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カテゴリー:Music

2022/05/27

ビートルズにジミヘンにJ・ディラまでも!? 様々な要素が詰まったエリック・クラズノーの初ソロアルバム『reminisce』を聴こう♪

ソウライヴのギタリストのエリック・クラズノーが2009年にリリースした初ソロアルバム『reminisce』をご紹介したブログ記事のタイトル画像です。

ソウライヴのギタリストのエリック・クラズノーの1stソロアルバム『reminisce』

今回は僕の大好きなジャズファンク系バンドのソウライヴでギターを担当しているエリック・クラズノーが2009年にリリースした初ソロアルバム『reminisce』についてご紹介したいと思います。

 

 

Eric Krasno – 『reminisce』

01.Roll Out
02.76
03.Get Back
04.Be Alright
05.Enhorabuena
06.Tilt
07. Manic Depression
08.Song For Dilla
09.Up And Out
10. Reminisce (End Of The Movie)
11. Domino

 

ソウライヴの『No Place Like Soul』以前から制作されていたソロアルバム

このアルバムはソウライヴが2007年にリリースした異色のボーカル作品『No Place Like Soul』の後にリリースされてはいますが、制作自体はそれ以前の2006年から行われています。

 

そのため本来であれば本作『reminisce』に収録予定だった楽曲がいくつか『No Place Like Soul』の方にソウライヴ名義で収録されています。

 

その曲とは、”Outrage”と”Don’t Tell Me”と”Never Know”の3曲のことです。

 

この中でも特に”Outrage”はソウライヴの代表曲の一つとして人気の曲ですが、もともとはエリック・クラズノーがソロアルバムのために用意していた楽曲でした。

 

オルガン主体のジャズファンク・バンドのソウライヴの曲にしてはあまりにもギターが目立ちすぎる楽曲でしたからね。

 

俗にいう「ジミヘンコード」と呼ばれるE7(#9)のコードを派手に鳴らすイントロからしてロックギターテイストの曲で、その後もジャズファンというよりもファンクロックに近い展開で進んでいく楽曲でした。

 

アドリヴソロ時もクラズノーはソウライヴ初期のようなジャジーソロではなくロックに弾いていました。

 

もちろん同じギター弾くの僕もこの曲が大好きなのですが、もしこの曲がソウライヴの楽曲としてではなくエリック・クラズノーのこの1stソロアルバムに収録されていたら扱いも変わっていたのかもしれませんね。

 

僕はソウライヴというバンドだけでなくエリック・クラズノーというギタリストにも興味があるためこの1stソロアルバム『reminisce』も発売された当初すぐに入手しましたが、おそらくスライヴファンのほとんどの人は聴いていないのかもしれません!?

 

どうしても人気のバンドメンバーのソロアルバムとかは、よっぽどそのミュージシャンのファンでもない限り聴くことはないでしょうからね…。

 

残念なことではありますが、ほとんどの人は「そのバンドのファンであって所属ミュージシャン1人1人のファンというわけではない」でしょうからね。

 

あのビートルズでさえもジョンやポールのソロアルバムを聴いたことがないというリスナーは多くいらっしゃるんじゃないでしょうか!?

 

そう考えるとどうしても一般の知名度は低いであろうソウライヴのギタリストともなれば聴いていない方がほとんどだと思います。

 

僕は実際に自分がバンド活動やセッションに行った時に”Outrage”を演奏している人らを何度か見かけたことがあります。

 

もちろんセッション映えするかっこいい楽曲なのでカバーする人がいてもおかしくはありません。

 

しかし皆さん「ソウライヴの曲だから」知っているのだと思います。

 

これがもしエリック・クラズノーの1stソロアルバムに収録されていた曲だとしたら、ほとんどの人が聴かないまま「埋もれた名曲」として終わっていたことでしょう。

 

やはりどうしても人気バンドのメンバーの1人が制作したソロアルバムは一般への認知度は低いかと思われます。

 

しかし僕自身はこの『reminisce』がすごく好きなアルバムなので、今回こうして自分のブログでご紹介することによって多くの人に興味を持っていただけたら…と思います。

 

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多彩な音楽的要素が混在した名作『reminisce』

さて今回ご紹介するエリック・クラズノーのこの作品『reminisce』は、クラズノーが過去に受けてきた様々な音楽性からの影響を垣間見ることのできる名作だと言えます。

 

それはビートルズやジミ・ヘンドリックス(ジミヘン)等のロックミュージシャンだけでなく稀代のビートメーカーであった故J・ディラからの影響も感じられます。

 

J・ディラはスラム・ヴィレッジというヒップホップ・バンドに所属していた音楽プロデューサー兼作曲家です。

 

残念ながらこのアルバムの制作が始まった2006年に32歳の若さで亡くなっていますが、彼の創り出した新世代のヒップホップ・ビートは、ネオソウルや近年流行りのローファイ・ヒップホップ(チルホップ)の誕生に大きな影響を与えています。

 

ロバート・グラスパーもJ・ディラから大きな影響を受けている1人です。

 

またディアンジェロやザ・ルーツのドラマーであるクエストラヴが結成していた音楽的クリエイティブ集団『ソウルクエリアンズ』の一員でもありました。

 

その『ソウルクエリアンズ』の成果物として有名なのがディアンジェロの『Voodoo』やコモンの『Like Water for Chocolate』それにエリカ・バドゥの『Mama’s Gun』といった名盤になります。

 

エリック・クラズノー自体はソウルクエリアンズのメンバーではありませんでしたが、その周辺のミュージシャンとの共演は何度となく経験しています。

 

例えば、近年ロバート・グラスパーとも共演することも多いラッパーのモス・デフもソウルクエリアンズの一員だったのですが、そのモス・デフはソウライヴの初期のライブにゲストとして何度か登場しています。

 

またラッパーのタリブ・クウェリもソウルクエリアンズの一員でクラズノーとも共演していました。

 

それはがタリブ・クウェリが2002年にリリースしたデビュー作『Quality』の1曲目 “Keynote Speaker”という曲です。

 

コメディアンのデイヴ・シャペルの語りのバックで鳴っているオシャレなジャズギターを弾いているのがエリック・クラズノーでした。

 

それだけでなくソウライヴの2007年頃のライブでは”Feel Like Makin’ Love”をディアンジェロの『Voodoo』収録バージョンのようなアレンジで演奏もしていました。

 

ソウルクエリアンズとの関係性も薄らと感じられるエリック・クラズノーも少なからずJ・ディラから影響を受けていることでしょう。

 

本来は自分でも歌うつもりだった? ボーカル曲も含んだソロアルバム

アルバムはソウライヴっぽいジャズファンク曲の1曲目”Roll Out”から始まります。

 

この曲はエリック・クラズノーが本作で起用しているドラム奏者のアダム・ダイチと共作した曲です。

 

アダム・ダイチはジョン・スコフィールドのジャム・バンド作品『Überjam』に参加していたミュージシャンです。

 

ファンキーなドラマーとしての顔だけでなくヒップホップのプロデューサーとしての顔も持つ才能あふれるアーティストです。

 

ちなみにこの1stアルバムのほとんどの楽曲はエリック・クラズノーとアダム・ダイチのこの2人で制作されています。

 

こちらの1曲目”Roll Out”にはソウライヴのオルガン奏者であるニール・エヴァンスがゲストミュージシャンとして参加しています。

 

そりゃ~ソウライヴっぽくもなりますよね♪

 

1曲目はやはりソウライヴ・ファンを意識した楽曲のようです。

 

ちなみにニール・エヴァンスが後にソロアルバム『Bang』をリリースした際にはクラズノーがギターで1曲参加していました。

 

他にもこの”Roll Out”にはコーチマー・ガステラムがサックスとフルートで参加しています。

 

フェイザーとトレモロを合わせたいつもの「揺れ」のあるギターサウンドがお馴染みのエリック・クラズノーのサウンドでゆったりとリラックスして聴けるジャズファンク曲です♪

 

続く2曲目” 76″は、1976年生まれのエリック・クラズノーの生年を現したタイトルの曲です。

 

どことなく70年代のフュージョン系の軽いノリの楽曲です。

 

フュージョンと言えばエリック・クラズノーは初期のソロライヴではビリー・コブハムの”Red Baron”をよく演奏していました。

 

もしかしたら”Red Baron”が収録されていた『Spectrum』でギターを弾いていたトミー・ボーリン(元ディープ・パープル)からの影響も少なからずあるのかもしれませんね!?

 

 

3曲目”Get Back”はビートルズのお馴染みのあの楽曲のカバーです。

 

この曲はオルガンの女王シャーリー・スコットが1969年にリリースしたソウルジャズの名作『Shirley Scott & The Soul Saxes』にも収録されていたソウル系ミュージシャンにも人気の楽曲です。

 

シャーリー・スコットのカバーバージョンはかなり速いテンポで演奏されていたのですが、このアルバムではユルいアレンジで演奏されています。

 

ソウライヴのライヴにもよく参加しているライアン・ゾイディスがサックスを吹いています。

 

エリックはこのアレンジを気に入っている様で、この”Get Back”が本作『reminisce』収録曲で一番のお気に入りみたいです。

 

ちなみに元グレイトフル・デッドのベーシストだったフィル・レッシュと2013年にNYにあるセントラルパークでゲリラ・ライヴを行った際にも”Red Baron”と併せてこの”Get Back”を演奏していました。

 

よっぽどのお気に入りみたいです。

 

後にソウライヴでも『Rubber Soulive』というビートルズ・ナンバーで占められたアルバムを制作している程ですから、やはりビートルズから受けた影響も大きのでしょうね。

 

 

4曲目”Be Alright”は、制作段階のデモではエリック自身がリードボーカルを担当していたようですが、アルバム収録の段階になってからナイジェル・ホールの歌に差し替えられています。

 

最近ではエリック・クラズノー自身がソロアルバムのほとんどの曲でボーカルも取るようになっていますが、まだこの時期には自身の歌声に納得していなかったようでナイジェル・ホールが代わりに歌っています。

 

しかし最近になってから聞くことができるエリック・クラズノーの歌声とこのナイジェル・ホールの歌声はかない似ていたりもします。

 

それならいっそエリック本人が歌ってくれていてもよかったのですがね…。

 

5曲目”Enhorabuena”は、「エニューラブエナ」と読みます。

 

スペイン語で「おめでとう!」を表します。

 

英語で言うところの”Good Job!”に近い感じでしょうか!?

 

エリック・クラズノーの作曲で曲名通りにスパニッシュ風味のエキゾチックな楽曲です。

 

Ryo@Dixiefunk Lab.の白アイコン
Ryo
僕のお気に入りの楽曲です♪

それまでのソウライヴではあまり見られなかったスパニッシュ風味のギターソロを聴けるという点でも貴重な曲ですね。

 

6曲目”Tilt”は、「傾ける」を意味する言葉です。

 

アダム・ダイチとの共作でこちらにはソウライヴのリーダーでもあるアラン・エヴァンスがドラムで参加しています。

 

1曲目の”Roll Out”と同じくソウライヴっぽいジャズファンク曲です!

 

7曲目”Manic Depression”は、言わずと知れたジミヘンの代表曲の1つです。

 

過去にもソウライヴのアルバム『Break Out』でジミヘンの”Crosstown Traffic”をインストアレンジで取り上げていたのですが、今回はナイジェル・ホールのボーカルありでカバーしています。

 

ジミヘンのオリジナルよりも更にファンキーなグルーヴで演奏しています♪

 

ビートルズと同じくジミヘンもエリック・クラズノーが大きな影響を受けたミュージシャンだということが大いに感じられます。

 

そして8曲目”Song For Dilla”は、曲名からもJ・ディラに捧げられたような楽曲です。

 

ほとんどの作曲はアダム・ダイチが行ったようですが、エリック・クラズノーも少なからずJ・ディラからも影響を受けているはずです。

 

この曲にもソウライヴのオルガン奏者ニール・エヴァンスが参加しています。

 

イントロのワウギターのように聞こえるモジュレーション音はニール・エヴァンスがキーボードで弾いています。

 

まさにJ・ディラ風のアフタービート(裏拍)を強調したドラムのユルいビートに乗せてエリック・クラズノーがまるでディアンジェロの歌メロのようなメロディーラインをギターで弾いています。

 

この曲も僕のお気に入りの1つです♪

 

打って変わって9曲目” Up And Out”は、ソウライヴっぽいロックな感触も交えたインストのジャズファンク曲です。

 

こういった演奏こそエリック・クラズノーが最も得意とするジャンルだと感じられます。

 

10曲目”Reminisce (End Of The Movie)”は、アダム・ダイチのドラム以外のパート全てをエリック・クラズノーが演奏した楽曲です。

 

アコースティックギターの音色がサザンロックの哀愁を感じさせる曲調で、曲名通りにロードムービーのエンディングとかで流れていてもおかしくないような楽曲です。

 

本アルバム最終曲の11曲目” Domino”もニール・エヴァンスが参加したソウライヴ風のジャズファンク曲です。

 

最後の最後でやはり自身が一番得意とする楽曲を選んできましたね。

 

しかし本作の素晴らしさはそういったソウライヴ風の楽曲のみならず、ビートルズやジミヘンのカバー曲に、スパニッシュな”Enhorabuena”やJ・ディラ風の”Song For Dilla”やサザンロック風の”Reminisce (End Of The Movie)”等、エリック・クラズノーが影響を受けた様々な音楽性の楽曲が収録されていることでしょう!

 

ソロアルバムだからこそできた「やりたいことをやったアルバム」をぜひソウライヴ・ファンの人だけでなくギター・ファンや多くの音楽ファンに聴いてもらいたく思います。

 

以上、【ビートルズにジミヘンにJ・ディラまでも!? 様々な要素が詰まったエリック・クラズノーの初ソロアルバム『reminisce』を聴こう♪】でした。

 

 

オマケ!?

ちなみに本作でエリック・クラズノーが使用した機材の一部をご紹介したいと思います。

 

近年ではディアンジェリコのソリッド・ギター『Deluxe Brighton』を使うことが多いエリック・クラズノーですがこの頃はアイバニーズのAS200をメインで使っていました。

 

他にもフェンダーのストラトキャスターやテイラー社製のアコースティックギターも使用しているようです。

 

アンプの方はチャーリー・ハンターやパパ・グロウズ・ファンク所属時の山岸潤史さんがよく使用していたメサ・ブギー社のローンスターを使用しています。

 

ミドル絞り目のドンシャリ気味のセッティングのようです。

 

エフェクターはジミヘンも使用していた定番のワウペダル、クライベイビーやアイバニーズのチューブスクリーマーにXOTICのBBプリアンプといった定番の歪み系を合わせています。

 

そこにエリック・クラズノー・サウンドとしても特徴的なBOSSのフェイザーやトレモロを合わせて独特の「揺らぎサウンド」を作り出しています。

 

変わったところではピッグトロニクスのエンベロープ・フィルター等も使用しているようです。

 

一時期ピッグトロニクスのエフェクターをエリック・クラズノーはいくつかデモ演奏していたようで、そういった動画がYouTubeでも観ることが出来たりします。

 

意外とギタリストなら誰しもが知っている様な定番の機材を使っているもんなのですね。

 

あのサウンドはエリック・クラズノーだからこそ出せる音なのでしょう!

 

 

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ソウライヴのアルバムをご紹介したブログ記事シリーズのまとめ
ソウライヴ異色のボーカル作品『No Place Like Soul』もやはりインスト曲が一番の出来⁉
多彩な曲調が詰まった2005年のソウライヴの6作目『Break Out』を聴こう♪
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