
2025/10/31
オアシスとブリットポップの関係とは?90年代UKロックを象徴した真のサウンド

オアシスとブリットポップ
90年代イギリス音楽を象徴したサウンドと精神
1990年代のイギリス音楽シーンを語る上で、「オアシス(Oasis)」と「ブリットポップ(Britpop)」の関係を抜きに語ることはできません。
オアシスはブリットポップの中心的存在であり、その成功は当時のイギリス文化の象徴でもありました。
本稿では、オアシスがどのようにしてブリットポップを牽引し、そのサウンドとメッセージがどのような意味を持っていたのかを詳しく見ていきます。
ブリットポップとは何だったのか?
ブリットポップ(Britpop)とは、1990年代前半から後半にかけてイギリスで巻き起こった音楽ムーブメントであり、ロック史の中でも特に文化的影響の大きい潮流のひとつです。
当時、世界の音楽シーンはアメリカのグランジやオルタナティヴ・ロックが主流となっており、ニルヴァーナやパール・ジャムといったバンドが若者の心を掴んでいました。
そんな状況に対し、イギリスのアーティストたちは「UKらしさ」を取り戻そうと立ち上がり、イギリス的なメロディや社会観、日常を描いた歌詞を武器に新しいポップ・ロックを生み出したのです。
ブリットポップの特徴は、まず耳に残るキャッチーなメロディと親しみやすいコード進行にあります。
それはザ・ビートルズやザ・キンクス、スモール・フェイセズなど、1960〜70年代のブリティッシュ・ロックへの強い敬意の表れでもありました。
さらに、歌詞にはロンドンやマンチェスターといった都市の日常、恋愛、若者の不満や誇りといった身近なテーマが多く描かれ、イギリスのリアルな生活文化が色濃く反映されていました。
代表的なアーティストとしては、マンチェスター出身のオアシス(Oasis)、ロンドンのブラー(Blur)、シェフィールドのパルプ(Pulp)、そしてスウェード(Suede)が挙げられます。
特にオアシスとブラーの対立構図は「ブリットポップ戦争」としてメディアに大々的に取り上げられ、音楽だけでなく社会現象としても注目を集めました。
1995年にはオアシスの『(What’s the Story) Morning Glory?』とブラーの『The Great Escape』が同時期にリリースされ、UKチャートを賑わせるなど、イギリス国内ではまさに“音楽の誇り”を懸けた戦いが繰り広げられました。
ブリットポップは単なる音楽の流行ではなく、90年代イギリスの若者文化やアイデンティティを象徴するムーブメントでした。
政治的にも“クール・ブリタニア”と呼ばれる時代の象徴となり、音楽・ファッション・映画など多方面に影響を与えたのです。
その余韻はいまも残り、オアシスの再結成をはじめとする動きの中で、再びブリットポップが注目を浴びています。
オアシスがもたらした新しいリアリズム
オアシスは1994年にデビュー・アルバム『Definitely Maybe』をリリースし、瞬く間にブリットポップの旗手として注目を浴びました。
兄のノエル・ギャラガー(Noel Gallagher)によるソングライティングと、弟リアム・ギャラガー(Liam Gallagher)のカリスマ的なボーカルは、多くの若者に圧倒的な共感を呼び起こしました。
代表曲の”Live Forever”は、「ただ生きるのではなく、永遠に生き続けたい」という希望を象徴する楽曲で、当時の閉塞感に包まれた若者たちに強いメッセージを与えました。
さらに”Supersonic”や”Cigarettes & Alcohol”なども、日常の中の不満や夢をストレートに描き出した楽曲として人気を博しました。
ブリットポップの象徴『(What’s the Story) Morning Glory?』
1995年にリリースされたオアシス(Oasis)の2ndアルバム『(What’s the Story) Morning Glory?』は、ブリットポップの黄金期を決定づけた作品として、今なおロック史に輝き続けています。
前作『Definitely Maybe』(1994年)で一躍時代の寵児となった彼らは、このアルバムでより洗練されたメロディと普遍的なメッセージを提示し、オアシスをイギリスの国民的バンドから世界的ロックアイコンへと押し上げました。
収録曲には”Wonderwall”、”Don’t Look Back in Anger”、”Champagne Supernova”など、今なお多くの人々に愛される名曲が並びます。
“Wonderwall”の切ないアコースティックサウンドとリアム・ギャラガーの独特の歌声は、90年代のサウンドを象徴する存在となり、”Don’t Look Back in Anger”の大合唱は英国フェス文化の象徴として定着しました。
これらの曲は、単なるヒットソングではなく、世代を超えて「共感」と「希望」を与えるアンセムとして機能しています。
本作のプロデュースを担当したのはオーウェン・モリスとノエル・ギャラガー。
彼らは分厚いギターサウンドと壮大なコーラスを組み合わせることで、ビートルズの流れを汲みつつ、90年代らしい力強いロックの響きを生み出しました。
アルバムのサウンドは荒削りでありながらも繊細で、ノエルのソングライティングが放つ“シンプルで心を打つメロディ”が全編に貫かれています。
『(What’s the Story) Morning Glory?』は商業的にも大成功を収め、全世界で2,000万枚以上を売り上げました。
英国のチャートでは10週連続で1位を獲得し、ブリット・アワードでは「最優秀ブリティッシュ・アルバム」を受賞します。
その成功は、アメリカのグランジロックが支配していた世界の音楽市場において、「イギリスの音楽が再び主役に返り咲く」という象徴的な出来事でした。
このアルバムが持つ文化的意味は、単なるロック作品を超えています。
オアシスは、労働者階級出身の兄弟が「自分たちの夢と誇り」を音楽で体現することで、多くの若者に希望を与えました。
『(What’s the Story) Morning Glory?』は、ブリットポップというムーブメントの頂点であり、「イギリス人であることの誇り」を音で再確認させたアルバムなのです。
ブラーとの対立とメディア戦争
1990年代のブリットポップを象徴する出来事として、必ず語られるのが「オアシスとブラーの対立」です。両者の関係は単なるバンド同士の競争を超え、イギリスの社会構造や文化的背景を映し出す“時代の鏡”となりました。
特に1995年8月14日に起きた“シングル同日発売対決”は、「ブリットポップ戦争(The Battle of Britpop)」としてイギリス中を巻き込む社会現象となったのです。
オアシスは”Roll With It”、ブラーは”Country House”を同日にリリースします。
メディアはこの対決を、北部・マンチェスター出身の労働者階級バンド(オアシス)と、南部・ロンドン近郊出身の中産階級バンド(ブラー)という構図で煽り立てました。
新聞やテレビ番組は連日この話題を取り上げ、ファン同士の議論や論争も激化します。
音楽雑誌『NME』や『Melody Maker』の表紙は、まるでボクシングの試合のように二つのバンドを対峙させたビジュアルで飾られました。
結果として、UKシングルチャートではブラーの”Country House”が1位を獲得し、オアシスの”Roll With It”は2位に留まりました。
しかし、長期的に見れば勝者は明らかにオアシスだったと言えるでしょう。
同年リリースのアルバム『(What’s the Story) Morning Glory?』が世界的な大ヒットを記録し、”Wonderwall”や”Don’t Look Back in Anger”が時代を超えて愛される名曲となったことで、オアシスはブリットポップの象徴的存在へと昇華しました。
この“オアシス vs ブラー”の対立は、ブリットポップというムーブメントを一気に社会的現象へと押し上げ、音楽を超えた「文化の衝突」として語り継がれることになります。
イギリスの地域差、階級意識、そして若者文化の変化を浮き彫りにしたこの戦いこそ、ブリットポップ時代の最もドラマティックな瞬間だったのです。
ブリットポップの終焉とオアシスのその後
1990年代後半に入ると、ブリットポップの熱狂はゆるやかに終息へと向かっていきました。
オアシス(Oasis)、ブラー(Blur)、パルプ(Pulp)、スウェード(Suede)といった主要バンドがそれぞれの音楽性を模索し始め、ムーブメント全体としての一体感が失われていったのです。
また、メディアが「ブリットポップ」という言葉を過剰に消費し、当初の「イギリス的アイデンティティの再生」という理念が商業主義に飲み込まれてしまったことも、終焉の一因となりました。
その中でもオアシスは、ブリットポップの中心を超えて“ロックの王道”へと進化を遂げました。
1997年にリリースされた3rdアルバム『Be Here Now』は、発売初週で約70万枚を売り上げ、当時の英国史上最高のセールス記録を樹立します。
サウンドの壮大さやスケールの大きさが話題を呼びましたが、その過剰さゆえに賛否両論を巻き起こし、結果的にブリットポップ時代の幕引きを象徴する作品ともなりました。
それでも、”D’You Know What I Mean?”や”Stand by Me”など、今なおライブで愛される楽曲を生み出した意義は計り知れません。
2000年代以降もオアシスは精力的に活動を続け、2002年の『Heathen Chemistry』、2005年の『Don’t Believe the Truth』ではより成熟したバンドサウンドを提示します。
リアム・ギャラガーの存在感とノエル・ギャラガーのメロディセンスは健在で、アークティック・モンキーズ(Arctic Monkeys)やコールドプレイ(Coldplay)など新世代のUKロック勢にも影響を与えました。
しかし、2009年のノエル脱退をきっかけにバンドは解散してしまいます。
兄弟の確執は長く続き、再結成は“夢の話”として語られるようになっていきました。
しかし2024年、ついにその夢が現実となります。
ノエルとリアムが和解し、オアシスの再結成が正式に発表されると、世界中の音楽メディアが「奇跡の復活」と報道します。
ロンドン・ウェンブリー・スタジアムでの再結成ライブは即完売し、ブリットポップ世代のみならず若い世代のファンも歓喜に沸きました。
オアシスの再結成は、ブリットポップの精神が現代に息を吹き返した瞬間であり、同時に「UKロックの再生」を象徴する出来事でもあります。
ブリットポップという時代は過ぎ去っても、オアシスの音楽とそのスピリットは今もなお生き続けています。
“Live Forever”や”Don’t Look Back in Anger”に込められた希望と誇りのメッセージは、時代を超えて鳴り響き、再結成を果たした今、再び世界中のロックファンの心を震わせているのです。
オアシスが象徴したブリットポップの魂
オアシス(Oasis)は、1990年代のブリットポップを象徴するだけでなく、その魂を最も純粋な形で体現したバンドでした。
彼らの音楽には、労働者階級の誇り、都会の憂鬱、そして未来への漠然とした希望が込められていました。
ギャラガー兄弟の率直で攻撃的な言動も含め、オアシスは“リアルなイギリス”を映し出す存在として多くの若者に支持されたのです。
“Live Forever”や”Don’t Look Back in Anger”といった楽曲は、ただのヒット曲ではなく、世代のアンセムとして歌い継がれています。
特に”Don’t Look Back in Anger”の「怒りを抱えたままでは前に進めない」というメッセージは、時代を越えて共感を呼び、ブリットポップが持っていた“希望と再生”の精神を象徴しています。
また、オアシスのサウンドは、ザ・ビートルズへの敬意を感じさせながらも、より荒削りで感情的なエネルギーを放っていました。
華やかさよりも誠実さ、技巧よりも感情を重視したその音楽は、イギリスの若者たちが抱く日常のリアルを代弁し、ブリットポップの根底に流れる「自分たちの文化への誇り」を体現したのです。
オアシスこそが、ブリットポップの魂そのものだったと言えるでしょう。
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