
2026/05/29
パール・ジャムの10thアルバム『Lightning Bolt』を徹底レビュー! | シングル曲”Mind Your Manners”や”Sirens”を収録した名盤の魅力

パール・ジャムの10作目『Lightning Bolt』を徹底レビュー:2013年リリースの珠玉のロックアルバム
パール・ジャムの10作目『Lightning Bolt』は2013年10月15日にリリースされたアルバムです。
グランジの魂を保ちつつ成熟したロックサウンドを披露しています。
前作から約4年ぶりの新作として、エディ・ヴェダーの情感豊かなボーカルと、マイク・マクレディ、ストーン・ゴッサード、ジェフ・アーメント、マット・キャメロンの熟練した演奏が融合した作品に仕上がっています。
パール・ジャムらしい力強いギターサウンドと深い歌詞が詰まった一枚です。
『Lightning Bolt』の背景と制作エピソード
『Lightning Bolt』は、2009年の前作『Backspacer』から約4年ぶりのオリジナルアルバムです。
プロデューサーは長年のコラボレーターであるブレンダン・オブライエンが務めました。
レコーディングは2011年から開始されましたが、バンドメンバーのソロ活動やサイドプロジェクト(サウンドガーデン、ブラッドなど)で中断しています。
2013年に本格的に再開し、完成に至りました。
アルバムの特徴は、前作より長い曲調と実験的な要素が含まれています。
パンクロックのエッジやピンク・フロイド的な雰囲気、ニール・ヤングの影響も感じられます。
エディ・ヴェダーの歌詞は、老いや死生観、家族、関係性といったテーマをストレートに表現しており、バンドメンバーが40代後半~50代に差し掛かった当時の心境が反映されています。
ジャケットはスケートボードアーティストのドン・ペンドルトンが手がけ、グラミー賞「Best Recording Package」を受賞しました。
商業的にも成功を収め、Billboard 200で1位を獲得しており、批評家からも概ね好評で、パール・ジャムの「王道ロック回帰」と評価されています。
パール・ジャムの魅力が凝縮された『Lightning Bolt』の収録曲を全曲解説!
ここからは『Lightning Bolt』に収録されている全12曲を1曲ずつ詳しく見ていきましょう。
1. “Getaway”
アルバムのオープニングを飾る”Getaway”は、エネルギッシュなロックナンバーです。
力強いリフとエディ・ヴェダーの情熱的なボーカルが印象的です。
信仰や社会への疑問を歌った歌詞が、アルバム全体のトーンを決めます。
ライブ映えする疾走感がパール・ジャムらしいです。
2. “Mind Your Manners”
“Mind Your Manners”は本作からのファーストシングルとしてリリースされました。
この短い約2分38秒のパンクロックチューンは、パール・ジャムの攻撃性を象徴します。
マイク・マクレディのギターが炸裂し、デッド・ケネディーズのような鋭いリフが炸裂しています。
監視社会や偽善を痛烈に批判する歌詞に、エディ・ヴェダーのラフなボーカルがマッチしています。
リリース直後からロックラジオでヘビーローテーションされ、ライブでは定番曲に。
パール・ジャムのエネルギーを凝縮した一曲です。
3. “My Father’s Son”
“My Father’s Son”は、家族の影や遺伝的なつながりをテーマにしたカオティックなロックナンバーです。
エディ・ヴェダーの激しいボーカルパフォーマンスが光り、バンドのダークサイドを感じさせます。
4. “Sirens”
“Sirens”は、本作からのセカンドシングルに選ばれた曲です。
アルバムのハイライトとも言える壮大なバラードです。約5分41秒のスケール感あるメロディーと、哀愁漂うギターが心に染みます。
ロジャー・ウォーターズを中心に制作されてたピンク・フロイド の『The Wall』公演から着想を得たというエピソードもあり、関係性の脆さや警告を歌っています。
エディ・ヴェダーの情感豊かな歌声とマイク・マクレディによるU2風のディレイ・サウンドが効いたギターやマット・キャメロンのドラムが美しい名バラード曲です。
5. “Lightning Bolt”
“Lightning Bolt”は本作からのサードシングルであり、タイトルトラックでもあります。
キャッチーなリフとアップテンポのロックサウンドが魅力です。
人生の儚さや運命を稲妻(Lightning Bolt)に喩えた歌詞が秀逸です。
ライブで盛り上がるエネルギッシュな曲で、パール・ジャムのライブパフォーマンスを象徴します。
自然災害のような力強さとメロディーのバランスが絶妙です。
6. “Infallible”
“Infallible”は、世界の不確実性や人間の傲慢さをテーマにしたミッドテンポの曲です。
実験的なアレンジが光ります。
7. “Pendulum”
“Pendulum”は、振り子のように揺れる人生の儚さを描いた雰囲気のあるナンバーです。
ジェフ・アーメントのボウドギターが独特の響きを生み出しています。
8. “Swallowed Whole”
“Swallowed Whole”は、エディ・ヴェダー作曲のストレートなロック曲です。
内省的な歌詞と力強い演奏が融合します。
9. “Let the Records Play”
“Let the Records Play”は、レコードを聴く喜びを歌ったブルースロック調の曲です。
アナログ好きのリスナーに響く一曲です。
10. “Sleeping by Myself”
“Sleeping by Myself”は、エディ・ヴェダーのソロアルバム『Ukulele Songs』からの再録曲です。
シンプルで切ないバラード調が魅力です。
パール・ジャムバージョンでより深みが増しています。
11. “Yellow Moon”
“Yellow Moon”は、ニール・ヤングの影響を感じさせる曲です。
ムーディーな雰囲気がアルバムの後半を締めくくります。
12. “Future Days”
“Future Days”は、アルバムの締めくくりとなる感動的なバラードです。
友人の死や未来への希望を歌った歌詞に、エディ・ヴェダーの温かみのあるボーカルが沁みます。
ライブで歌われると涙腺を刺激する名曲です。
このアルバムは、パール・ジャムのキャリアの中で「成熟と情熱のバランス」が取れた作品です。
ここからは『Lightning Bolt』の制作背景を詳しくご紹介します。
パール・ジャムの10作目『Lightning Bolt』の制作背景:4年の歳月をかけた熟成の軌跡
パール・ジャムの10枚目となるスタジオアルバム『Lightning Bolt』は、前作『Backspacer』から約4年ぶりのオリジナル作品として2013年10月15日にリリースされました。
この制作期間は、バンドにとって単なる「待ち時間」ではなく、メンバーそれぞれの成長と再結集のプロセスでした。
制作のきっかけと初期セッション
2009年に『Backspacer』を完成させた直後から、プロデューサーのブレンダン・オブライエン(長年のコラボレーター)とともに新作に取りかかる予定でした。
しかし、本格的な作業は2011年にスタートします。この年は、ドキュメンタリー映画『Pearl Jam Twenty』の制作・プロモーションとツアーが重なっていた時期です。
2011年、ロサンゼルスのヘンソン・レコーディング・スタジオ(Henson Recording Studios)で初期レコーディングを行い、”Olé”などのトラックを制作(「Olé」は無料ダウンロードで公開)しています。
ブレンダン・オブライエンは同スタジオの環境を「潜水艦のような一体感」と表現し、ジェフ・アーメントも「シアトルを離れることで集中力が高まった」と語っています。
2012年の中断とメンバーたちのサイドプロジェクト
2012年3月、再びHenson Studiosに戻り7曲をレコーディングしましたが、バンドは一旦作業を中断することを決定します。
マイク・マクレディは「自分たちが何をしたいのかを整理する必要があった」と説明し、ストーン・ゴッサードも「曲のクオリティが十分でないと感じた」と振り返っています。
この中断期間中、メンバーたちはそれぞれの活動に没頭しました。
●エディ・ヴェダー:ソロツアーや『Ukulele Songs』のリリース
●マット・キャメロン:サウンドガーデンへの復帰
●ストーン・ゴッサード:Bradへの参加
●ジェフ・アーメント:ソロアルバム『While My Heart Beats』やRNDMプロジェクト
●マイク・マクレディ:Walking Papers結成やMad Season再結成
こうしたサイドプロジェクトが、結果的に『Lightning Bolt』に良い影響を与えたとエディ・ヴェダーは語っています。
「それぞれの活動が、パール・ジャムの新作により大きな意味を持たせてくれた」とのことです。
2013年の再始動と完成
2013年3月、メンバーたちが新曲を持ち寄り本格的に再開しています。
主に各メンバーのホームスタジオでデモを作成し(マイク・マクレディとマット・キャメロンは共同作業も)、バンド全体で仕上げる形を取りました。
約6週間の集中セッションを経て、アルバムは完成しています。
ミキシングはバンドの希望でシアトルのStudio Xで行われました。
ゲストミュージシャンとして、ブレンダン・オブライエン(キーボード)、長年のキーボーディストブーム・ガスパー(Boom Gaspar)、ヴァイオリニストのアン・マリー・カルフーン(Ann Marie Calhoun)が参加しています。
サウンドと歌詞の方向性
『Backspacer』の短めの曲調とは対照的に、『Lightning Bolt』はより長い曲、ハードロック寄りのサウンド、実験的な要素を取り入れました。
マイク・マクレディは「ピンク・フロイドのような雰囲気とパンクロックのエッジ」と表現し、ストーン・ゴッサードは過去の『No Code』〜『Binaural』期の個性的な部分への回帰も感じていたそうです。
エディ・ヴェダーの歌詞は、これまでより直接的で、老い、死生観、家族、関係性、人生の儚さといったテーマを深く掘り下げています。
40代後半から50代への移行期にあったメンバーたちの実感が、リアルに反映された作品となりました。
特に”Future Days”は、2012年に事故で亡くなったヴェダーの友人デニス・フレミオンへの想いが込められています。
ジャケットとパッケージ
スケートボードアーティストのドン・ペンドルトンが全面的に手がけ、アルバム全体を一つのアートワークとして統一しています。
手描きの温かみと象徴的なデザインが特徴で、2015年のグラミー賞「Best Recording Package」を受賞しました。
このように、パール・ジャム『Lightning Bolt』は、中断と再始動を繰り返しながら、メンバーたちの経験と想いをじっくりと詰め込んだアルバムです。
制作背景を知ると、曲の一つひとつに込められた深みがより感じられるはずです。
『Lightning Bolt』は今聴くべき珠玉のロックアルバム
パール・ジャムの10作目『Lightning Bolt』は、エネルギッシュなロックナンバーから心に沁みるバラードまで、幅広い表情を見せる充実した一枚です。
特にシングル曲の”Mind Your Manners”の攻撃的なパンクロック、”Sirens”の情感豊かなメロディー、タイトル曲”Lightning Bolt”の爽快なリフは、アルバムのハイライトと言えます。
エディ・ヴェダーやバンドメンバーの経験と想いが詰まった歌詞とサウンドは、聴くたびに新しい発見を与えてくれます。
パール・ジャムのディスコグラフィーの中でもバランスの良い作品をお探しの方に、ぜひおすすめしたい名盤です。
【PR】Amazonギフトカードのご紹介
Amazonギフトカードは、Amazonサイトのお買い物でご利用できるプリペイド式のカードです。
お買い物をする際に現金と同様に利用できるためクレジットカードの登録なしにAmazonでお買い物が出来ます。
クレジットカードの登録をしたくない方や、クレジットカードでのお買い物をしたくない方にもおすすめです。
他に関連するお勧め記事
90年代グランジ/オルタナ・ロック・ムーヴメントの寵児パールジャムのアルバムをまとめてご紹介!
パール・ジャムの5thアルバム『Yield』を徹底解説!|名曲”Given to Fly”と”Wishlist”が生まれた制作秘話と全曲レビュー!
パール・ジャムの6thアルバム『Binaural』を徹底解説! – 名曲”Nothing as It Seems”や”Light Years”の魅力とバイノーラル録音の秘密について
※このブログに掲載しているイラストや写真、テキスト等の無断引用・無断借用・無断転載・無断使用は固くお断りしております。ご利用はご遠慮ください。





















