2017/10/31
Christian Scott Oct.30.2017 ビルボード大阪 – クリスチャン・スコットを観てきました!
Christian Scott Oct.30.2017 ビルボード大阪
先週の久しぶりのソウライヴの来日公演に引き続き、昨日はついにクリスチャン・スコットをビルボード大阪で観てきました!
クリスチャン・スコットじたいは2009年辺りに知ってそれ以来ずっとハマっていました!
でも毎回、来日公演は東京だけとかで、なかなか大阪には来てくれずに観ることが出来ませんでした。
しかし今回、ついにビルボード大阪でライヴをやってくれたので観に行くことが出来ました!
来日メンバー!
さて、今回の来日メンバーなのですが…
クリスチャン・スコットのバンドはむかしのマイルス・デイヴィスのようにメンバーの入れ替わりが激しいですね。
もうギターのマット・スティーヴンスや、ドラムのジャマイア・ウィリアムスも独立してそれぞれリーダー作を出しているので参加はしていないんですね。
しかし今回の来日メンバーのベースのクリス・ファンと、ドラムのコーリー・フォンヴィルもさすがにクリスチャン・スコットのバンドに参加しているだけあって腕前は確かです!
最高峰のリズム隊でした。
特にダブルストップも含めたダークなトーンのクリスのウッドベースソロはクリスチャンの音楽性にピッタリな気がします。
今年でジャズの録音がされて100周年!
今回のクリスチャンのライヴは、歴史上ジャズの録音がされて100周年の記念がテーマです。
その100周年を祝ってクリスチャンは3枚のオリジナルアルバムをリリースしています。
そのアルバムを引っ提げての来日公演となりました。
そんなわけで、過去の曲をあまりやらないマイルス・デイヴィスのように、進化を止めないクリスチャンのライヴも新曲ばかりでした!
もちろん新曲のクォリティーも高いので大満足で圧巻のライヴ・パフォーマンスなのですが、正直何の曲かわからない…って感じで聴いていた曲も数曲あります。
多分、ニューアルバムからの曲だけれども、まだそれぞれのアルバムをじっくりと聴いてはいないので新曲を演奏されても、「なんか聴いたことあるけれどもタイトル何だっけ?」って感じでわからない曲も多々ありました。
それでも2曲のカヴァー曲を含めて全8曲のボリュームで大満足のライヴでした!
ちなみに見に来ていたお客さんは、クリスチャンの音楽性に合ったような思慮深そうな感じの人が多かったように見えました。(単なる偏見か?笑)
僕と同じくらいの世代の人が多かったですが、意外にも年配の方もいらっしゃいました。
なんとなく年配の方にはクリスチャンの新しい音楽性は受けが良くないのかな?って勘違いしていましたが、そんなことはなさそうですね。
やはり実力派なんで、その音楽の本質を生で観に来ている方々なんだと思いました。
また外国人のお客さんがそこそこ多かったのにもクリスチャンの人気は日本よりもまだまだ海外の方が高いんだなって感じました。
ライヴが始まった!
そうこうしていると会場が暗転してお客さんの拍手が鳴り始めました!
そしてメンバーが登場して、クリスチャンも登場です!
ニューオーリンズ出身なのになぜかシカゴブルズ(米国シカゴを本拠地とするバスケットチーム)のTシャツを着ていました。(笑)
1曲目2曲目と新作からの曲で、新世代のまさにフューチャージャズ!って感じの壮大な曲でした。
今回はエレクトリックギターがいないので、ピアニストがエレピを弾いていないときは基本的にアコースティックなバンド編成なのですが、サンプリング音も使ったりはしていました。
またクリスチャンは、マイクを通してトランペットにエフェクターを掛けていたので多彩な音色で聴く人を魅了していました。
時にはディレイが掛かったような山びこ音で、時にはフランジャーのようなジェット音を軽く掛けていて、時にはミュート音を作り静謐な音色を奏でていました。
観客を飽きさせない様々なトーンでした。
この2曲だけでも、いかにこのクインテットの演奏レベルが高いのかがわかります。
以前、クリスチャンは自分のバンドのメンバーには高いレベルの演奏力を求める!みたいにインタビューに応えていましたが、まさにそれで、難解な曲も全く譜面なしでメンバー全員が高レベルのアドリヴ演奏を繰り広げていました!
レベル高すぎて圧巻です!
ギターがいなくってもエレピとサンプリングで!
さて、続く3曲目は2015年の評価の高い必聴の名盤『Stretch Music』から名曲“West Of The West”をやっていました。
この曲はオリジナル録音では、マット・スティーヴンスがめちゃくちゃかっこいいテーマのギターリフを弾いているのですが、今回の来日メンバーにはギタリストはいません。
その分を、サンプリングとエレピで補っていました。
こういったの悪くないと僕は思います。
生演奏も重要ですが、何も頑なに生演奏にこだわってスカスカの演奏をするよりも、Hip-Hop的な感覚でサンプリングを使用するのはありだと僕は思います。
例えば、U2なんかはライヴのステージ上にはメンバーの4人以外はいないようにして、サポートメンバーは絶対に入れていません。
しかし4人だけではスタジオ録音の壮大な曲を演出することは不可能なので積極的にSEを使用しています。
これに大して文句を言うファンはいないと思います。
それと同様に、別にジャズでもサンプリングを使ってはいけない!なんていう無意味な決めつけって良くないと思います。
ジャズだからこそ、もっと自由に色んな音楽性と混じりあって進化していくことが大事なんだって感じますよ。
そんな名曲“West Of The West”は文句なしにかっこいい演奏でした!
ジャズ100周年に誰もが知る名曲をカヴァー!
“West Of The West”が終わった後にクリスチャンのMCがありました。
ジャズ100周年に関して、今年はそれを記念して自分も3枚のアルバムをリリースしたことなどを話していました。
クリスチャン:”Do you like JAZZ?”
オーディエンス:”Yeah!”
みたいなやり取りがあったんですが、その後にクリスチャンの目の前に座っていたお客さんが、クリスチャンの2015年の名盤『Stretch Music』を見せていました。
そしたらクリスチャンも喜びつつも少し照れ笑いしていました。
なかなか微笑ましいやり取りですね。
クリスチャンの音楽性はどちらかって言うと、ちょっと暗いんですが、クリスチャンじたいは明るくユーモアのセンスのある好青年な感じでした。
以前よりはだいぶ太ってしまっていますが…。
それから次の曲はジャズ100周年を記念してスタンダード曲のカヴァーをするみたいなこと言っていました。
その曲とは、ジャズピアニストのセロニアス・モンクが作曲したジャズブルース系のスタンダート曲で“Straight No Chaser”でした。
この曲は、そのタイトル通りにチャイサー(主に水、もしくは炭酸水)なしでお酒をストレートで飲むっていうことです。
それにかけてクリスチャンがこちらの客先に向かってジョークを言っていました。
クリスチャン:”Are you drinking Straight No Chaser?”って。
思わず笑ってしまいました。(笑)
そしてこの曲は、セロニアス・モンクへの敬意の表れか?かなりストレートアヘッドなカヴァーをしていました。
クリスチャンのソロ演奏も、自身のオリジナル曲の時のように新感覚なフレージングをしたりせずに、古き良きジャズのフレージングで耳障りの良いフレージングでした。
こういったストレートアヘッドなスタンダード曲をしっかりと演奏できるからこそ、自身の革新的なオリジナル曲にも説得力があるんだな!って感じました。
実力の足りない偽物の演奏者は、ライヴ演奏ですぐにバレます。
そういったマガイ者のジャズマンは、所詮ライヴで力が発揮できずにすぐにパチモンだってバレてしまいます。
しかしクリスチャン・スコットは、しっかりとスタンダード曲も演奏できる「本物のミュージシャン」なのです!
暗い曲調の多いクリスチャンのセットリストの中では、Fメジャーキーの“Straight No Chaser”が唯一の明るい曲でした。
まさかのコルトレーン!
さて、“Straight No Chaser”が終わると新曲を挟んで6曲目にまたカヴァー曲をやっていました。
それもジョン・コルトレーンの名曲”Equinox”をカヴァーしてました。
クリスチャン・スコットは、ジョン・コルトレーンの“Naima”を過去にカヴァーしていたことがあるのですが、今回は”Equinox”をカヴァーしてました。
いきなり予想外のこの名曲のテーマをトランペットとアルトサックスのユニゾンで奏でているのを聴いた瞬間は鳥肌ものでした!
この曲、むかしから大好きでいつか自分でもギターで演奏してみたいなって思ってました。
あまりにかっこいいカヴァー演奏を聴けたので、この日は帰ってすぐにコルトレーンを聴きたくなりました!
その後は、新曲を2曲やって圧巻のままクリスチャン・スコットのビルボード大阪での来日公演は終了しました。
以上で初の生クリスチャン・スコットのライヴを観終えました。
今年観たライブで間違いなく一番凄かったです!
ジャズのレコーディング100周年記念でジャズはここまで進化したんだなってぐらい先の時代を行く新しい音楽でした。
だいぶ前にロバート・グラスパーのライヴも観に行ったことがあって、そのライヴも大概すごかったけど、芸術性は今回のクリスチャン・スコットの方が高い様に感じました。
しかも過去の名曲の“Anthem”に“Litany Against Fear”や“Rewind That”などは一切やらずにカヴァー曲以外は2015年以降の新しい曲ばかりだったのも凄いです!
過去の名曲に頼らずに、常に最新作が最高傑作な進化を止めない不世出の天才ミュージシャンのクリスチャン・スコットの活動が、これからも楽しみに思います。
ちなみに僕よりも年下なんですよね!
それでいてここまでの圧倒的天才!!!!
尊敬します。
またぜひライヴを体験したいです。