
2019/07/07
『iPadで描くブルースの偉人シリーズ』⑥レッドベリーとタンパ・レッドを描いてみました。
『iPadで描くブルースの偉人シリーズ』Part.6
都会の香りがする戦前ブルースマン『レッドベリーとタンパ・レッド』をiPadで描こう♪
前回の『iPadで描くブルースの偉人シリーズ』第五弾では、デルタ・ブルースの偉人『スキップ・ジェイムスとブッカ・ホワイト』の2人を描きました。
デルタ・ブルースの偉人スキップ・ジェイムスとブッカ・ホワイトをiPadで描いてみました。
あれからまた少し日にちが過ぎてしまったのですが……今回も2人のブルースマンをiPadで描いてみました。
今回は、主に1920~30年代に活躍した都会の香りがする戦前ブルースマンの『レッドベリーとタンパ・レッド』を描いてみました。
Leadbelly – “Where Did You Sleep Last Night?”
レッドベリーは、1888年1月20日生まれの古い世代のブルースマンです。
以前このブログでもご紹介していた、1874年生まれのヘンリー・トーマスや1883年生まれのガス・キャノンに1891年生まれのチャーリー・パットンなんかと同じように19世紀の生まれです。
最古のブルースマンのひとり – ヘンリー・トーマスの”Fishin’ Blues”を聴いてブルースの歴史を学ぼう!
本名は「ハディ・ウィリアム・レッドベター」と言い、ルイジアナ州ムーリングスポートにて黒人奴隷の息子として生まれています。
レッドベリーの祖父母は、白人至上主義者の団体KKK(クー・クラックス・クラン)に殺害されていたり、とまだまだ黒人が奴隷のように扱われていた当時の時代背景を思い起こさせます。
しかし当のレッドベリー自体は手の付けられないような悪ガキで、故郷を追われることになります。
そこで遠く離れたテキサス州ダラスに行きつき、農場の綿摘みをしながらバレルハウス(酒場のステージ)などで音楽活動を始めるようになります。
その際に、以前この『iPadで描くブルースの偉人シリーズ』でも絵を描いていたブラインド・レモン・ジェファーソンに師事しています。
彼に多くのブルースの手ほどきを受けて、12弦ギターをかき鳴らし力強い歌声でフォーク・ブルースを歌うようになりました。
しかし素行の悪さから3度の刑務所暮らしも経験しています。
まじめな性格の人物ではなかったようですが、”Goodnight Irene”のように哀愁ある歌を歌わせたら天下一品の上手さでした。
1940年代に入ると、身元引受人になってくれたブルース研究家のアラン・ロマックスにより釈放され、その後ニューヨークに進出しています。
1949年に筋萎縮性側索硬化症で亡くなるまで数多くの名曲を吹き込みました。
僕の世代の人間だと、おそらくグランジバンドのニルヴァーナがアンプラグドでレッドベリーの曲を歌ったことが有名だと思います。
あの作品でカート・コバーンが、喉が張り裂けそうになるぐらい力一杯に歌った”Where Did You Sleep Last Night?”は名演として知られています。
しかしこの曲のオリジナルは、古き時代のブルースマン、レッドベリーが歌った曲でした。
なぜカート・コバーンがそのような古い時代のブルースの曲を知っていたのか?…ということなのですが、どうやら先輩グランジバンドのスクリーミング・ツリーズのマーク・ラネガンから教わったようです。
マーク・ラネガンは、古い時代のブルース曲に造詣が深かったのか?ソロ活動中にもゲイリー・デイヴィスの“Death Don’t Have Mercy”などを取り上げていました。
スクリーミング・ツリーズの代表作『Sweet Oblivion』を聴こう♪
といったわけで、僕がレッドベリーを知るきっかけも高校生の時に好きだったニルヴァーナ繋がりでした。
今回のレッドベリーの絵を描く際に、いつもサブタイトルに付けている曲名も”Where Did You Sleep Last Night?”にしたのは、そういった理由です。
それでは、今回も着色前の下絵も掲載します。
自分でも今回の絵は顔があまり似ていなかった気がしますが、まぁ雰囲気だけでもレッドベリーってことで。
ちなみに数年前に「Lead Belly – レッド・ベリー」と名前の表記の仕方が正式に決まったなんてニュースがあった気がします。
それまでは「Leadbelly – レッドベリー」と続けて表記されていたような⁉
まぁそれはどっちでも良いんですけれどもね。
Tampa Red – “It’s Tight Like That”
こちらは1903年1月8日にジョージア州スミスビルに生まれたタンパ・レッドの絵です。
本名ハドスン・ウッドブリッジの名前で生まれていますが、楽曲のクレジットには母親の姓であるハドスン・ウィッテカーの方で表記されています。
少年時代に祖父の住むフロリダ州タンパに移り住み、その後シカゴに進出した際に「タンパ・レッド」と呼ばれるようになりました。
タンパ・レッドは、スライドギターの名手でホーカム・ブルースも歌っていました。
ホーカム・ブルースとは、性的に際どい表現を含む歌詞を軽快なビートに乗せて歌うブルースのことを言います。
女性シンガーのルシール・ボーガンなんかが歌ったことで有名なブルースのスタイルです。
ルシール・ボーガンと言えば、後にB.B.キングの代表曲となった”Sweet Little Angel”の元ネタ曲”Black Angel Blues”が有名なのですが、タンパ・レッドはこの曲も取り上げていました。
また他にもジミ・ヘンドリックスやエリック・クラプトンが取り上げていた”It Hurts Me Too”も、エルモア・ジェームスがオリジナルではなくタンパ・レッドの曲です。
その2曲をサブタイトルに付けようかな~?と思ったのですが、やはりタンパ・レッドと言えば1928年にジョージア・トムと組んで吹き込んだ大ヒット曲”It’s Tight Like That”の方だな!と思いました。
“It’s Tight Like That”も、その曲名からして卑猥なことを歌っています。
“tight”=「閉まった」というのは、女性の「具合が良い」ことを表しています。
ネイティヴの英語圏ではない僕らが「イッツ・タイト・ライク・ザット」と呼んでも卑猥には感じませんが、これってネイティヴの人らが聞くと「そんな風にキツく閉まって最高だぜ♪」って感じで恥ずかしく感じるでしょうね。
なので今回のサブタイトルの文字も艶めかしい色にしてみました。
もしかしたらデザインとかをやっている人とかだったら一発で気づくかもしれませんが、”Like”の部分の”e”の文字はわざと女性の唇の形にしています。
僕の描く絵はちょくちょくこういった小細工を入れています。
こちらの絵の方も着色前の下絵を載せてみます。
タンパ・レッドもエルモア・ジェームスやロバート・ナイトホークと並ぶスライドギターの名手でした。
以上、【『iPadで描くブルースの偉人シリーズ』⑥レッドベリーとタンパ・レッドを描いてみました。】でした。
今回のタンパ・レッドの絵で『iPadで描くブルースの偉人シリーズ』も、ちょうど10人目となりました。
今年の4月に何気なしにロバート・ジョンソンの絵を描いてみたら、他のSNSでご好評頂けたのでその後も描き続ける定期シリーズにしてみました。
あれから3ヵ月ほどでまだ10人のブルースマンしか描けていなくって、描くペースが遅いのですが、まだまだこのシリーズは続きます!
実は30人目まで既に描く予定を決めています。
まずは30人を描き続けたいと思います。
その後、何かの形でまとめたりしようかな~?なんてのも考えています。
せっかく描き始めたシリーズですからね。
僕自身も高校生の頃にエルモア・ジェームスでブルースに目覚めてから、この20年で数多くのブルースマンを聴いてきたつもりです。
今のところ、カントリー・ブルースをお好きな方であれば誰もが知っているような有名どころばかり描いていますが、もっとマニアックなブルースマンも今後は描いていく予定です。
もしこの『iPadで描くブルースの偉人シリーズ』を楽しみにしている方がいらっしゃいましたら「次はどのブルースマンの絵かな?」と期待していただけたならうれしく思います。
それでは引き続き今後もお楽しみに~♪
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