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2019/04/17

【クラブ・ジャズの人気盤】ザ・ルイス・ヘイズ・グループの『Variety is the Spice』を聴こう♪

ジャズ・ドラマーのルイス・ヘインズがザ・ルイス・ヘイズ・グループ名義で制作した『Variety is the Spice』をご紹介します。

アルバム・タイトル通りにバラエティーに富んだ選曲でクラブ・ジャズ世代にも大人気!

今回はジョン・コルトレーンやキャノンボール・アダレイなど数多くの一流ジャズマンと共演した経験のあるジャズ・ドラマーのルイス・ヘイズの作品をご紹介居します。

 

ハードバップ・ドラマーのフィリー・ジョー・ジョーンズから大きな影響を受けたルイス・ヘイズのキャリアは古く、50年代から多くのジャズマンのバックを務めていました。

 

そんなルイス・ヘイズは、60年代に1作のみリーダー作を残し、その後70年代に入ってからは4作品残しています。

 

今も存命中ですので、2000年代に入ってからも作品数こそ少ないですが現役でアルバムをリリースしていたりします。

 

そんな長いキャリアを通して、なんだかんだで18作品近くあるリーダー作の中でも、今回ご紹介する1979年の『Variety is the Spice』が最高傑作だと思います。

 

それはこの時代には珍しく、ノン・フュージョン作品だったからというのもあると思います。

 

当時の音楽シーンは、ポップシーンではディスコ・ミュージック、ジャズシーンではフュージョンが流行っていたと思います。

 

しかしどちらのジャンルも、「時代の流れ」に対しての耐性は低く、今の時代の耳で聴くと「古臭く」感じます。

 

それはビートの古さだけでなく、エレピやシンセサイザーのエレクトリックな軽い音色に寄る所もあるかと思います。

 

しかし本作ではシンセサイザーの参加はなく、エレピこそ出てきますがかなり控えめです。

 

基本はアコースティックなジャズが中心です。

 

そこにルイス・ヘイズのダンサンブルなドラミングが加わることで、「時代の流れ」に耐えることに成功しています。

 

本作がリズムを司るドラム奏者がリーダーだったというのもポイントですね。

 

多少の「古さ」こそ感じますが、しかし今の耳で聴いても本作はディスコやフュージョンほど「古臭く」は感じません。

 

それは制作したレーベルのカラーにもよると思います。

 

ギリシャ神話に登場する幻獣グリフォンのマークが印象的な『グリフォン』レーベルは、70年代のフュージョン全盛期に「ノン・フュージョンのジャズ作品」を標榜したレーベルになります。

 

そのため本作はそういったレーベル・カラーに合わせたような、エレクトリック・サウンドが控えめなジャズ本来の姿を聴くことが出来ます。

 

しかも収録曲も、有名なジャズ・スタンダード曲のカヴァーのみならず、マーヴィン・ゲイの”What’s Goin’ On”のような「時代の流れ」を超越した親しみのある人気曲も収録されています。

 

『Variety is the Spice』というアルバム名通りにバラエティーに富んだ楽曲が収録されています。

 

そういった理由からなのか?「ジャズで踊ろう♪」をモットーに掲げた90年代のクラブ・ジャズ世代にも本作は人気の作品のようです。

 

確かにここに収録された楽曲はどれもルイス・ヘイズによるダンサンブルなドラムが印象的です。

 

今回は、「時代の流れ」さえも超越するようなルイス・ヘイズの名作『Variety is the Spice』をご紹介します。

 

 

 

The Louis Hayes Group – 『Variety is the Spice』

01.Kelly Colors
02.Little Sunflower
03.Stardust
04.What’s Going On
05.Invitation
06.Nisha
07.My Favorite Things
08.Dance With Me
09.A Hundred Million Miracles

 

Personnel:
Louis Hayes – Dums
Frank Strozier – Alto Saxophone, Flute
Harold Mabern – Piano, Electric Piano
Cecil McBee – Bass
Portinho – Percussion
Titos Sompa – Congas
Leon Thomas – Vocals on Tracks 02 & 06

 

Recorded : at Generation Sound Studios, NYC, October 9-12, 1978
Released : 1979

 

アルバムの内容

本作に参加しているピアニストのハロルド・メイバーンは、ソロにコンピングに演奏面で大活躍します。

 

しかしそれだけでなく、1曲目の”Kelly Colors”はそのハロルド・メイバーンが書いた楽曲です。

 

ルイス・ヘイズの最高傑作は、ハロルド・メイバーンの書いた重厚なジャズ曲で幕を開けます。

 

フロントでアルト・サックスを吹くのは、ハードバップ時代から活動していたフランク・ストロージャーです。

 

ウッドベースを担当するのは、多くのスピリチュアル・ジャズ作品に名を連ねた名手セシル・マクビーです。

 

セシル・マクビーが参加しているためか?本作もスピリチュアル・ジャズのような感触があります。

 

そのためファラオ・サンダースやマリオン・ブラウンがお好きな方が聴いても、本作をきっと気に入ってもらえると思います。

 

リーダーのルイス・ヘイズだけでなく本作はフロントのフランク・ストロージャーとハロルド・メイバーンの演奏面での出来の良さも聴きどころです!

 

2曲目”Little Sunflower”は、それこそスピリチュアル・ジャズ系の楽曲です。

 

トランペットの名手フレディ・ハバードが1967年のアルバム『Backlash』で発表した楽曲です。

 

そこにスピリチュアル・ジャズ系のシンガーのレオン・トーマスが参加して歌詞をつけ歌っています。

 

お得意のヨーデル風の唱法も登場する本作の聴きどころのひとつとなっています。

 

神秘的なフルートの音に導かれレオン・トーマスが幻想的に歌うスピリチュアルな世界観が最高です♪

 

2曲の前衛的な楽曲が続いた後は、時代が遡ってホーギー・カーマイケルが書いた古典的スタンダード曲”Stardust”に移ります。

 

しかしこれが全く違和感なく溶け込んでいます。

 

むしろこのバラード曲も本作の聴きどころのひとつです。

 

ただ「リーダーってルイス・ヘイズだったっけ?」と忘れてしまいそうなぐらいに(笑)、メイン・テーマからソロを吹くフランク・ストロージャーのサックスとハロルド・メイバーンの美しいコンピングが最高です♪

 

この2人の出来の良さも本作が名盤となりえた理由だと感じます。

 

素晴らしいスタンダード曲の後は、「時代の流れ」に絶対に負けない永遠の名曲”Whats Goin On”が始まります。

 

これまた素晴らしい演奏です♪

 

ハロルド・メイバーンの流れるようなピアノのイントロに、アップ・テンポのワルツ・タイムで叩くルイス・ヘイズのドラミングとそれを支えるセシル・マクビーのベース……最高の条件でバッキングが揃った中、フロントを張るフランク・ストロージャーがマーヴィン・ゲイになったかのようにサックスでテーマを歌い上げます!

 

1曲目からここまで全く休みがないぐらい名演が続きます!

 

そろそろ聴く方も休めるかな~?なんて甘いことを考えている暇はありません!(笑)

 

5曲目に突入しても名曲名演が続きます!

 

ポーランド出身の作曲家ブロニスラウ・ケイパーが書いた”Invitation”もジャズマンに人気のスタンダード曲です。

 

ジョージ・ウォーリントンを始め、ジョン・コルトレーンにケニー・バレルやジョー・ヘンダーソンなど数多くの名手がカヴァーした名曲です。

 

当然本作でも絶好調のフランク・ストロージャーとハロルド・メイバーンが聴けせてくれます♪

 

イントロは、フランク・ストロージャーのカデンツァで始まり、46秒が経った頃からハロルド・メイバーンの重厚なピアノが鳴り始めます。

 

そして一気にテンポが上がり、サックス・ソロ→ピアノ・ソロ→サックス・ソロと続きます。

 

この2人のテンションの高さが異常なぐらいです!

 

6曲目”Nisha”は、ここに来てようやくルイス・ヘイズのオリジナル曲になります。

 

この美しいバラード曲を歌うのは、再びレオン・トーマスです。

 

オシャレなバーで流すと雰囲気ピッタリの楽曲です♪

 

この曲でしっとりとした後は……気合を入れ直して聴く準備をしてください!(笑)

 

凄いのが待っています!

 

ここまでの6曲も、全く駄曲がありませんでしたが……次の曲はちょっと凄すぎます!

 

もともとが名曲なのですが、やけにテンションが高く、しかも高クォリティーの名演が待ち構えています!

 

ジョン・コルトレーンの十八番”My Favorite Things”の登場です!

 

ミュージカル映画『サウンド・オブ・ミュージック』でお馴染みのマイナー調のワルツ曲を、とんでもないアップ・テンポでダンサンブルに演奏しています!

 

 

これこそまさにクラブ・ジャズ世代が一番気に入るトラックですね!

 

サックスはお休みでハロルド・メイバーンのピアノとリズム隊+パーカッションで演奏しています。

 

特にハロルド・メイバーンの熱さは異常です!

 

マッコイ・タイナーが顔負けするようなテンションの高さです!

 

何ならハロルド・メイバーンのキャリア最高峰の演奏だとも言えそうな名演です♪

 

ただでも名曲名演だらけの本作『Variety is the Spice』なのですが、この”My Favorite Things”を聴くためだけに購入しても良いぐらいの名演です!

 

僕も初めてこの作品を聴いた時は、この”My Favorite Things”を何回も何回も何回も何回も繰り返して聴きまくりました!

 

ぜひとも全ジャズ・ファンにこの素晴らしい”My Favorite Things”を聴いてもらいたいと思います。

 

ちなみに……『JAZZ NEXT STANDARD』という2004年に発売された本があります。

 

この本では従来のジャズ・アルバムの紹介だけではなく、クラブ・ジャズ世代におすすめしたい新たな視点で作品が紹介されています。

 

しかしこの本にも本作『Variety is the Spice』が紹介されているのですが……そこで過去にジョン・コルトレーンともこの曲を共演したルイス・ヘイズが本作で再演しているみたいなこと書いていますが……それは間違いです。

 

『Variety is the Spice』が紹介されている前のページに、コルトレーンの1963年のニューポート・ジャズ・フェスティヴァルでの演奏を収録した『Selfness』というアルバムが紹介されています。

 

そのページに「ルイス・ヘイズのドラミング」と書いてありますが……これはロイ・ヘインズの間違いです。

 

ロイ・ヘインズ(Roy Haynes)とルイス・ヘイズ(Louis Hayes)は全くの別人です。

 

名前の頭文字も、僕ら日本人が発音を苦手とする「LとR」の違いがあります。(笑)

 

またルイス・ヘイズは今現在81歳ですが、ロイ・ヘインズの方は一回り以上年上で現在御年94歳を迎えられました。

 

また、フィリー・ジョー・ジョーンズのようなハードバップ風のパワフルなドラミングをするルイス・ヘイズと違って、ロイ・ヘインズは「パタパタパタパタ」とキャベツの千切りをするかの如く軽やかなポリリズムを叩き出す名ドラマーです。

 

プレイ・スタイルも全く別物です。

 

それにコルトレーンのこの1963年のニューポートのライヴ演奏が、いつも以上に熱気が入ったものになったのは、ロイ・ヘインズの叩き出すポリリズムのお陰です。

 

当時、コルトレーンの黄金のカルテットのメンバーだったエルヴィン・ジョーンズが、イケナイお薬で捕まってしまいました。

 

その代役として急遽ロイ・ヘインズがドラムを叩いたのですが、思いのほかこれがコルトレーンのプレイとマッチして名演となりました。

 

このニューポート’63の”My Favorite Things”の名演は、ロイ・ヘインズの貢献が大きいというのに、それを間違えて市販の本に記載するとは……これはさすがにダメだと思いました。

 

と、閑話休題ですね。(笑)

 

話が脱線しましたが、しかし本作『Variety is the Spice』における”My Favorite Things”でのルイス・ヘインズのダンサンブルなドラミングも必聴です♪

 

さて、凄まじいの”My Favorite Things”後は、ピーター・ブラウンの1978年の曲”Dance with Me”が始まります。

 

ディスコっぽい原曲とは違ったジャズ・アレンジで演奏されています。

 

これがおそらく原曲通りのディスコ調だったとしたら……この曲だけ「時代の流れ」に耐えれなかったんじゃないかな?と感じます。

 

このジャズ・アレンジの方が遥かにかっこいいです♪

 

イントロのみエレピが登場しますが、曲が始まるとアコースティック・ピアノに戻ります。

 

最後の9曲目”A Hundred Million Miracles”は、”My Favorite Things”と同じリチャード・ロジャースとオスカー・ハマースタイン2世が書いた楽曲です。

 

1961年の映画『フラワー・ドラム・ソング』の挿入歌です。

 

 

しかし原曲の穏やかな感じとは全く別物で、イントロからルイス・ヘイズがドラムを叩きまくります!

 

サックスのメロディーこそ”A Hundred Million Miracles”を吹いていますが、アップ・テンポのドラミングはほぼ原曲無視です。(笑)

 

アルバムの最後にしてようやく「ドラムの俺がリーダーなんだよ!」と言わんばかりにドラムを叩きまくっています。

 

いつもフロントマンの陰に隠れがちな地味な名ドラマーが、自分のリーダー作でも絶好調のサックスとピアノの2人の陰に隠れてしまいそうになり……最後の最後でやっと自己主張をしてアルバムは締めくくられます。

 

 

Ryo@Dixiefunk Lab.の白アイコン
Ryo
おすすめ曲は、#2 #3 #4 #5 #7

 


 

 

以上、【ザ・ルイス・ヘイズ・グループの『Variety is the Spice』を聴こう♪】でした。

 

とにかくダンサンブルな”My Favorite Things”が特別凄いのですが、しかしスピリチュアルな”Little Sunflower”や感動的なバラード曲”Stardust”に不朽の名作”Whats Goin On”やサックスとピアノのテンションが異常に高い”Invitation”など、聴きどころ満載の名盤です♪

 

クラブ・ジャズ世代はもちろんマスト・アイテムですが、全ジャズ・ファン必聴の名盤です。

 

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