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カテゴリー:Music

2022/06/03

原点回帰?それとも進化?ファンキーな楽曲が揃ったソウライヴの名作スタジオ盤『Up Here』を聴こう♪

現在進行形ジャズファンク・バンドのソウライヴが2009年にリリースした原点回帰ともいえる名作『Up Here』をご紹介したブログ記事のタイトル画像です。

ボーカルアルバムから一転!原点回帰ともなった2009年の名作『Up Here』

前回ご紹介していたソウライヴの結成10周年を記念して行われたブルーノート東京での来日公演からベストな音源をチョイスして収録した名作ライヴ盤『Live At Blue Note Tokyo』に引き続き、今回はボーカル・アルバムだった2007年の『No Place Like Soul』以来2年振りとなるスタジオアルバム『Up Here』についてご紹介します。

 

↓↓↓↓前回のブログ記事↓↓↓↓
初期のベストな選曲が楽しめるソウライヴ結成10周年を記念したライブ盤『Live At Blue Note Tokyo』を聴こう♪

Soulive – 『Up Here』

01.Up Right
02.The Swamp
03.Too Much
04.Backwards Jack
05.PJ’s
06.Tonight
07.Hat Trick
08.For Granted
09.Prototype

ゲストを迎えつつも原点に返ったソウライヴのアルバム

2007年にリリースされた前作『No Place Like Soul』ではいつものソウライヴのオリジナルメンバーであるアラン・エヴァンス(dr)、ニール・エヴァンス(org)、そしてエリック・クラズノー(gt)の3人以外にもトゥサンというリードボーカルが第4の公式メンバーとして参加していました。

 

そのためインスト系のジャズファンク曲は鳴りを潜め、ボーカル曲が中心の楽曲ばかり収録されていました。

 

しかしソウライヴの本来の姿はオルガントリオによるインストのジャズファンクだと言えます。

 

『No Place Like Soul』の1つ前のアルバム『Break Out』に関しても、様々なゲストが参加したバラエティに富んだ内容でした。

 

ゲストの参加自体は悪くはないのですが、しかし基本となるトリオでの演奏をないがしろにされては、どうしてもソウライヴっぽい作品には聴こえなくなってしまいます。

 

しかし本作『Up Here』では過去2作の「らしさを欠いたアルバム」から原点回帰をした「ソウライヴらしい」アルバムに仕上がっています。

 

とは言ってもデビュー当時のまだまだ未熟だった頃のソウライヴに戻ったわけではなく、ここに至るまでの7作品(ライヴアルバムの『Soulive』含む)を踏まえた上で更に進化した作品だと言えます。

 

バンドの進化は短く簡潔な楽曲が決めて!?

 

その理由として本作はソウライヴの全作品中でも特に収録された楽曲に統一感があるからです。

 

これまでのアルバムだと、インストでアドリヴソロ長めのジャズファンク曲の後にネオ・ソウル風のボーカル曲が入っていたり、急にジミヘン風のファンク・ロック曲が挟まれていてその曲だけ違和感があったりしました。

 

しかし本作のソウライヴからは「やりたいこと!」が明確に提示されているように感じられます。

 

それは「ファンク!」です。

 

バラード曲も数曲収録されてはいますが、本作のほとんどの楽曲はファンク系の楽曲が中心です。

 

エリック・クラズノーのギターソロが控えめな曲が多くってギターファンからしたら物足りなく感じられる楽曲もいくつかありますが、しかしそれもエリック・クラズノーがミュージシャンとして進化した結果なのだと感じます。

 

本作のエリックは的確なリズムギターでバンドサウンドを盛り上げています。

 

ファンクに必要なのは派手なギターソロよりもファンキーなカッティングです!

 

今回のエリックは楽曲重視でバンドサウンドを盛り上げることに徹しています。

 

もちろんギターソロが全くないわけではありませんが、本作では長尺アドリヴソロを弾きまくってはいません。

 

特にボーカル曲では短く簡潔にギターソロを弾いています。

 

ギターファンとしては少し物足りなさを感じるにしても、アルバム全体で考えたらウダウダと長いソロ演奏が少ない分非常に聴きやすい作品に仕上がっています。

 

ギターソロはあくまで楽曲を盛り上げるための一部ですからね。

 

それよりも聴く人を心地良くさせるグルーヴが大事です!

 

その点でもこの『Up Here』は過去のどの作品よりもグルーヴしていると言えます。

 

5分10秒を超える曲が1曲もなく、全9曲41分と今までになく曲数も少なく短い作品ですが、その分流して聴く際に「後半は聴く方も疲れてどんな曲だったか覚えていない…。」ということが起こりにくいアルバムでもあります。

 

それでは1曲目から順に見えいきましょう。

 

 

『Up Here』収録曲

1曲目”Up Right”は、2本のホーンの絡み合いが重厚なブラス・ファンクです!

 

ゲストで参加しているホーン隊のメンバーは、ライブ盤『Live At Blue Note Tokyo』と同じくサム・キニンジャーとライアン・ゾイディスの2人のサックス奏者です。

 

それこそこの曲はエリック・クラズノーが過去に在籍していたジャズファンク・バンドのレタスのような楽曲ですが、しかしニールのリズミカルな鍵盤捌きにエリックのファンキーなギターリフ、そしてアランの力強いドラミングが合わさると「これこそまさにソウライヴ!」という独特なグルーヴが生まれています。

 

ギターソロこそないもののエリックは終始バンドサウンドの一部として印象的なリフを弾き続けています。

 

この曲の主役はニールのエレピのサウンドです!

 

それまでのオルガンではなくよりジャジーなエレピの音を弾くことで、どことなく「大人の雰囲気」を感じられます。

 

過去の作品では若々しさの中にちょっとした未熟なプレイも感じられたニールの鍵盤捌きでしたが、この曲では堂々としており大人になった自信を感じさせます。

 

本作がリリースされる前に音楽雑誌や音楽の情報サイトには「原点回帰!」みたいに書かれていた記憶があるのですが、この曲を聴いた当時の僕は「以前までのソウライヴとは違う!進化している!」と感じました。

 

U2が『Achtung Baby』リリース後に『Zooropa』を経てダンサンブルな『POP』へと向かいロックバンドとしての魅力を失いつつあった時に、2000年になり『All That You Can’t Leave Behind』をリリースして原点回帰した!とも言われていましたが、あの時も「原点回帰というよりも進化した!」と感じました。

 

『All That You Can’t Leave Behind』と『The Joshua Tree』では全くアルバムの雰囲気は違いますからね。

 

メンバーの成長と共にバンドサウンドも大人へと進化しています。

 

それと同じことがこの『Up Here』には感じられます。

 

2曲目”The Swamp”は、エリックのギターが中心の曲です。

 

ニールがモジュレーションを掛けた派手なサウンドで攻める中、エリックはナチュラルなオーバードライヴのサウンドにオクターバー(オクターブ上や下の音を足すエフェクター)で奥行を付け加えてテーマメロディーを弾いています。

 

ギターソロも楽曲のテーマメロディーを無視してハチャメチャに弾くのではなく、メロディーラインを残しつつも短く簡潔に弾いています。

 

そのためギターソロだけを聴く曲として終わるのではなく、楽曲全体のグルーヴを楽しんで聴くことが出来る曲に仕上がってます。

 

この曲はライヴでもちょくちょく演奏してくれる曲で、その際は多少長めにギターソロを弾いています。

 

これまでにない緊張感漂うテーマメロディーが印象的で、本作の中では僕はこの曲が一番好きです♪

 

3曲目”Too Much”は、エリック・クラズノーの初ソロアルバム『reminisce』にも参加していたナイジェル・ホールがゲストで歌うボーカル曲です。

 

まるでジェームス・ブラウンの曲のようなファンキーな楽曲です。

 

後に発売されたDVD作品『Soulive – Bowlive』にもこの曲のかっこいい演奏が収録されていますのでそちらも必見です!

 

 

4曲目”Backwards Jack”は、ファンキーなサックスとバンドの混じり合いがかっこいいインスト曲です。

 

フェイザーやトレモロといった「揺れ」を表現するエフェクターを使ったエリックの独特のシュワシュワ鳴るギターサウンドが魅力的です。

 

ギターソロではジミヘンばりにロックな演奏を聴かせてくれています。

 

初期の頃はジャジーなギターソロを弾いていたエリックでしたが、本作辺りからよりロックな演奏へと変わっていきました。

 

この変化に関してお良し悪しは聴く人それぞれの嗜好で変わることでしょうが、僕としてはどうしても好んで聴く人が少ないジャジーな演奏よりも、誰もがわかりやすいロックな演奏に変わったことは良いんじゃないかな?と思います。

 

なんだかんだでロックなギターソロは聴きやすいですから♪

 

この曲もライヴではよく演奏されています。

 

続く5曲目”PJ’s”は、エリックによるバラード曲です。

 

過去にもスティーヴィー・レイ・ヴォーンの”Lenny”をソウライヴ名義でカバーしていましたが、その曲やジミヘンの”Little Wing”路線のメロディーラインが美しい楽曲です。

 

エリックの師匠でもあるトモ藤田さんも2ndアルバム『Right Place, Right Time』でこの路線のオリジナル曲”Sweet Home”というのをやっていました。

 

やはり師弟揃ってジミヘンとスティーヴィー・レイ・ヴォーンがお好きなのですね♪

 

この”PJ’s”もライヴでよく演奏される曲です。

 

6曲目”Tonight”は、先に収録されていた”Too Much”と同路線のJB風ファンク曲です。

 

なんとここではソウライヴのリーダーでありドラムを担当するアラン・エヴァンス自らが歌っています。

 

実はアランは自身のソロアルバムではこうやってリードボーカルを務めることがよくあります。

 

声質こそジェームス・ブラウンと比べると低いのですが、かなり影響を受けた歌い方をしています。

 

専任のボーカリストと比べると決して歌唱力は高くありませんが、しかし聴き辛いというほど下手ではありません。

 

こういった勢い中心のファンク曲に於いてはアランの歌声は合っています。

 

7曲目”Hat Trick”もライヴでよく演奏されるブラス・ファンク曲です。

 

こちらの曲も”Too Much”同様にDVD作品『Soulive – Bowlive』で勢いに乗ったライヴ演奏を観ることが出来ます。

 

同じインスト系のジャズファンク曲であっても過去の楽曲よりもファンク度が増しているように思えます。

 

8曲目”For Granted”も先の”Hat Trick”と同じくブラス・ファンク曲です。

 

こちらではゲスト参加しているサム・キニンジャーとライアン・ゾイディスのの2人のサックス奏者がアドリヴソロを披露しています。

 

ホーン隊がメインの楽曲なのですが、後にエリック・クラズノーが自身のオルガン計ジャズファンク・トリオのThe E3 Organ Trioでホーン隊なしで演奏していたこともあります。

 

そのトリオ演奏ではホーン隊なしでやっていたので最初何の曲かわからなかったです。(笑)

 

ホーンなしだと後期グラント・グリーンが演奏していそうなジャズファンク曲に聞こえます。

 

アルバム最終曲の”Prototype”は、ナイジェル・ホールがファルセットで歌うソウルナンバーです。

 

まるで70年代マーヴィン・ゲイやカーティス・メイフィールドのようなニュー・ソウル・タッチの楽曲です。

 

アルバムの締めにはちょうど良いバラード曲ですね。

 

以上、【原点回帰?それとも進化?ファンキーな楽曲が揃ったソウライヴの名作スタジオ盤『Up Here』を聴こう♪】でした。

 

 

ソウライヴのスタジオアルバムの中で僕はこの『Up Here』が一番好きな作品となります。

 

全体を通して収録時間が長すぎず、そしてほとんどがファンキーな楽曲で統一されているので普段聴くのにとても適したアルバムです。

 

ちなみに前回ご紹介していたライブ盤『Live At Blue Note Tokyo』のブログ記事にも書いていたのですが、本作にはライブ盤『Live At Blue Note Tokyo』の数曲のライヴ演奏が収録されたDVDが付いたお買い得なバージョンも存在しています。

 

↓↓↓↓それがこちらです。↓↓↓↓

 

ただしライヴ動画がフルで収録されているわけではありません。

 

下記の6曲のみの収録となっております。

 

Steppin’
Bubble
Vapor
Cannonball
Liquid
Tuesday Night Squad

 

このDVDで観ると”Steppin'”の演奏時に途中でエリック・クラズノーのギターの2弦が切れていることを確認できます。

 

ライヴ盤を聴いただけではわからないこういった楽しみ方もあるんですね。

 

しかしなぜフルでライヴ映像が販売されないのか?…謎です。

 

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