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カテゴリー:Music

2019/09/14

テキサスが生んだワイルド・マン!アーネット・コブの『Chittlin’ Shout』を聴こう♪

テキサス生まれの豪快なテナー・サックス奏者アーネット・コブが1971年に吹き込んだ音源をまとめた『Chittlin’ Shout』

ソウルフルでファンキーな音楽にワイルド・マンの血が騒ぐ!

このところアメコミのご紹介が続いていたので……今回は音楽のご紹介です。

 

今回ご紹介したいのは、1918年にテキサス州ヒューストンにて生まれたアーネット・コブです。

 

ヒューストンと言えば、NASAの『ジョンソン宇宙センター』が思い浮かぶのですが……NYC、L.A.、シカゴに続く全米第4の都市でもあります。

 

テキサス州は、「何よりも大きいことを尊ぶ誇り高き州」とも言われている巨大な面積を持つ州です。

 

アラスカ州を省けば全米1位の大きな州で、日本列島の約1.8倍もあるんです。

 

そのテキサス州出身のアーネット・コブは、豪快なテナー・サックス奏者として知られています。

 

ジャズというよりも、ブルースやソウルフルと言った方が良いような演奏スタイルです。

 

お上品とは程遠いような濁ったトーンでサックスをバリバリと吹きまくるホンカー・スタイルです。

 

そんなアーネット・コブが、ジャズ・ファンク時代の70年代に録音した音源があります。

 

1971年の2月、6月、7月の3回に渡って、多少のメンバーを変えつつ録音した9曲をまとめたアルバム『Chittlin’ Shout』を今回はご紹介します

 

 

Arnett Cobb – 『Chittlin’ Shout』

01.Chittlin’ Shout
02.I Stand Alone
03.You Walked Out Of A Dream
04.Doxie
05.Old Folks
06.Big T
07.Wake Up, M.F.
08.Bobby’s Blues
09.Medusa

 

アルバムについて

この『Chittlin’ Shout』というアルバムは、アメリカでは”Home Cooking Records”から1989年に『The Wild Man From Texas』というタイトルでリリースされています。

 

アルバム・タイトルにあるワイルド・マンとは、アーネット・コブのことです。

 

今回僕がご紹介している『Chittlin’ Shout』とは、1曲目の”Chittlin’ Shout”が収録されていなかったり、他の曲順もバラバラだったり、アルバム・ジャケットが薄気味悪かったり……といくつか違いもあります。

 

『The Wild Man From Texas』の方は、下のようなテナー・サックスにアーネット・コブの顔が描かれた不気味なデザインでした。

 

 

また曲順も下記のように全く違います。

 

01.Medusa
02.I Stand Alone
03.Old Folks
04.Bobby’s Blues
05.You Walk Out on a Dream
06.Doxy
07.Wake Up, M.F.
08.Big T

 

しかし全ての音源は、1971年の3回のセッションから録音されたものばかりです。

 

この作品が日本でリリースされるにあたって、アルバム名が『Chittlin’ Shout』に変わり、1曲目に”Chittlin’ Shout”が付け加えられジャケットのデザインも一新されています。

 

また今回僕がご紹介しているP-VINEレコードから2005年にリリースされたこの『Chittlin’ Shout』は、デジタル・リマスターも施されているので音質が向上しています。

 

というわけで、もしこれから本作を入手するのであれば2005年の日本盤をおすすめします!

 

ちなみにタイトルにある「チタリン」とは、豚の小腸のことで肉よりも安く手に入る食材だったため当時の米黒人達がこぞって食べたものです。

 

そのことからブルース/ソウルミュージック界隈の「チタリン・サーキット」という言葉が生まれています。

 

当時の黒人ミュージシャン達は、小さいクラブをドサ回りして耳の肥えた観客の前で演奏をすることで鍛えられていったんです。

 

そのため「チタリン・サーキット」出身のミュージシャンの作品は、例えスタジオ録音のものでもソウルフルで生々しく豪快なアルバムが多かったりします。

 

もちろん彼らが本領を発揮するのは、ライヴなのですが……その辺は近年のジャム・バンドとも似通っていますね。

 

そう言えばジャズ・ギタリストのケニー・バレルも1963年の名盤『Midnight Blue』にて”Chitlins Con Carne”という名曲を残していました。

 

このチトリンス・コン・カーネとは、モツ煮込みのような料理のことで、モツ系がお好きな方でしたら好きになれるとても美味しい料理です。

 

Ryo@Dixiefunk Lab.の白アイコン
Ryo
僕も何度か食べたことがあります。すごく美味しかったです♪

 

ケニーバレルの書いた”Chitlins Con Carne”はジャズマンよりもブルースマンに受けが良く、ジュニア・ウェルズ&バディ・ガイやオーティス・ラッシュにスティーヴィー・レイ・ヴォーンなんかがこぞってカヴァーしています。

 

そもそも曲構成がモロにブルース進行なので、そりゃブルースマンに人気か!って当たり前の事なんですがね。

 

さて、そんなブルースマンに人気の”Chitlins Con Carne”と同じように、この『Chittlin’ Shout』の方もブルース好きの方におすすめ出来るジャズ・アルバムとなっています。

 

ジャズというよりも、ソウル・ジャズやジャズ・ファンクと言った表現が非常に似合う作品です。

 

アルバムの内容

まずはラルフ・ハンプトン作の1曲目”Chittlin’ Shout”です。

 

US盤の『The Wild Man From Texas』には収録されていなかった楽曲になりますが、こんなにも1曲目にピッタリの曲をなぜに収録しなかった⁉と言いたい気分です。

 

ただ他の8曲と違って、この曲のみ1971年の2月に録音されているからだと思います。

 

他の楽曲は全て1971年の6月と7月に録音されています。

 

イントロから、1音聴くだけで「豪快」という言葉が思い浮かびそうなアーネット・コブのテナー・サックスが登場します。

 

テンポ・ルバートのイントロがコブ1人の演奏で始まります。

 

すぐにオルガンの「ギーン!」という合図と共にリズムギターやベースにドラムなどバックのリズム隊が入ってきます。

 

テーマが始まるとコブだけでなくジミー・フォードのアルト・サックスもユニゾンで吹き始めます。

 

最初にソロを吹き始めるのは、リーダーのコブです。

 

豪快なテナーに負けじと続いてギターソロが始まります。

 

弾いているのはクラレンス・ホロマンです。

 

O.V.ライトやボビー・”ブルー”・ブランドなんかとも共演したブルース系ギタリストです。

 

そして3番手にジミー・フォードのアルトが続きます。

 

3人のソロ回しが終わるとキメフレーズを繰り返し再びテーマに戻ります。

 

これで終わり?かと思いきや「もう一周!」です。

 

今度はサックス同士のコール&レスポンス風のソロ回しが展開されます。

 

右チャンネルの濁った音色がテナーを吹くコブで、左チャンネルの少し明るめのトーンがアルトを吹くジミー・フォードです。

 

約10分ある濃いめの1曲目だけでもお腹一杯になりそうなのですが……カロリー高めの演奏はまだ始まったばかりです!

 

2曲目”I Stand Alone”はコブの自作曲で「カーッ!」という独特の音が気になるヴィブラスラップという体鳴楽器が登場します。

 

テーマは1曲目と同じく2本のサックスがユニゾンで吹いています。

 

しかし今回最初にソロを吹くのはジミー・フォードのアルトです。

 

あっさりとしたフォードのソロを前菜として、次に始まるコブの濃いソロがメインディッシュになります!

 

この時既に53歳だった脂の乗ったコブの円熟味のある演奏の方がやはり上です!

 

コブのソロが終わるとデザートのようにジョ-・ギャラードの華麗なピアノソロに移ります。

 

今聴くとヴィブラスラップの音が、ちょっとうるさくも感じますが……ラテン風味のグルーヴィーな楽曲です。

 

3曲目”You Stepped Out of a Dream”は、『The Wild Man From Texas』だと”You Walked Out Of A Dream”と記載されていますがイグナシオ・ハーブブラウンが1940年に書いた曲のことです。

 

1941年のミュージカル映画『美人劇場(Ziegfeld Girl)』の主題歌です。

 

後にナット・キング・コールが歌って有名になった楽曲ですが、ジャズ界隈ではデイヴ・ブルーベックにスタン・ゲッツにソニー・ロリンズ等数多くのミュージシャンが取り上げています。

 

僕の中ではテナー・サックス奏者のデクスター・ゴードンが1962年のブルー・ノート盤『A Swingin’ Affair』で演奏していたバージョンが一番の出来だと思うのですが……デックスの名演には敵わないものの本作のボサノバ風のバージョンも悪くはないです。

 

この曲では、先の2曲目ではコブに押され気味だったジミー・フォードのアルトソロが活き活きとしています!

 

得意な曲だったんでしょうか?

 

4曲目”Doxie”は、ソニー・ロリンズ作のお馴染みの楽曲です。

 

マイルス・デイヴィス・バンド在籍時に1957年の名盤『Bags’ Groove』で取り上げていたのが一番有名ですね。

 

この楽しいジャズ曲をチタリン・サーキットで鳴らしたコブがソウルフルに吹き上げます!

 

ロングトーン多めでゆったりと吹くコブに対して、ジミー・フォードのアルトは細かくフレーズを重ねていきます。

 

まるで少ない音数で最大限の効果を発揮するマイルスと、これでもか!これでもか!と持てる力を全て使い切るようにフレーズを吹きまくるコルトレーンの対比の様です。

 

その2人の対決が終わるとピアノのジョ-・ギャラードがブロックコード奏法で厚みのあるソロを披露します。

 

続いてウィラード・ロビソンが書いた1938年の古いジャズ・スタンダード曲の”Old Folks”が5曲目に収録されています。

 

この曲もマイルスが取り上げていましたが、コブも負けていません!

 

ハーフタンギングを上手く用いたバラード表現は「さすが!」の一言です。

 

ジミー・フォードのアルトはお休みで、コブのテナーのみで渋く演奏されています。

 

どことなくデヴィッド・”ファットヘッド”・ニューマンを彷彿させるアーバンな演奏です。

 

6曲目”Big T”は、コブのオリジナルのハード・バップ曲です。

 

ジミー・フォードのアルトも戻ってきてユニゾンで華やかにテーマを吹いています。

 

ソロ前にピアノのちょっとした演出がある面白い曲構成を持っています。

 

更に面白いのは、最初のコブのソロが終わるとピアノのジョ-・ギャラードが1人2役でトロンボーンでソロを吹いています。

 

7曲目”Wake Up, M.F.”も引き続きコブのオリジナル曲です。

 

1曲目以来登場していなかったクラレンス・ホロマンのギターもここで復帰します。

 

楽曲のほとんどをコブのテナーが中心で吹いた曲なのですが、最後の方でブルージーなギターソロも登場します。

 

バディ・ガイやオーティス・ラッシュのようなガチンコなブルースギターではないけれども、ケニー・バレルやグラント・グリーンほどジャジーでもない、コーネル・デュプリー風のソウルフル系ブルースギターといった感じです。

 

8曲目”Bobby’s Blues”は、ドン・キングが書いたジャズ・ファンク系の楽曲で、ボビー・”ブルー”・ブランドの1958年の曲とは違うようです。

 

その代わりクラレンス・ホロマンのギターのリフやカッティングが印象的な70年代風のジャズ・ファンに仕上がっています。

 

ソロを吹くのは、テナー→トロンボーン→アルトの順番でギターは登場しませんが、ファンキーなバッキングで大活躍しています。

 

最後の9曲目”Medusa”も歳ほどと同じくドン・キングが書いた曲です。

 

クラレンス・ホロマンのギターがワウペダルをオンにしてファンクしています!

 

ソロは、アルト→トロンボーン→テナーの順番で、またしてもギターは登場しませんが、バッキングをファンキーに支えています。

 

US盤の『The Wild Man From Texas』ではこの曲が1曲目だったのですが、おそらく一番70年代を感じさせるジャズ・ファンク曲だからなんでしょう。

 

終盤の2曲がとてもかっこいいのですが、やはり1曲目の”Chittlin’ Shout”勢いある演奏の方がアルバムの始まりにはふさわしいと感じます。

 

日本盤をおすすめします♪

 

 

Ryo@Dixiefunk Lab.の白アイコン
Ryo
おすすめ曲は、#1 #2 #7 #8 #9

 

 

以上、【テキサスが生んだワイルド・マン!アーネット・コブの『Chittlin’ Shout』を聴こう♪】でした。

 

 

 

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