2024/08/20
ナタリー・インブルーリアのおすすめアルバムを5作品選んでランキング形式でご紹介!
【第41回】おすすめアルバムを5作品選んでランキング形式でご紹介シリーズ
オーストラリア出身の歌手兼モデルのナタリー・インブルーリアのおすすめアルバムをご紹介!
【おすすめアルバムを5作品選んでランキング形式でご紹介シリーズ】の第41回です。
今回は、オーストラリア出身の歌手兼モデルのナタリー・インブルーリアのおすすめアルバムを5枚選んでご紹介します。
ナタリー・インブルーリアについて
ナタリー・インブルーリアは、オーストラリア
ニューサウスウェールズ州セントラルウエスト出身で1975年生まれの女性シンガーです。
そのルックスの良さから1994年からTVドラマの女優やモデルとして活動していました。
しかし1997年から突如歌手となり、それ以降は音楽活動を中心に女優業も務めるという活動にシフトします。
その当時、僕は音楽雑誌のイン・ロック(INROCK)をよく読んでいたのですが、元モデルとして活動していたナタリー・インブルーリアが音楽活動を始めると言った内容が掲載されていたことを覚えています。
当時はスパイス・ガールズやブリトニー・スピアーズが大々的に特集されていた時代です。
もちろんナタリー・インブルーリアという名前はその時初めて耳にしたのですが「綺麗な人だな~。でもいきなり歌手とか無理なんじゃないかな?」と思いました。
日本でもよくあるアイドルやTVドラマの女優が歌手デビューしても、歌が下手っぴでCD1枚か2枚リリースして終わり…みたいなことがよくありますからね。
多分CD1枚リリースして終わるんだろうな…とネガティヴなイメージを持ちつつも、1998年にリリースされたデビュー作『Left of the Middle』を聴いてみると…思っていたよりも良い曲が収録されており、歌もまだ未熟ながらも「ナタリーのキュートな見た目通りのかわいらしい歌声で悪くないな。」といった印象でした。
しかしその時点では「でもこの1枚で終わるんじゃないかな?」と思っていました。
それから数年が経ち、ナタリー・インブルーリアのことをすっかり忘れていたのですが、2001年になり久しぶりの2ndアルバムがリリースされる情報が各種音楽雑誌にて報道されました。
しかも今度はイン・ロックのようなどちらかと言えばビジュアル先行の海外アイドル系雑誌ではなくロッキン・オンのようなロック系の雑誌でも特集が組まれていた記憶です。
その時僕は久しぶりにナタリー・インブルーリアのことを思い出したのですが、およそ3年振りにリリースされた2ndアルバム『White Lilies Island』も気になったので購入してみました。
「多分1stアルバムよりも出来は悪いんじゃないかな?期待は出来ないだろう…。」と勝手なことを考えていたのですが…結果は1stアルバムよりも遙かに成熟した名作でした!
1stアルバムの時点では、見た目が売りの美人歌手が趣味程度でリリースしたアルバム…なんて勝手な偏見の目で見ていたのですが、この2ndアルバムは、普通にロックの名作アルバムとして聴くことが出来る傑作でした。
これ以降、ナタリーを「良い曲を歌う実力派シンガー」として見るようになります。
その後、現在までにナタリーは3~4年に1作アルバムをリリースしており、カヴァー・アルバム『Male』も含めるとオリジナル・アルバムを6作品リリースしています。
それでは今回はそんなナタリー・インブルーリアのおすすめアルバムを5枚選んでランキング形式にてご紹介します。
ベスト盤やコンピレーション・アルバムはランキングから除外していますが、話の流れでご紹介することはあります。
それでは第5位からです。
ナタリー・インブルーリアのおすすめアルバムを5作品選んでランキング形式でご紹介!
第5位:Natalie Imbruglia – 『Left of the Middle』
第5位は、1998年にリリースされたデビュー作の『Left of the Middle』です。
印象に残る良い曲が多く、シングル・カットされた曲も数多いアルバムなのですが…女優から歌手に転身したばかりで、まだまだボーカルが未熟なことから第5位となりました。
なんといってもデビュー・シングルにして1曲目に収録された”Torn”の素晴らしさが一番の魅力です。
この曲の歌詞は、「パートナーとの辛い別れ」を題材にしており、キュートな見た目のナタリーにピッタリのイメージでした。(”torn”は「傷だらけ」の意味)
そんなキュートなナタリーがドアップで映ったMVはインパクト大でした!
当時は日本のランキング番組で毎週この曲のMVが流れており、毎回観るのが楽しみでした。
曲の良さだけでなくナタリーのルックスの良さも魅力の曲です♪
多少の加工はしているだろうけれども、これだけドアップにしても問題がないのは、さすが女優やモデルとしても活動しているだけありますね。
そんな恋する乙女心を歌ったような曲”Torn”ですが、ナタリーのオリジナル曲ではありません。
1991年に作曲家のアン・プレヴェンとスコット・カトラーの手によって書かれた曲です。
一番最初にこの曲を歌ったのは、アメリカのロック・バンド、エドナスワップ(Ednaswap)でした。
しかし当初はエドナスワップでレコーディングはしておらず、ライヴでのみ演奏されていました。
先にこの曲をレコーディングをしたのは、デンマークの女性歌手リス・ソーレンセン (Lis Sørensen)でした。
彼女がタイトルをデンマーク語の”Brændt”として1993年にレコーディングしたのがこの曲の初のスタジオ・バージョンになります。
リス・ソーレンセンのバージョンは、1993年にリリースされた6作目のアルバム『Under stjernerne et sted』に収録されていました。
もちろんシングル・カットもされています。
ちなみに”Brændt”とは、英語に直すと”Burnt”のことで「焼けた」を意味します。
リス・ソーレンセンがレコーディングした後の1995年になり、ようやくエドナスワップがオリジナル・バージョンの “Torn”をスタジオ録音してシングル・リリースしています。
そして同年にリリースしたセルフ・タイトルのデビュー・アルバム『Ednaswap』に”Torn”が収録されました。
ナタリーのバージョンと比べると、トレモロ・エフェクターを使用したギターが印象に残るロックな仕上がりです。
またナタリーがカヴァーする前にもう1名、先にこの曲を歌っているアーティストがいます。
それがノルウェー出身で米国のサンフランシスコを拠点に活動する女性シンガーのトリーネ・レインです。
1996年にリリースされた2ndアルバム『Beneath My Skin』(邦題「そよ風を胸に抱いて」)に収録されていました。
ナタリーはこのトリーネのバージョンを意識してカヴァーしていると思われます。
今やナタリー・インブルーリアの代名詞的な曲”Torn”ですが、実はナタリーが歌う前にこれだけのアーティストが先に歌っていました。
残念ながら歌唱力だけで言うとナタリーが一番低いのですが…最も有名なのはナタリーが歌ったバージョンです。
何ならこの曲がカヴァーだと言うことを知らないナタリー・インブルーリア・ファンも少なからずいらっしゃると思います。
オリジナルを歌ったアーティストや、一番歌唱力が高いアーティストが必ずしも一番有名になるとは限らない、不思議な例ですね。
“Torn”の内容で長くなりましたが…本作からは”Big Mistake”に”Wishing I Was There”に”Smoke”と、合計4つのシングルがリリースされました。
一番ヒットした”Torn”こそカヴァー曲でしたが、他の3つのシングル曲は、ナタリーが書いた曲になります。(外部ソングライターとの共作ではありますが…。)
中でもバラード曲”Smoke”の出来は素晴らしく、これだけでもナタリーには作曲の才能があることがわかります。
デビュー作ということもあり、ボーカルがまだまだ未熟で弱々しいのですが…2ndアルバム以降、歌唱力がアップしていることを考えると、ナタリーはシンガーとしてのキャリアを真剣に考えていたんですね。
僕も初見で「見た目が売りなだけのアイドル歌手」と間違った偏見を持ってしまたことを今は反省しています…。
第4位:Natalie Imbruglia – 『Firebird』
第4位に選んだ『Firebird』は、2021年にリリースされた6作目のアルバムで、現時点での最新作になります。
1stアルバムをリリースしたばかりの頃は、すぐに消えるアーティストだと勘違いしていたのですが…あれから20年以上が経ってもクオリティーの高いアルバムをリリースし続けてくれるなんて思いもしませんでした。
先ほどご紹介していた1stアルバムを聴いた後に本作を聴くと、ナタリーの歌唱力が格段に上がっていることがわかります。
1stアルバムのリリース以降にかなりボーカル・トレーニングを積んだんじゃないかと思われます。
前作が『Male』がカヴァー作品だったので、オリジナル曲を収録したアルバムとしては2009年の『Come to Life』以来、実に12年振りとなるアルバムです。
どの曲もソングライターとの曲作ではありますが、基本的にはナタリー自身が書いた曲です。
久しぶりのオリジナル作ということもあり、5曲もシングル・カットされました。
特に先行シングルだった”Build It Better”は、過去の名曲”That Day”を彷彿させるナタリー流のメロディーラインが印象に残る新たな名曲です。
またいつになくポップにはじける2ndシングル”Maybe It’s Great”や、この当時リバイバルしていた80年代風のコーラスを掛けたギターが印象的な3rdシングル”On My Way”等、シンガー・ソングライターとしての能力が今も衰えていないことがわかります。
今後の新作も期待できる内容でした。
第3位:Natalie Imbruglia – 『Come to Life』
第3位は、2009年にリリースされた5作目のアルバム『Come to Life』です。
2000年代初頭にはそれまでのキュートなショート・カットのイメージを覆すような大人な雰囲気のロング・ヘアーに変っていたナタリーでしたが、本作リリース前に発表した初のベスト・アルバム『Glorious: The Singles 97–07』の時期から、またショート・カットに戻りました。
近年も年齢を重ね艶のある大人の女性になったナタリーですが、やはりナタリーにはショート・カットが一番似合っていました。
さて本作は、2007年リリースのベスト・アルバムを挟み4年振りにリリースされたアルバムでしたが、2曲目の”Lukas”と3曲目の”Fun”以外は全てナタリーが書いた曲です。
アルバムからの1stシングルに選ばれた”Want”は、U2風のショート・ディレイを効かせたギターのイントロから始まるダンサンブルな楽曲です。
まるでシャーリーン・スピテリ率いるテキサスの曲のようです。
この曲以外にも”Scars”もシングル化される予定だったのですが、レコード会社との契約上の問題によりキャンセルされてしまいます。
アコースティック・ギターをバックにしたキャッチーなポップ・ソングなのですが、シングル化されなかったのは残念なことです。
この曲が本作のベスト・トラックですからね。
そういった問題があったのと…この”Scars”はアコースティックな曲なのに、他の曲が変にデジタルなキーボードを使った曲などがあるためアルバム全体に統一感がありません。
せっかくだから”Scars”を中心としたアコースティックなアルバムとして統一して欲しかったところです。
そういった統一感のなさが第3位となった理由です。
第2位:Natalie Imbruglia – 『Counting Down the Days』
第2位は、英国チャートで1位を記録した大ヒット・アルバム『Counting Down the Days』です。
“Torn”に次ぐナタリーの代表曲”Shiver”が収録された名盤です。
こちらの”Shiver”は、ナタリーが書いた曲なのでそういった点でも”Torn”が収録されていた1stアルバムよりも上の順位です。
もちろんこの曲だけでなく、爽やかな1曲目”Starting Today”からメランコリックな最後の”Honeycomb Child”まで隙のない作りで、アルバムを通して統一感があります。
10曲目の”Come On Home”以外すべてナタリーが書いた曲です。
ナタリーが書いた最も素晴らしいバラード曲の”Counting Down the Days”も本作に収録されており、2ndシングルにも選ばれました。
全体的にアコースティック・ギターを主体にした曲が多く、統一感があります。
前作『White Lilies Island』がエレキ・ギターを前面に打ち出した暗いアルバムだったので、その次回作に当たる本作ではアコースティック・ギターを中心にした明るい曲が増えています。
『White Lilies Island』を陰だとすると、本作『Counting Down the Days』が陽です。
聴く度にとても爽やかでおっとりした気持ちになれるアルバムです。
夏の終わりに少し風が吹く浜辺でゆっくりと聴きたいアルバムですね♪
第1位:Natalie Imbruglia – 『White Lilies Island』
今回第1位に選んだのは…2001年にリリースされた2ndアルバムにしてナタリーの最高傑作『White Lilies Island』です。
全体を通して少し暗い曲が多いアルバムなのですが…初めて聴いた時は良い意味で驚きました!
最初に聴いたのは、先行リリースされた1stシングルの”That Day”でした。
当時のTVで放送されていたランキング番組でこ曲のMVが流れていたのを観たのが最初です。
1stアルバムを聴いた後はすっかりナタリーのことを忘れていたのですが、たまたま深夜に放送されていたそのランキング番組にてこの「ナタリー・インブルーリア久しぶりの新曲!」として放送された”That Day”のMVを観て、一瞬でその魅力に取りつかれました。
前作の頃のキュートなショート・カットからロング・ヘアーにイメチェンしていたのも驚きましたが、まるでU2のジ・エッジが弾いたかのようなディレイを効かせたギターのイントロにやられました!
僕は深いディレイを掛けたギターの音が大好きなのですが、まさにこの曲のギター・サウンドがそれなんです!
しかも前作の”Torn”のMVと対になるような暗いMVも印象的です。
“Torn”では画面に映されるのは2人が中心だったのに、こちらの”That Day”ではナタリーが終始1人です。
しかも完全に1人なのではなく、周りには大勢の人が通りすがっていくのに、誰も「顔」がない…誰も正面を向かずに通り過ぎていきます。
しかもところどころでナタリーもピンボケしています。
最後にはナタリー自身も「明かり」に向かって、こちらに背を向けて立ち去っていく…メッセージ性が強すぎます!
このシングル曲を聴いた瞬間に僕は悟りました。
「ナタリー・インブルーリアは本気で歌手をやっているんだな!」と。
それまでの「見た目の良さ」だけのアイドル歌手だと勘違いしていたことを考え直すことにしました。
“That Day”のシングルを購入した後にリリースされたアルバム『White Lilies Island』を聴いてみると、明らかに前作『Left of the Middle』よりもクオリティーが大幅に上がっていました!
2曲目”Beauty on the Fire”も”That Day”に負けず劣らずの名曲で、アルバムからの3枚目のシングルにも選ばれています。
更に2ndシングルとしてリリースされた”Wrong Impression”も名曲で、”Torn”や次回作に収録されることになる”Shiver”と並んで今やナタリーを代表する曲の1つとなりました。
こういったシングル3曲以外にも、アコースティックでしっとした”Satellite”や、”That Day”と同じくU2っぽい”Do You Love?”に、シングル・カットされなかったのが不思議な名曲”Sunlight”等、どれも印象に残る楽曲が多いです。
しかも本作は初めてナタリーの自作曲で固められたアルバムです。
“That Day”も “Wrong Impression”も “Beauty on the Fire”も”Do You Love?”も、全てナタリー自身が書いていますからね。
それでいてナタリーの全キャリアの中でも屈指の名盤に仕上がっています。
見た目が売りのアイドル歌手ではなく、本物の才能を持ったシンガー・ソングライターだということがわかった2ndアルバムでした。
個人的には初めて聴いた時のファースト・インプレッションもあって、”Torn”や”Shiver”よりも”That Day”がナタリー・インブルーリアの全楽曲の中で一番好きな楽曲です♪
以上、【ナタリー・インブルーリアのおすすめアルバムを5作品選んでランキング形式でご紹介!】でした。
僕は幸運なことにナタリー・インブルーリアをデビュー直前から知ることが出来ました。
初見こそ「見た目が良いだけのアイドル歌手」と間違ったレッテルを貼ってしまいましたが…2ndアルバムの『White Lilies Island』を聴いた後は、そんなツマラナイ偏見は捨てました。
ナタリー・インブルーリアは、本物の才能を持ったミュージシャンです。
もし今回このブログ記事を読んで初めてナタリーを知ったという方も、これからナタリーを聴いてみたいと考えている方も、まずは『White Lilies Island』から聴いてみて下さい!
その後、ここでご紹介している他のアルバムも聴いてみて下さい。
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