2024/05/31
オリジナル・アルバムを勝手にベスト5!エアロスミス編
【第1回】オリジナル・アルバムを勝手にベスト5シリーズ
新シリーズを始めた経緯
今回から始まりましたこのサイトのブログ記事新シリーズです。
それは、これを書いている僕自身が好きなアーティストの作品を5作品選んでご紹介するというものです。
それも僕自身のお気に入り順で5つ選んで【ベスト5】といったランキング形式でご紹介します。
もちろん僕個人の嗜好が反映された内容とはなりますが、このブログの1つのテーマでもある「これからこういった音楽を聴き始めたいと考えている初心者さん向けにご紹介したい!」といった観点からも選んでいます。
というのも僕が音楽を聴き始めた当時はまだまだネットも普及していない時代で、気になるバンドやミュージシャンが見つかっても「どのアルバムから聴き始めたらいいのだろう?」とわからないことばかりでした。
音楽雑誌を読んでみても「○○年■■月にほにゃららのスタジオで録音が開始され…うんたらかんたらがプロデュースして…」みたいにそのアルバムが録音された状況説明であったり、おすすめ順もその時にレコード会社が「売りたい順」だったりしていまいちピンとしませんでした。
それよりも数あるアルバムの中から4~5枚に絞って「このアーティストを知る上でこれは必ず聴いておいた方が良い!」といったベタな紹介でもいいので「鉄板アルバム」を紹介してもらいたかったです。
それにアルバムの内容もざっくりでもいいので「これとこの曲は聴いておいた方がいい!」と学校の先輩や音楽好きの友達の兄ちゃんに教えてもらうような親しみやすくフラットな方がこれから音楽を聴き始める身としてはありがたく感じます。
そういったわけで、その役割を僕自身がやってみようと思い、今回からこのシリーズを書き始めようと考えました。
そして初心者さんに「このアルバムは聴いておいた方がいい!」というテーマを設けつつも、僕自身の思い入れも書いてみようと思います。
オリジナル・アルバムを勝手にベスト5
まずは第一回は僕が一番好きなバンドのエアロスミスになります!
エアロスミスの数あるアルバムの中から「ベタだけど絶対に聴いておいた方がいい5作品」をベスト5形式に順位付けしてご紹介します。
まずは第5位から始まって、最後に第1位をご紹介します。
出来ることなら5作品全てを聴いて欲しいと思いますが、「これからエアロスミスを聴き始めたい!」といった初心者さんはまずは第1位から聴いてみてはいかがでしょうか?
また今回ご紹介する5作品は全てスタジオ盤のオリジナル・アルバムに絞りました。
ベスト・アルバムやコンピレーション・アルバム、そしてライヴ・アルバムは除外しました。
これはオリジナルのスタジオ・アルバム1つ1つのテーマや雰囲気を味わって欲しいからです。
ベスト盤でヒット曲を通しで聴くのも悪くはないですが、そのアーティストをしっかりと知りたい時はやはりオリジナルのスタジオ・アルバムが最適です。
それでは僕がおすすめしたいエアロスミスのスタジオ・アルバム5作品を第5位から順にご紹介いたします。
オリジナル・アルバムを勝手にベスト5:エアロスミス編
第5位:Aerosmith – 『Toys In The Attic』
『Toys In The Attic』は、1975年にリリースされたエアロスミスの3作目のスタジオ・アルバムになります。
本作収録曲でおすすめなのは、”Walk This Way”と”Sweet Emotion”の2曲です。
この2曲はどちらもエアロスミスを代表する曲で、「エアロスミスと言えば?」の問いの答えに最適な回答となります。
どちらの曲も今に至るまでエアロスミスのライヴで終盤に演奏される楽曲です。
大抵の場合、ノリの良い”Walk This Way”がライヴ本編の最後に演奏されて、グルーヴィーな”Sweet Emotion”がアンコールの最後で演奏されるのが定番です。
どちらの曲もシングル・カットされてヒットしています。
“Sweet Emotion”の終盤のサイケデリックなギターソロのジャム・パートは、エアロスミスのメンバー全員が影響を受けたレッド・ツェッペリンの”Dazed and Confused”を意識して作られています。
この2曲以外ではもう1つライヴで良く演奏されるタイトル曲の”Toys In The Attic”もエアロスミスぽさ100点満点の名曲です。
後にオルタナティヴ・ロック・バンドのR.E.M.もこの曲をカバーしていたりしますが、疾走感が堪らないハード・ロックな楽曲です。
ちなみに本作がリリースされていた時代にはまだ「ハード・ロック」という呼び方がされておらず、「ヘヴィ・ロック」と呼ばれていたそうです。
そのため本作の邦題が『闇夜のヘヴィ・ロック』という仰々しい名前になっています。
“Big Ten Inch Record”は、1952年にジャンプ系テナーサックス奏者のブル・モーズ・ジャクソンが歌った曲のカバーです。
アルバム終盤に収録されている”No More No More”は、ボーカルのスティーヴン・タイラーのお気に入り曲で、シングル・カットされていないにも関わらず近年のライヴで度々演奏されています。
80~90年代は演奏されていなかったのに、2000年代に入って急に思い出したかのように取り上げられているんですがね…。
アルバム最後には泣きのバラード曲”You See Me Crying”も収録されています。
3作目にしてバラエティに富んだ楽曲が9つも収録された名作です!
ちなみに本作『Toys In The Attic』は、エアロスミスの全てのアルバムの中で現在までに「最も売れているアルバム」でもあります。
それはやはり”Walk This Way”と”Sweet Emotion”というエアロスミスを代表する2曲が収録されているからでしょう。
ただ今回のベスト5では第5位となりました。
その理由として、1975年の作品ということもあって今聴くにはサウンドが古く感じられる…のと、「エアロスミス最初の1枚」としてはあまり向いていないように感じられるからです。
ある程度エアロスミスを聴いた上で”Walk This Way”と”Sweet Emotion”のオリジナル録音バーションを聴いてみよう!と思った段階で聴くのが良いと思います。
第4位:Aerosmith – 『Rocks』
『Rocks』は1976年にリリースされた4作目のアルバムです。
本作のタイトルを決める際にギターのジョー・ペリーが、「全ての曲がロックしているんだからタイトルは”Rocks”しかないだろう!」と言って決まったのだとか。
その言葉通りで本作はエアロスミスのアルバムの中で一番”Rock”しています!
冒頭の”Back In The Saddle”は僕が人生で初めて聴いたエアロスミスの曲です。
この曲のスティーヴンの強烈なボーカルを聴いて一発でエアロスミスにハマりました!
エアロスミスと仲が良いバンドのチープ・トリックのギタリスト、リック・ニールセンもこの曲をお気に入りに挙げ「宇宙で一番ヘヴィな曲!」と称していました。
続く”Last Child”は、エアロスミスのもうひとりのギタリスト、ブラッド・ウィットフォードが当時お気に入りだったファンク・バンドンのミーターズから影響されて書いたファンク・ロックです。
他にも”Toys In The Attic”に続く高速チューン”Rats In The Cellar”やエアロスミスのポップ・センスが垣間見える”Sick As A Dog”、後に台頭するヘヴィ・メタル勢にも影響を与えた”Nobody’s Fault”や実はカントリー・ミュージック好きのスティーヴンの趣味が出たような”Get The Lead Out”等も良い曲です。
前作の『Toys In The Attic』に続いてアルバムの最後には泣けるバラード曲”Home Tonight”が用意されています。
本作からは”Last Child”、”Back In The Saddle”、”Home Tonight”の3曲がシングル・カットされました。
僕が初めて購入したエアロスミスのスタジオ・アルバムは本作なのですが、今回は第4位にしています。
その理由は、やはり1970年代の作品なのでサウンドの古さが感じられるのと、エアロスミスの良さは「ロック」だけでなく「ポップ」な楽曲にもあると考えているからです。
その「ポップ」なセンスは1980年代以降により濃く楽曲に反映されていきます。
第3位:Aerosmith – 『Permanent Vacation』
ロック好きがバラード曲を好きだと言うのはどこか小っ恥ずかしくって…と感じていた時期が僕にもありました。
特に僕が10代だった若い頃は「男のくせに甘い食べ物が好きだって!?」と笑われるような風潮すらありました。
最近の「多様性」や「様々な意見を認める」ような時代の流れは僕に取ってはありがたい事です。
「男がスイーツ好きで何が悪い!」といったように「ロック好きがバラード好きで何が悪い!」です。
偏見は捨てて受け入れましょう!
ズバリ、僕は”Angel”が大好きです♪
後にエアロスミス初の全米No.1シングルとなる映画『アルマゲドン』の主題歌”I Don’t Want to Miss a Thing”が出るまでは、この”Angel”の全米3位がエアロスミスにとって最高位のシングル曲でした。
“I Don’t Want to Miss a Thing”の方は売れっ子ソングライターのダイアン・ウォーレンが書いた曲で、エアロスミスのメンバーは楽曲を提供されて演奏したのみで作詞作曲には一切関わっていません。
そう考えると、外部ライターのデスモンド・チャイルドが参加してはいますが大まかな部分はスティーヴン・タイラーが書いています。
僕がまだ高校生だった頃、当時の学校のロック好きの中で流行っていヴァン・ヘイレンやメタリカ、それにニルヴァーナやレッド・ホット・チリ・ペッパーズを聴きながら…実は裏ではこっそり独りでエアロスミスの”Angel”を聴きまくっていました。
この曲が収録されているからこそ本作をおすすめしたいんです!
他にも”Dude (Looks Like A Lady)”や”Rag Doll”といったシングル・ヒット曲も収録されています。
残念ながら”Angel”はライヴでほとんど演奏されることはありませんが、”Dude (Looks Like A Lady)”と”Rag Doll”は頻繁に演奏される定番曲です。
特に”Rag Doll”の方はバンドのお気に入りなのかよく演奏されています。
エアロスミスには珍しいアコースティックな楽曲”Hangman Jury”や南国風味のSEが入った”Permanent Vacation”等、『永遠のバカンス』というアルバム・タイトルのコンセプトに合った楽曲も収録されています。
1987年にリリースされた本作『Permanent Vacation』は、1978年に一度分裂したエアロスミスが1984年に再集結してから2作目のアルバムに当たります。
70年代のチープだったサウンドが、本作から一気にゴージャス化しています。
これについても賛否両論あるとは思いますが、個人的には時代に撮りに超されず今風にアップデートされたサウンドは好きです。
第2位:Aerosmith – 『Pump』
『Permanent Vacation』で見事に復活したエアロスミスが、”一発屋”で終わらないために本腰を入れて作った復活3作目『Pump』を今回の第2位に選びました。
やはりこのアルバムは、今でもよく聴く作品です。
ヨーロッパでも大ヒットした”Love In An Elevator”を筆頭に、エアロスミスにしては珍しくシリアスな内容の”Janie’s Got A Gun”、ファンキーなロック”The Other Side”、スウィートなバラード”What It Takes”の4曲がシングル・カットされてヒットを記録しています。
エアロスミスの曲にしては珍しくフェードアウトで終わらず綺麗なエンディングを迎える”Love In An Elevator”は復活後のエアロスミスを代表する楽曲です。
なんと!”Walk This Way”や”Sweet Emotion”、そして”Dream On”に次いでライヴで演奏されている人気の曲です。
そういえば僕が観に行ったエアロスミスの来日公演でも必ず毎回演奏されていました。
『Pump』リリース当時はライヴの終盤で演奏していましたが、それ以降は大体ライヴの2曲目に会場を一気に盛り上げる起爆剤として演奏されています。
僕もこの曲は大好きで初めてエアロスミスを聴いたときから今に至るまで飽きずに何度も何度も繰り返し聴いた曲です。
また本作『Pump』リリース時にはエアロスミスのメンバーは既にアラフォー世代ではありましたが、アルバム1曲目は「若き欲望」”Young Lust”で始まるという大胆さです!
今でこそ40代はまだまだ若く感じられますが、この当時はすごくおじさんに感じられていましたからね…。
それに続く”F.I.N.E.”も聴く人に元気を与えてくれる楽曲です。
本作を制作するに辺り”一発屋”で終わらないために必死で制作した過程を映像化した『メイキング・オブ・パンプ』といった作品までリリースしています。
メンバー感のガチに近いやり取りは生々しく、本作に賭ける本気度が伝わってくるドキュメンタリーです!
1曲目”Young Lust”から3曲目”Love In An Elevator”までの流れがとても元気の出る内容なので、「今日は気合いを入れて行くか!」といった日に聴きたいアルバムです!
第1位:Aerosmith – 『Get A Grip』
なんだかんだで『Get A Grip』が一番聴く回数が多いアルバムです。
前作『Pump』も見事大ヒットさせたエアロスミスが、90年代になりグランジが大流行していた時代に放ったアルバムです。
1993年にリリースされた『Get A Grip』は、エアロスミスにとって初の全米No.1アルバムに輝きました!
それもそのはず!?
本作は1992年の年明けよりレコーディングが開始され一度は最終段階まで完成していたたものの、バンド側が納得のいく出来ではなかったために一旦冷却期間を設けて秋に再レコーディングされています。
『Pump』以上にシビアに制作された本作は、程良くポップで質の高いシングル曲にエアロスミスのキャリア最高峰の演奏、そして出来の良い楽曲に良質なサウンドと全てが揃っています。
シリアスな”Livin’ On The Edge”にバラード3部作”Cryin'”、”Amazing”、”Crazy”と珍しくハードなロックではない楽曲が立て続けにシングル化されています。
実はその後”Shut Up And Dance”もシングル化されてはいるのですが…こちらはあまり話題にはなりませんでした。
ファンキーで良い曲なのですがね。
“Livin’ On The Edge”と”Cryin'”は、今でもライヴの定番曲です。
“Cryin'”は”Love In An Elevator”の後に演奏されることが多いです。
少しバラード曲が多いですが、本作はエアロスミスを聴き始める際に真っ先に聴いておきたいアルバムだと僕は考えています。
『Toys In The Attic』や『Rocks』は今の時代に聴くには少々サウンドが古く感じられます。
しかしこの『Get A Grip』なら今の時代にもそこまで古く感じない内容です。
とは言っても『Permanent Vacation』や『Pump』のようにいかにも80年代ハード・ロックなギラついたサウンドではないのも本作の魅力です。
その理由にジョー・ペリーが本作のレコーディングに辺り、ヴィンテージ機材をメインにして録音を行ったからです。
そのため『Permanent Vacation』や『Pump』と比べるとギターの音がどこか温かみが感じられるサウンドに仕上がっています。
これはその後のアルバム『Nine Lives』やデジタル色の濃い『Just Push Play』にもない感触です。
逆に言うと『Get A Grip』のギタートーンはエアロスミスにとっては異色のサウンドにあたりますが、しかしこの温かみの感じられる独特の雰囲気をアルバムから感じ取ってもらえれば…と思います。
これを書いている僕自身も「エアロスミスのアルバムで何を聴こう?」と考えたと時に真っ先に聴きたくなるのがこの『Get A Grip』です。
ぜひ「初めてのエアロスミス体験」はこの『Get A Grip』から初めてみてください!
以上、【エアロスミスのオリジナル・アルバムを勝手にベスト5!】でした。
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