2019/04/26
映画『ウルヴァリン: SAMURAI』の原作にもなったウルヴァリンと日本の関係を扱った2冊の邦訳コミックをご紹介!
ウルヴァリンが日本を舞台に大暴れする2冊のアメコミ『ウルヴァリン』と『ウルヴァリン : バック・イン・ジャパン』をご紹介!
日本と深い関係のあるマーベル・コミックの人気キャラクター!
前回の【X-MEN加入前のウルヴァリンを描いた3冊の邦訳コミックをご紹介します。】に引き続き、今回もウルヴァリンの日本語訳されたコミックをご紹介します。
今回は、日本を舞台にニンジャやサムライを相手に大暴れする2作品をご紹介したいと思います。
どちらのコミックにも、アメリカ人がイメージする「日本=ニンジャ・サムライ」が出てきます。
ウルヴァリンが日本人女性と結婚⁉
1974年に初登場したウルヴァリンには、日本人女性の恋人がいました。
当時のX-MENのメンバーは、サイクロップスを始めストーム、コロッサス、ナイトクローラー、キティ・プライド、そしてウルヴァリンという構成でした。
コロッサスとキティが両想いなようにそれぞれにはお似合いのパートナーがいました。
そんな中で、粗野で荒っぽい性格のウルヴァリンには似つかないような女性がウルヴァリンと付き合っていました。
彼女の名前は「矢志田 真理子(ヤシダ・マリコ)」と言い、2000年以上前から続く名門「矢志田家」の後継ぎとなる身分の高い女性でした。
当時はどこの生まれかも判明していないウルヴァリンが、まさかの名家の令嬢を彼女にしているというギャップが凄かったと思います。
しかもそれまでアメコミでもほとんどなかった東洋人の女性と付き合っているというのも珍しい設定だったと思います。
しかしこの設定のお陰で、ウルヴァリンは「日本文化に詳しく日本語も堪能でサムライの精神とニンジャのような身体能力を持つ」という我々日本人としては嬉しい要素が付け加えられました。
なので、ウルヴァリンの単独誌では、しょっちゅう日本が舞台となっています。
またウルヴァリンと親子のような良い相棒だったキティも、日本で忍術のような格闘術を修得しています。
これもウルヴァリンが真理子と付き合っているという設定から生まれたものです。
ちなみに僕も中学生の頃に初めてX-MENを読んだ時に、「矢志田」という名字がなんとも変わった名字だな~⁉と思っていたのですが、これはおそらく「吉田」を勘違いしてこうなったようです。
まぁ当時は日本文化に精通したライターも少なかったでしょから仕方ないですよね。
それにアメコミに出てくるヘンテコな日本の街並みも今回ご紹介する2冊でも多く見つけることが出来ます。(笑)
でもこういうのって、逆に外国の方が日本の漫画を読んで「こんなアメリカ人いねーよ!」とか「そんな名前の中国人いないっての!」とか「ヨーロッパで中世のイメージが残ってるのなんて一部だけだっての!」と思われているかもしれませんからね。
お互いさまってことで、勘違い描写もそこは軽く笑って楽しんで読みましょう。
それでは今回は、ルヴァリンと日本の関係を扱った2冊の邦訳コミック『ウルヴァリン』と『ウルヴァリン : バック・イン・ジャパン』をご紹介します。
『ウルヴァリン』
本国アメリカでは1982年に出版されていたウルヴァリンの単独誌を2013年に日本語化してまとめたコミックです。
これはヒュー・ジャックマンが主演の実写映画『ウルヴァリン:SAMURAI』の公開に合わせてのことでした。
本作は『ウルヴァリン:SAMURAI』の原作本でもあります。
映画ではTAOが演じていた矢志田真理子はもちろんのこと、福島リラ演じるユキオも出てきます。
更にはウルヴァリンの宿敵のひとりでもあるシルバーサムライとも闘います。
しかし映画の内容とは大きく異なっています。
映画とは全く別のストーリー構成
ウルヴァリンは、真理子との結婚を巡って父の矢志田信玄と一悶着あったり、矢志田家と繋がりのあるヤクザやニンジャで構成される暗殺集団ハンドとの死闘が繰り広げられます。
もちろん舞台は真理子の住む日本です!
日本屈指の名門の矢志田家は、なぜかお城に住んでいます!(笑)
やたら高く積んである石垣をニンジャのように上るウルヴァリンの絵がどこかシュールです。
そして愛する真理子の元にたどり着くのですが……なぜか唐突に大仏が出現します!(笑)
こういった勘違いも笑って読みましょう。
しかし本作は、日本の漫画を意識したのか?
アメコミにしてはアクションのあるコマが多くあります。
ニンジャと闘うウルヴァリンや……宿敵シルバーサムライと闘くウルヴァリンなど。
アメコミの闘いの描写って、割とあっさりしていて……やたら長いセリフのわりにアクション・シーンは1コマ、2コマで終わったりすることが多いと思うのですが、本誌は違います。
まるでドラゴンボールの闘いのシーンを読んでるかのように、動き回るアクション・シーンが満載です!
こういうシーンは単純に読んでいて面白いですよね。
謎の看板文字⁉
他には東京の夜の街に繰り出したウルヴァリンのシーンもシュールだったりします。
繁華街のネオンを表現したのでしょうが、謎の「ま」という文字や、頑張って思いついた日本語の「すし」という看板が観られます。
しかし「銀行」を書こうとして失敗していたり、「KUROSAWA」という黒澤明監督を思わせる謎の看板や、そもそも日本語というよりもハングル文字にしか見えないような謎の文字があったりします。(笑)
ある意味ではこういった勘違いシーンも読みどころかもしれませんよね⁉(笑)
日本文化の勘違いや、今読むと絵柄の古さなどを感じはしますが……しかしストーリー構成はさすがのマーベル・コミックです!
クリス・クレアモントによるストーリー構成はとても練られていて、ドラマチックな仕上がりとなっています。
エンディングでは、なんとも悲しい出来事が待ち受けています……。
続きはぜひコミックで読んでみて下さい。
『ウルヴァリン : バック・イン・ジャパン』
こちらは本国アメリカで2012年に刊行された『ウルヴァリン』誌の第300号から第304号をまとめて、2017年に邦訳コミック化した『ウルヴァリン : バック・イン・ジャパン』になります。
先ほどの『ウルヴァリン』からだいぶ時が流れて……サイクロップスと袂を分かった2011年の問題作『スキズム』以降の物語になります。
ジーン・グレイ学園の校長を務めるウルヴァリンにまた新たな問題が起こりました!
ウルヴァリンが養女として引き受けていた小林アミコを日本にいるユキオに預けていたのですが、その裏では東京の闇社会でハンドとヤクザの間で抗争が勃発しかけていました。
その黒幕を追ってウルヴァリンが再び日本に戻ります!
ウルヴァリンと言えばこのヴィラン!
さて、今回もその黒幕に雇われていつものヴィランが登場します。
ウルヴァリンと言えばコイツ!です。
そう、セイバートゥースです!
ほんとしつこいセイバートゥースと、今回はニンジャやヤクザも相手にウルヴァリンは大忙しです!
全編闘いに次ぐ闘いで……「いや、日本はもっと平和なんだけどな。」と読んでいるとそう思ったりします。(笑)
ちなみに『ウルヴァリン』から約30年の時を経て、日本の街並みの描写が少しマシになりました!(笑)
アニメ絵の看板やたこ焼き屋っぽいタコのキャラクターもいます。
「アサヒ」は頑張って書いているのですが、しかし「キヤス」と謎の言葉も描かれています。
また右下には「日本を愛してます!」と頑張ってコメントまで掲載してくれています。
なので、変な間違いは許してあげましょう!(笑)
更に巻末のオマケ絵で日本の街で真昼間からヤクザと死闘を演じるウルヴァリンの絵も掲載されています。
なぜかふんどし一丁姿のヤクザと闘うウルヴァリン!(笑)
看板も「東急」や「不動産」は頑張りましたが「しびれる大発表」や「けんべんうん」というヤバい言葉まで!(笑)
しかし本作も練られたストーリー構成は、とても面白いのでおすすめの内容となっております!
ただし……本誌はページごとにコロコロと作画担当が変わっていたりします。
しかもイメージが統一されていないので、同じキャラクターなのに衣装や髪形や顔の表情まで全く別人のように描かれていたり、アーティストの画力も統一されていないので、やたら上手い絵の後に次のページに進むと急に画力が低いアーティストが出てきて読みにくかったりします。
ストーリーに一貫性はあるものの、絵に統一感がないので正直ちょっと読みにくいです……。
けれども、こうやってまた日本を舞台にしたウルヴァリンの物語が1つ生まれたことは喜ばしいことですね。
ちなみに『ウルヴァリン : バック・イン・ジャパン』を発売してすぐに購入した時に、裏表紙にある甲冑姿のサムライと並ぶウルヴァリンの絵のポストカードがオマケで付いていました!(今も付いているかはわかりません。)
以上、【映画『ウルヴァリン: SAMURAI』の原作にもなったウルヴァリンと日本の関係を扱った2冊の邦訳コミックをご紹介!】でした。
マーベル・コミックのキャラクターの中でもキャプテン・アメリカやアイアンマンにスパイダーマンと並ぶ人気者ウルヴァリンが、日本と関係があり、日本を舞台に物語が展開していくのはとても面白いと思います。
ぜひ今回ご紹介した2冊もアメコミファンの方は読んでみて下さい。
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