジー・ガレスピーが主役なのでビリー・バトラーやコーネル・デュプリーといったギターの名手が参加していながら、この2人のギターソロをフィーチャーしていないところです。

 

トランペットやサックスなどのホーン隊のみがフロントを務めているのは、やはりビ・バップ時代に活躍したガレスピーの主義なのでしょうかね?

 

あの時代のギターは、まだソロを自由に弾く楽器ではなく単なる伴奏楽器でしたから……。

 

2人の名ギタリストが参加していながら、ギターソロがないのはとても残念な部分ではあります。

 

なので、コーネル・デュプリーのブルージーなギターソロを目当てで本作を購入するのはおすすめできません。

 

もちろん理由は、そもそもギターソロがないからです。

 

しかしギターをソロ楽器としてだけ捉えるのではなく、ソウルフルなR&B系のバッキングも重要だと考える人にはおすすめかもしれません。

 

また本作は女性コーラス隊こそ参加していますが、基本はインストが中心のアルバムです。

 

歌モノではないのでご注意ください。

 

R&B系のバック演奏をもとに、女性コーラス隊が入ったり数多くのホーン隊が絡み合う作品です。

 

そこにビ・バップ時代から活躍していた大御所のディジー・ガレスピーが、時代に合ったソウルフルなソロを吹いてリードするアルバムです。

 

なので、やはり60年代後半~70年代半ば辺りのソウルジャズ/ジャズファンク系がお好きな人に一番おすすめしたい作品です♪

 

ミーターズや90年代以降のディープ・ファンク等がお好きな人にもおすすめですよ♪

 

 

 

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