2019/08/01
オルガン奏者チャールズ・アーランドのジャズファンク作品『Black Drops』を聴こう♪
オルガン奏者チャールズ・アーランドの5枚目のリーダー作『Black Drops』をご紹介します。
レアなジャズファンク系ギタリストのメイナード・パーカーが参加した貴重な作品の一つ!
前回ご紹介していた『Black Talk!』の次のアルバムに当たる『Black Drops』を今回はご紹介したいと思います。
チャールズ・アーランドが1969年にリリースしたオルガン系ジャズ・ファンクの名作『Black Talk!』を聴こう♪
『Black Talk!』が制作された翌年の1970年に吹き込まれたチャールズ・アーランドにとっての5枚目のリーダー作に当たります。
しかし録音に参加したミュージシャンは、トランペットのヴァージル・ジョーンズを除いてガラッと変わっています。
この時期のジャズファンク系アルバムの制作には欠かせないような人気者のメルヴィン・スパークスもアイドリス・ムハマッドの2人は忙しかったのでしょうかね⁉
サックスのヒューストン・パーソンも不参加となっています。
代わりにサックスにジミー・ヒースが参加していたり、ドラムにジミー・ターナーが参加していたり、新たにトロンボーン奏者のクレイトン・プルーデンが参加していたりもするのですが、しかし本作の一番の魅力はレアなジャズファンク系ギタリストのメイナード・パーカーが参加していることです。
メイナード・パーカーは、この後もチャールズ・アーランドのアルバムに数作で参加していますが、他ではなかなかお目にかかることがありません。
メリーランド州出身のベレ・ファームス・エステートというディスコ・バンドの楽曲をプロデュースしていたり、1973年にはリーダー作の『Midnight Rider』というジャズファンク系の名作をリリースしていたりもするのですが……メルヴィン・スパークスやオドネル・リーヴィー程は目立ったギタリストではありません。
しかしグラント・グリーンから受け継がれるジャズファンク系のギタリストの系譜を継いだギタリストでもあります。
ジャジーなプレイスタイルだけでなくオドネル・リーヴィーのようにワウペダルも使ったプレイもできるギタリストです。
せっかくなのでYouTubeで聴けるメイナード・パーカーのかっこいい曲を貼っておきたいと思います。
1973年にはリーダー作『Midnight Rider』から”Bad Montana”という曲がかっこよかったりします。
オドネル・リーヴィーの『Simba』に収録されていそうなかっこいジャズファンク曲です。
それでは今回は、そんなメイナード・パーカーのギターも聴けるチャールズ・アーランドの5作目『Black Drops』をご紹介します。
Charlie Earland – 『Black Drops』
01.Sing A Simple Song
02.Don’t Say Goodbye
03.Lazy Bird
04.Letha
05.Raindrops Keep Falling On My Head
06.Buck Green
Personnel:
Charlie Earland – Organ
Jimmy Heath – Tenor Saxophone, Soprano Saxophone
Virgil Jones – Trumpet
Clayton Pruden – Trombone
Maynard Parker – Guitar
Jimmy Turner – Drums
Recorded : June 1, 1970
Released : 1970
アルバムの内容
前作の『Black Talk!』とは違って本作は1曲目はさっそくカヴァー曲から始まります。
スライ&ザ・ファミリー・ストーンの名曲”Sing A Simple Song”をオルガン系ジャズ・インストに仕上げています。
この曲のインスト・バージョンは先にミーターズがやっていますが、さすがにこちらはジャズ・ミュージシャンが集まって演奏しているだけあって技術力は上です!
確かにミーターズのバージョンは独特のグルーヴがあってかっこいいのですが、本作は3管のホーン隊のアレンジや、オブリガードの手数の多いのメイナードのギターなど、テクニック面では上だと言えます。
この辺はやはりジャズ・ミュージシャンだな~といったところでしょうか。
明確なソロパートが分けられているわけではないのですが、アーランドのオルガンは、アート・ネヴィルのフレーズを弾くというよりも終始自由にアドリブを弾いている感じです。
次の2曲目”Don’t Say Goodbye”は、アーランド作の爽やかなバラードソングです。
オルガンの心地良いテーマの後に1分55秒辺りからメイナードのギター・ソロが始まります。
どうしても存在が目立たないギタリストなので、ジャズファンク系ギタリストの特集が組まれても
アイヴァン・”ブーガルー”・ジョー・ジョーンズやメルヴィン・スパークス、オドネル・リーヴィーが常連で、よく出てカルヴィン・キーズやジミー・ポンダーにジョージ・フリーマン、そしてフレディ・ロビンソン辺りが取り上げられるのがお決まりといったところなのですが、しかしこのメイナード・パーカーの彼らと同じようにジャズファンク系ギタリストの一員です。
とは言っても、メルヴィン・スパークスやカルヴィン・キーズ辺りと比べるとやはりテクニック的には劣る感じですね。
ピッチの不安定さや所々で気になるピッキングミス、それにスウィープを使ったりといったアーティキュレーションのアイデアの少なさ…なんかが一流になれなかった理由でしょうか。
悪くはないけれども、飛びぬけてはいないギタリストです。
ギター・ソロの後に続くアーランドのオルガン・ソロの方が上手いのは仕方ないことです。
前作の『Black Talk!』だとリーダーのアーランドをも凌ぐメルヴィン・スパークスの勢いが凄かったのですが。
次の3曲目”Lazy Bird”は、なんとジョン・コルトレーンの楽曲です。
コルトレーンがブルーノート・レーベルに唯一残したリーダー作にして歴史的名盤の『Blue Train』に収録されていた名曲です。
さすがにコルトレーンと比べると劣ってはしまいますが、しかしジミー・ヒースがサックス・ソロを頑張っています!
ヴァージル・ジョーンズもリー・モーガンになりきって(?)トランペット・ソロを披露しています。
そしてコルトレーンのオリジナルにはなかったギター・ソロもメイナード・パーカーが弾いています。
最後はリーダーのアーランドがオルガン・ソロで締めくくっています。
コルトレーンの名曲カヴァーの次は、アーランドのオリジナル曲で5曲目の”Letha”です。
ホーン隊のアレンジが光るジャズナンバーです。
ソロ回しは、トランペット→テナーサックス→ギター→オルガンの順番です。
全員気合の入ったソロを聴かせてくれています。
メイナード・パーカーのジャジーなギター・ソロも冴えていますが、ちょくちょくピッキングのミストーンもあってそこが少し気になる点です。
5曲目”Raindrops Keep Falling On My Head”は、バート・バカラックの書いた名曲「雨にぬれても」のことです。
1969年にB. J. トーマスが歌った西部劇映画『明日に向って撃て!』の挿入歌です。
歌メロ部分をオルガンに置き換えてインストでカヴァーしています。
ホーン隊のアレンジが素晴らしく、ヴァージルのミュート・トランペットが良い味を出しています。
ソロはリーダーのアーランドが弾くのみですが、そもそもの原曲が名曲であるため文句なしに素晴らしい仕上がりとなっております♪
最後の6曲目”Buck Green”もアーランドが書いたオリジナル曲です。
曲調は、アップテンポで緊張感のある少しモーダルなジャズ曲です。
ソロ回しは、トランペット→テナーサックス→ギター→オルガンの順番です。
ジャジーな楽曲とファンクやポップスのカヴァー曲とが良い具合に混じり合った、バラエティーに富んだ収録曲が魅力のアルバムです。
以上、【オルガン奏者チャールズ・アーランドのジャズファンク作品『Black Drops』を聴こう♪】でした。
チャールズ・アーランドのオルガン系ジャズファンク・アルバムの一つとしてだけでなく、レアなジャズファンク系ギタリストのメイナード・パーカーが参加した貴重な作品でもあります。
オルガン系ジャズファンク好きの方はぜひ!
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