カテゴリー:Music

2019/03/17

【黒い山羊座】ビリー・ハーパー初のリーダー作『Capra Black』を聴こう♪

サックス奏者ビリー・ハーパーが1973年にストラタ・イーストで製作した初のリーダー作『Capra Black』をご紹介したブログ記事のタイトル画像です。

サックス奏者ビリー・ハーパーが1973年にストラタ・イーストで製作した初のリーダー作『Capra Black』

意外な年齢⁉

このブログ記事を書く前に、少し驚いたことが一点!

 

今回ご紹介しようと思うビリー・ハーパーというサックス奏者は、ギル・エヴァンスやサド・ジョーンズ~メル・ルイス楽団にアート・ブレイキー・ジャズ・メッセンジャーズなど数多くのジャズの巨人の元で研鑽を積んだ人物です。

 

このブログ記事を書いている今も存命中です。

 

今もまだ健在であることを調べた際に、初めてビリー・ハーパーの年齢を意識してみたのですが……なんと前々回ご紹介していたスライ・ストーンと同じ1943年生まれの76歳なのですね!

 

【激レア⁉】スライ&ザ・ファミリー・ストーンの限定紙ジャケ用ボックス

てっきりビリー・ハーパーの方が年上で、スライの方が年下だと勘違いしていました。

 

同じ年齢でも演奏する音楽ジャンルで印象は変わるものですね。

 

前々回もご紹介していたようにスライのファンクは、今聴いても「新しく」感じます。

 

それに対して、メッセージ性の強いビリー・ハーパーの音楽性は、今の時代には少し「古く」感じざるを得ません。

 

どうもジョン・コルトレーンから始まった「スピリチュアル・ジャズ」系は、僕の勝手なイメージなのかもしれませんが、古く感じてしまいます……。

 

しかしアーチー・シェップやファラオ・サンダースにマリオン・ブラウンやジョー・ヘンダーソン……そして今回ご紹介するビリー・ハーパー達が「スピリチュアル・ジャズ」の名作を制作したのは、スライが1971年に『暴動』をリリースしたのと同じ年代なんですよね。

 

そう考えると「ファンク」と「スピリチュアル・ジャズ」は、キング牧師亡き後の”Black Lives Matter!(黒人の命も大切だ!という人種差別撤廃のスローガン)“を体現した音楽性でもあるんですね。

 

U2から音楽に目覚めた僕は、自然とメッセージ性の強い音楽ジャンルを好きになっていったのですが……特に「ファンク」と「スピリチュアル・ジャズ」が好きな理由は、こういった繋がりがあるからなのかもしれません⁉

 

ジョン・コルトレーンもジェームス・ブラウンも、人種差別に対して音楽で闘っていましたからね!

 

さて、今回ご紹介するビリー・ハーパーは、「黒人による黒人のためのレコード会社」であるストラタ・イーストから1973年にデビュー作である『Capra Black』をリリースしています。

 

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「黒人による黒人のためのレコード会社」ストラタ・イーストとは?

ストラタ・イーストは、黒人トランペット奏者のチャールズ・トリヴァーと黒人ジャズ・ピアニストのスタンリー・カウエルによって設立されたレーベルです。

 

「黒人による黒人のためのレコード会社」というだけあって、このレーベルで制作されたアルバムに登場するのは黒人のみです。

 

ミュージシャンによって立ち上げられたインディ・レーベルの草分けでもあり、強い民族意識を打ち出したレーベルでもあります。

 

さて、このレーベルから第一弾の作品がリリースされたのが1971年です。

 

ちょうどスライ&ザ・ファミリー・ストーンの『暴動』がリリースされたのと同じ年ですね。

 

ストラタ・イーストからの第一弾となった作品は、チャールズ・トリヴァーとスタンリー・カウエルが双頭リーダを務めたミュージック・インクの『Music Inc.』でした。

 

 

その後、50枚近くの作品が制作されています。

 

しかし正直なところ、CD化されていなかったり、廃盤状態が続いていたりと滅多に見かけない作品ばかりで、誰も知らないようなアルバムがほとんどです……。

 

一応、女性オルガン奏者のシャーリー・スコットやコルトレーンやグラント・グリーンとも共作経験のあるサックス奏者のハロルド・ヴィックに、マイルス・バンドにも所属していたソニー・フォーチュン、そしてクラブ・ジャズ系でも人気のワンネス・オブ・ジュジュなんかの作品もストラタ・イーストからリリースされています。

 

そんななかで、ビリー・ハーパーのこのデビュー作品も同レーベルからリリースされています。

 

このストラタ・イーストが面白いのは、吹き込みの許可を与えられたグループのリーダーが、作品制作のプロデューサーに指名されることです。

 

本作の『Capra Black』も、ビリー・ハーパー自らがプロデュースを行っています。

 

「己の作品は己の手で守り、管理する」というのがこのレーベルの鉄則のようです。

 

そういった責任は伴いますが、ある程度の自由を与えられた環境は、自立心の強いミュージシャンにとっては最高の場所だったことでしょう。

 

そういうわけもあってか、ビリー・ハーパーのデビュー作は全てが自作曲で伸び伸びとした演奏が繰り広がられた傑作となっています。

 

それでは1973年の『Capra Black』をご紹介したいと思います。

 

 

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Billy Harper – 『Capra Black』

サックス奏者ビリー・ハーパーが1973年にストラタ・イーストで製作した初のリーダー作『Capra Black』をご紹介したブログ記事の写真1枚目

サックス奏者ビリー・ハーパーが1973年にストラタ・イーストで製作した初のリーダー作『Capra Black』をご紹介したブログ記事の写真2枚目

サックス奏者ビリー・ハーパーが1973年にストラタ・イーストで製作した初のリーダー作『Capra Black』をご紹介したブログ記事の写真3枚目
01.Capra Black
02.Sir Galahad
03.New Breed
04.Soulfully, I Love You/Black Spiritual Of Love
05.Cry Of Hunger

 

Personnel:
Billy Harper – Tenor Saxophone
Jimmy Owens – Trumpet
Dick Griffin, Julian Priester – Trombone
George Cables – Piano
Reggie Workman – Bass
Billy Cobham, Elvin Jones, Warren Smith – Drums
Barbara Grant, Billy Harper, Gene McDaniels, Laveda Johnson, Pat Robinson – Voice

 

 


 

アルバムの内容

この作品には、コルトレーン組のベーシスト、レジー・ワークマンとドラムのエルヴィン・ジョーンズが参加しています。(ドラムはビリー・コブハムとウォーレン・スミスも参加)

 

そういったこともあってか、どうしてもビリー・ハーパーのサックス・プレイもコルトレーンを彷彿させています。

 

1曲目のタイトル・トラック”Capra Black”は、1971年のリー・モーガンの最後の作品『The Last Session』の1曲目にも収録されていたハーパーのオリジナル曲です。

 

 

その『The Last Session』にもビリー・ハーパーはサイドマンとして参加していました。

 

本作はその焼き増しとでも言うべきか、それともこちらこそが本家本元の演奏と言うべきか⁉

 

ただこちらの方がやはり自身の初リーダー作ということもあってか、気合が入っているように感じさせます。

 

まるでマッコイ・タイナー風の重たい音色のピアノに、リー・モーガン風のトランぺッターも居て、サックスソロになるとまるでコルトレーンのようにフレーズを敷き詰める「シーツ・オブ・サウンド」方式で演奏しています。

 

生前のコルトレーンが演奏していてもおかしくない様な「スピリチュアル」な曲調です。

 

ちなみに曲名にある”Capra Black”とは、”Black Capricorn”=「黒い山羊座」の意味です。

 

ビリー・ハーパーは、1月17日生まれの山羊座なのです。

 

おそらく自分自身のことを”Capra Black”と言う曲名で表しているんでしょうね。

 

アルバム冒頭からいきなり11分を超える重い長尺曲でお腹一杯になりそうなところですが……まだまだ濃い曲は続きます。

 

ハーパーのカデンツァ風(ピアノのちょっとした伴奏はあり)のソロから始まる2曲目”Sir Galahad”は、3/4拍子のワルツ・タイムの曲です。

 

まずはマッコイ・タイナー風のピアノ・ソロから始まって、トランペットソロに移ります。

 

その間もエルヴィン・ジョーンズが細かいビートを刻み続けます。

 

次に短めのトロンボーンソロが入り、満を持してハーパーのテナーソロが始まります。

 

フラジオ奏法も交えた吹き方は、コルトレーンのようでもあります。

 

そして最後にエルヴィン・ジョーンズのドラムソロも含んで、3管による締めのテーマのユニゾン演奏で終わります。

 

3曲目”New Breed”は、新しい考え方を持つ新世代の若者たちについて表現した曲です。

 

サックスとトランペットのユニゾンでテーマが始まり、まずはトランペットソロが繰り広げられます。

 

まるでリー・モーガン!と言いたくなるような高音を活かしたトランペットソロの次ぎに、トロンボーンのソロが続きます。

 

次にハーパーのサックスソロ→ピアノソロ→ベースソロと続き、「バンッ!」という3管によるキメ・フレーズを入れてテーマに戻ります。

 

4曲目”Soulfully, I Love You”は、ゴスペル・コーラス隊が参加した聖歌のようなバラード曲です。

 

ソロの順番は先ほどまでと違って、サックス→トランペット→トロンボーンと続きます。

 

最後のテーマ部分に戻る8分2秒当たりのサックス・フレーズはモロにコルトレーンですね!(笑)

 

5曲目”Cry of Hunger”もメッセージ性の強い楽曲です。

 

「飢えの叫び(声)」という悲痛なタイトルは、満たされない黒人社会を訴えかけているような曲名です。

 

曲が始まる最初のテーマも、ファラオ・サンダースのようにフリーキーなサックスソロで始まります。

 

そのまま激しいサックスソロに移り、コーラス隊の”There’ll Be Enough Someday(いつの日か満たされるであろう)“という歌が挿入されます。

 

これは単に「飢えが満たされる」ということだけでなく、人種差別が撤廃され社会的にも満たされることを意味しているのでしょう。

 

アルバム最後のこの曲は、11分近くある長尺曲ですがサックスのみがリードする曲です。

 

トランペットもトロンボーンもピアノもバックを支えるのみで、最後の最後はビリー・ハーパーが中心となって訴えかける曲で締めくくられます。

 

ここに収録された5曲全てがビリー・ハーパーによる自作曲で、この全てが彼が表現したかった強い思想なのだと感じます。

 

 

Ryo@Dixiefunk Lab.の白アイコン
Ryo
おすすめ曲は、#1 #2 #5

 

 

以上、【黒い山羊座 ビリー・ハーパー初のリーダー作『Capra Black』を聴こう♪】のご紹介でした。

 

 

 

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