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2024/07/03
オリジナル・アルバムを勝手にベスト5!ダイナソーJr.編
【第18回】オリジナル・アルバムを勝手にベスト5シリーズ
ノイジーなギターとキャッチーなメロディ、ダイナソーJr.のおすすめアルバムをご紹介!
【オリジナル・アルバムを勝手にベスト5シリーズ】の第18回です。
前回はローリング・ストーンズをご紹介していましたが、今回はそのストーンズからも大きな影響を受けているバンド、ダイナソーJr.のオリジナル・アルバムから僕の好きな作品をランキング形式で5枚ご紹介します。
オリジナル・アルバムを勝手にベスト5!ローリング・ストーンズ編
米国オルタナティヴ・ロックを代表するバンド、ダイナソーJr.について
ダイナソーJr.は、ハードコア・パンク・バンドのディープ・ウーンドでドラムを叩いていたJ・マスキスがスティックを置いて、ギターを手にロックを歌い出したことから始まりました。
マスキス以外のメンバーは、ベースのルー・バーロウとドラムのマーフがオリジナル・メンバーです。
1983年に活動を始めた頃はバンド名に”Jr.”の文字は付いていなく、単純にダイナソーというバンド名でした。
しかし同名のバンドが存在したため、こちらの3人組がバンド名を代えて「ダイナソーJr.」となりました。
インディーズで3枚のアルバムをリリースした頃、1989年にベースのルーが脱退してしまいます。
その後ルーは自身のバンドセバドーで活動を続けていきます。
ここでオリジナル・メンバーの構図が崩れたものの、メジャー・レーベルに移籍してクオリティの高いアルバムをいくつかリリースしていきます。
ルーの代わりにマイク・ジョンソンを加入させますが、程なくして今度はマーフが脱退してしまいます。
マーフの代わりに新たにジョージ・バーズをドラム担当として加入させるのですが、もはやここまでメンバーが変ると「J・マスキスのバンド」といった形態になっていました。
ほぼマスキスのソロ活動のようになってしまったダイナソーJr.は、1997年に解散をします。
その後マスキスはソロ活動を続けていくのですが、2005年に初期の作品が再発されるに辺り、ダイナソーJr.のオリジナル・メンバーが再び集結します。
マスキスにルーにマーフ、この3人が揃って2007年に再結成後初となるアルバムをリリースします。
その後、順調にアルバムのリリースを続けて、今現在もこの3人でダイナソーJr.を続けています。
ダイナソーJr.の音楽性
ここでダイナソーJr.の音楽性について簡単に説明しておきたいと思います。
ダイナソーJr.のメンバーはもともとハードコア・パンクが好きなため、そういった激しいロックを演奏するバンドです。
特にマスキスは大音量でファズを効かせた過激なギターを弾くことで有名です。
「轟音王子」等と揶揄されるように、エレクトロ・ハーモニックスのファズ・エフェクターのビッグマフを使った歪みサウンドが特徴的です。
またマスキスはフェンダー社のギターが好きで、初期の頃はジャズマスターをメインで使っていました。
これに関しては、本当はストラトキャスターを使おうと考えていたものの、この当時はストラトが高くって仕方なく安かったジャズマスターを購入したのがきっかけだったとマスキス本人がインタビューで語っていました。
90年代中頃辺りからはジャズマスターだけでなくテレキャスターも使うようになり、今ではフェンダーから正式にシグネチャー・モデルまで発売されています。
ファズで歪ませたギターだけでなく、アコースティック・ギターを使うことも多々あり、マスキスの鼻歌みたいなボーカルからニール・ヤングを彷彿させます。
過激なギターのノイズまみれな曲調であってもポップさを忘れない点でもニール・ヤングにそっくりです。
しかし度々インタビュー等でニール・ヤングに似ていると例えられることに嫌気を差しているのか?マスキスはニール・ヤングからそこまで影響を受けていないと否定することがあります。
その代わりに自身の音楽性はローリング・ストーンズからの影響が強いと語っています。
まぁ本人がそう語ってはいるものの、そこまでストーズからの影響が濃い曲は見当たらないんですがね…。
どう考えてもニール・ヤング風です。
他にもマスキスのギターサウンドが、ハードコア・パンク・バンドのハスカー・ドゥのギタリスト、ボブ・モールドと似ているとインタビュアーに言われた時にも「どこが?全然似てないよ!」とかなり怒って反論していました。
「誰かに似ている」と言われるのはあまり気分の良いものではないので、マスキスが怒るのもわからなくはないです。
でも…確かにボブ・モールドからの影響を感じるのも事実です。
それでも「誰かのパクリ」バンドではなく、唯一無二の個性を持っているのがこのダイナソーJr.です。
それでは今回もベスト盤とライヴ盤にコンピレーション・アルバムを除いたスタジオ録音のオリジナル・アルバムから5枚に厳選してご紹介します。
まずは第5位からです。
オリジナル・アルバムを勝手にベスト5:ダイナソーJr.編
第5位:Dinosaur Jr. – 『Farm』
第5位は、再結成後の2作目となる通算9作目のアルバム『Farm』です。
2009年の作品です。
残念ながら本作収録曲は今となってはほとんどライヴで演奏されることはなくなりましたが、僕は冒頭1~4曲目の流れが好きです。
特にマスキスのメロウな曲作りの才能が発揮された”Plans”は、隠れた名曲です。
MVが制作されたリード・トラックの “Over It”は珍しくマスキスがワウギターを弾いたポップ・ソングです。
マスキスは滅多にワウペダルを使わないのですが、この “Over It”は珍しくワウが目立つ曲です。
ちなみに余談なのですが、1993年にリリースされたグランジ/オルタナ・バンドとヒップホップ・ミュージシャンがそれぞれコラボしたオムニバス盤『Judgment Night』でマスキスのワウギターを聴くことが出来ます。
このアルバムではダイナソーJr.は、デル・ザ・ファンキー・ホモサピエンのラップにバック演奏を提供しています。
話は逸れましたが、本作『Farm』は僕がよく聴くアルバムの1つです。
その理由の1つに、本作のギターサウンドがいつも以上に生々しく録音されているからです。
むしろこの『Farm』のギターサウンドの良さは、ダイナソーJr.のアルバムの中でも最高クラスだと言えます。
最近では本作の収録曲はライヴで演奏されなくなりましたが、曲の質が悪いわけではなく、ギターサウンドも良いので、未聴の方はぜひ聴いてもらいたいアルバムです。
おすすめは2曲目”I Want to Know”のギターソロです♪
モジュレーションの掛かった硬質なギターサウンドが素晴らしい!
第4位:Dinosaur Jr. – 『Where You Been』
第4位はメジャー・デビュー後2作目となった通算5作目のアルバム『Where You Been』です。
なんともホラーなイラストを採用したアルバム・ジャケットですが1993年にリリースされて3枚のシングル・ヒットも出しています。
まずは最初にバラード曲の”Get Me”がシングル化されています。
恋人との別れを歌った曲がなんとなくルーとの友情の別れにも感じられるメロウな名曲です。
実は僕が人生で初めてギターソロで感動したのがこの曲でした。
それまで音楽はボーカルを中心に聴いていて、ギターはリフしか聴いていませんでした。
最近のZ世代が「ギターソロは聴かない!」と言われているように、僕も当時はギターソロに興味はありませんでした。
しかしこの曲で2回あるマスキスのメロディアスなギターソロを聴いて、「まるでギターが歌っているかのようなメロディアスな音色だな~♪」と感動しました。
これがきっかけで僕はギターソロを聴くようになり、今では自分でもバンド活動やセッションでもアドリヴでギターソロを弾けるようにまでなれました。
僕のギター人生はJ・マスキスからの影響が大きいです。
そういった感謝の気持ちからもこの”Get Me”が収録された本作は思い入れのあるアルバムです。
他にもヘヴィ・メタルばりに歪んだギターがかっこいい”Out There”と、オシャレなギターカッティングで始まる”Start Choppin”の2曲もシングル・カットされています。
特に”Start Choppin”の方はバンドのお気に入りのようで、今でも度々ライヴで演奏されています。
もちろんシングル曲だけでなく、キャッチーな歌メロがやみつきになる名曲 “What Else Is New”や、ハードコア・パンク風の”On the Way”に、アコースティック・ギターをメインに使った”Goin Home”等、素晴らしい曲満載です!
曲作りの面では本作がJ・マスキスの全盛期だったと言えます。
第3位:Dinosaur Jr. – 『You’re Living All Over Me』
J・マスキス本人が一番のお気に入りに挙げているのが本作『You’re Living All Over Me』です。
『You’re Living All Over Me』は、1987年にリリースされた2ndアルバムです。
演奏も録音状況も荒々しいながらも、逆にそれがハードコア・パンク風の良さへと繋がっている名作です。
マスキスの過激なノイズまみれのワウギターから始まる “Little Fury Things”は、ダイナソーJr.を代表する曲で、今でもライヴで頻繁に演奏されています。
他にもスケールの大きいギターリフを持った “SludgeFeast”や、陶酔感があるイントロのジャム部分が印象的な”The Lung”、キャッチーな”In a Jar”等、本作収録曲は今でもライヴでよく演奏されています。
もしかしたらこのアルバムこそが「最もダイナソーJr.の本質を表した作品」なのかもしれません!?
ダイナソーJr.のライヴを観に行く前に必ず予習として聴いておきたい名作です。
第2位:Dinosaur Jr. – 『Bug』
第2位に選んだのはインディーズ時代最後のアルバムとなる通算3作目の『Bug』です。
先ほどの『You’re Living All Over Me』の次の作品として1988年にリリースされました。
シングルとしてもリリースされた1曲目の”Freak Scene”は、ダイナソーJr.を代表する曲です。
僕もこの曲のギターリフが大好きで、楽器屋さんでギターを試奏する際にこの曲をよく弾いています。
このギターリフを弾くのってすごく楽しいんですよね♪
他にもキャッチーなメロディラインを持った “They Always Come”や、ワウを使ったギターリフがかっこいい “Yeah We Know”に、ハードコア・パンク風のアップ・テンポな”Budge”等、どれも名曲ばかりです。
アルバム最後の”Don’t”は、まるでソニック・ユースのような過激なノイズまみれの楽曲です。
このアバンギャルドさは、後に活躍することになるニルヴァーナに受け継がれています。
本作はファン人気も高く、オリジナル・メンバーで再結成後の2011年に本作収録曲をライヴで全曲再現した映像作品『実演! バグ』までもリリースしています。
「ダイナソーJr.らしさが感じられるアルバム」としては本作が最高傑作だと言えます。
しかし今回のランキングでは第2位とさせていただきました。
第1位は、「ダイナソーJr.のアルバムの中で最も有名なアルバム」だけれども、実は「最もダイナソーJr.らしくない」あの作品です。
第2位:Dinosaur Jr. – 『Green Mind』
ニルヴァーナの『Nevermind』やパールジャムの『TEN』といった数多くのロックの名盤がリリースされた1991年にダイナソーJr.も名盤をリリースしています。
メジャー・デビュー1作目となった『Green Mind』は、「ダイナソーJr.のアルバムの中で最も有名なアルバム」となりました。
特にシングル・カットもされた1曲目の “The Wagon”の人気が高く、ライヴでは最後に演奏されるほど重要な楽曲です。
もちろん僕もこの “The Wagon”は大好きなのですが、他のダイナソーJr.のアルバム、特に初期の3作品やオリジナル・メンバーでの再結成後のアルバムと比べると本作はあまりにもポップすぎます。
だから聴きやすくって人気だということもありますが、よく考えたら本作は「最もダイナソーJr.らしくない」異質なアルバムなんですよね。
本作収録曲の”Puke + Cry”や “Blowing It”に”How’d You Pin That One on Me”といった爽やかでポップすぎる曲は、他のアルバムにはないような曲調です。
“Muck”のグルーヴィーなミュート・カッティングもここでしか聴けないような演奏ですからね。
そしてライヴの定番でもあるあまりにも悲しい曲”Thumb”も異質です。
「いい事なんて何もない。いつも上手く行かないんだ…。」と歌われるあまりにもネガティヴな歌詞は、聴いているとこちらまで辛くなってしまいます。
ダイナソーJr.で最も有名なアルバムが、最もダイナソーJr.らしくないアルバムというのも、何ともこの”Thumb”の歌詞みたいに「上手く行っていない」感じが興味深いですね。
ちなみ初めてダイナソーJr.を聴いたのはこのアルバムからです。
このアルバムを知った時はちょうどグランジやオルタナティヴ・ロックにハマっていたので、本作はすぐに好きになり、毎日聴きまくりました!
あまりに聴きまくったせいで、一時期は本作を聴く度に頭の中で先に先に収録曲のメロディーが流れてしまうため「当分聴くのを止めよう…。」となったぐらいです。
しかしこの『Green Mind』を聴いていなければ、僕は『Where You Been』収録曲の”Get Me”を聴くこともなかったでしょう。
このアルバムを聴いていなかったとしたら、もしかしたら今もギターソロに興味がないままだったかもしれません!?
僕に取っては重要な作品の1つです。
以上、【オリジナル・アルバムを勝手にベスト5!ダイナソーJr.編】でした。
ダイナソーJr.は、2021年に最新作『Sweep It Into Space』をリリースしています。
今もオリジナル・メンバーの3人は変らずライヴ活動も続けています。
今後も順調に新作をリリースしてライヴ活動を行って欲しいバンドの1つです。
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