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2018/01/16

X-MEN最大の仲間割れ!?問題作『スキズム』

X-MEN最大の仲間割れ!?問題作『スキズム』

Schism:X-MEN最大の仲間割れ!?問題作『スキズム』

仲違いする2人のX-MENの物語

最近のX-MENの最大級の「仲間割れ」を描いた2011年の問題作『スキズム』のご紹介です。

 

ちなみにこちらの邦訳コミックはネット注文でのみ買えます。

 

本屋さんなどの店舗では取り扱いされていませんのでご注意ください。

 

しかし近年のX-MENを知るためにはとても重要な名作となっておりますので、ぜひアメコミ好きの方は手に入れてみて下さい。

 

 

 

X-MENの主役は誰なのか?

 

さて、半世紀以上の長い歴史を持つアメコミを代表するX-MENなのですが、実は主人公が誰なのか?は未だにはっきりとはしていません。(よね?)

 

登場キャラクターも毎年のように増えていっているのでかなりの数です。

 

そんな中で特に目立つ2人のX-MENが今回の『スキズム』の主要登場人物です。

 

それはサイクロップスとウルヴァリンです。

 

特にウルヴァリンの方は人気も知名度も高いのでアメコミを読まない人でも知っているんじゃないかな?というほどですよね。

 

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主役級の2人のX-MEN

ちなみにサイクロップスの本名は、スコット・サマーズといい目から制御不能のビーム(オプティック・ブラスト)を出します。

 

あだ名は初期の痩せていた頃の印象で「スリム」と呼ばれています。

 

最近のX-MENでは、サイクロップスは筋骨隆々になってしまいもはや「スリム」の面影もありませんがウルヴァリンだけは相変わらずサイクロップスのことを「スリム」と呼び続けています。

 

初登場の頃は、華奢な体で弱々しい少年だったんですが、青年になるにつれマーシャルアーツを体得してビーム以外の肉弾戦でも強くなっています。

 

この後の話で、ミュータント刑務所に入れられた際も、特殊能力のオプティック・ブラストなしで暴漢を退治しています。

 

もはや格闘家レベルのかなりの強さです!

 

対するウルヴァリンは、両手の甲からそれぞれ3本ずつ出てくる地上最硬度を誇るアダマンチウムの爪を武器に戦う闘士です。

 

しかしそれは付属的な能力であって、実際のミュータント能力はどんな傷でもすぐに治してしまう超回復力です。(ミュータントとは遺伝子の突然変異で人間離れした特殊能力を生まれながらに持つ特殊な人間のこと。)

 

そのため本来なら重症に値するような攻撃を受けても、すぐに治ってしまうのでケロッとしています。

 

武器の爪による接近戦での攻撃しかできず、飛び道具を持たないので攻撃が地味な印象のウルヴァリンなのですが……

 

敵のビーム攻撃や激しい銃撃などを受けてもヘコたれずズカズカと近づいていき相手に爪で攻撃を仕掛けるので作中でもトップレベルの強さを誇っています。

 

ちなみに本名は、ローガン(後にジェームズ・ハウレットと判明)といい、40代ぐらいの中年の見た目だけれども実際は19世紀生まれで100歳近い年齢です。

 

超回復力のため寿命まで普通の人間の倍以上あるんです。

 

だからX-MENのメンバーでは最年長になります。

 

 

 

『LOGAN/ローガン』を観てきました。

 

 

 

 

 

 

 

サイクロップスとウルヴァリン……どちらが主役?

ところでこの目立つ2人のどちらがX-MENの主人公なのか?はっきりとはしていません。

 

実写映画での主役は最も人気のあるキャラクターであるウルヴァリンだったのですが、コミックの方ではサイクロップスの方が主役級の扱いではあります。

 

そもそもX-MENの連載が始まった1963年の第一話から初代メンバーのリーダーとして登場しているのがサイクロップスです。

 

ウルヴァリンの方は、今でこそスパイダーマンにアイアンマンやハルクなんかと並ぶぐらいの人気があって、その人気はアメコミ界でもトップレベルを誇るぐらいなのですが、初登場は1974年のハルクの敵役としてでした。

 

最初から主人公級の扱いのサイクロップスと違い、ウルヴァリンの方は脇役の扱いで初登場しました。

 

 

 

 

お勧めウルヴァリン本!

 

 

 

その後、1975年の『アンキャニィ・X-メン #94』で新しいX-MENのメンバーとしてストームやコロッサスにナイトクローラーなんかの人気キャラと同時に登場することになります。

 

この時の新生X-MENに初代メンバーから参加したのはサイクロップスのみでした。

 

と言うわけで、コミックのX-MENの中ではウルヴァリンよりもサイクロップスの方が遥かに登場が早く長い間主役級の扱いを受けています。

 

そしてその後新しくなったX-MENのメンバーは、初代メンバーの時と同じようにX-MENの創始者で地上最強クラスのテレパスでもあるプロフェッサーX(本名:チャールズ・エグゼビア)の指導の下、悪のミュータントや反ミュータント組織なんかと戦っていきます。

 

この新しいX-MENのメンバーが登場した最初の頃からサイクロップスとウルヴァリンは衝突を繰り返してはいました。

 

当時は良くも悪くもプロフェッサーXに従順でティーチャーズ・ペットだった優等生のサイクロップスに対して、言うことを聞かずに命令に背いてチームプレイをしなかったり勝手に単独行動を取ったりする荒々しい性格のウルヴァリンは馬が合わずによく言い合いの喧嘩をしていました。

 

ちなみにチャールズ・エグゼビアよりも実は年上なウルヴァリンは、プロフェッサーXとは呼ばず、フランクに「チャーリー」とニックネームで呼んでいます。

 

またプロフェッサーXもウルヴァリンのことは何かと気にかけていて、この2人の関係は不思議と良好ではありました。

 

 

 

ジーン・グレイを巡る三角関係!

 

またその後、X-MENの初期メンバーが復活した際にサイクロップスと同じ初代メンバーで紅一点だったジーン・グレイとの三角関係も2人の衝突の原因ともなります。

 

サイクロップスとジーン・グレイは当時既に恋人同士(後に結婚)だったのですが、ウルヴァリンは少年期の初恋の相手で赤毛の少女ローズに似た赤毛のジーンに密かに恋心を抱きます。

 

ジーンもまたサイクロップスのことを愛してはいますが、ローガンのことも気になる存在でした。(一応はジーンは友人として気になる……という感じは醸し出してはいましたが、そういう女性の思わせぶりな態度に男は踊らされるものです……苦笑)

 

一時期、『エイジ・オブ・アポカリプス』というシリーズで世界が変わった際にウルヴァリンの相棒として共に行動していたのはジーンの方でした。

 

その話ではサイクロップスはミスター・シニスターの手先として悪役に成り下がっていました……。

 

また『フェイタル・アトラクション』のシリーズでマグニートーにより全身のアダマンチウムを剥がされて瀕死の重傷を負ったウルヴァリンを助けたのはジーンでした。

 

このようにウルヴァリンとジーンは、「恋人未満で友達以上」なプラトニックだけど不思議な関係を築いていました。

 

しかしその後、ジーン・グレイがある事件に巻き込まれて命を落としてしまいます……。

 

そんな事件のあった後に深く悲しむ2人でしたが、それぞれの態度の違いがこの2人のキャラクターを際立たせていました。

 

優等生で真面目なリーダー格のサイクロップスですが、実はジーンの生前から エマ・フロスト(ホワイトクィーンと言うコードネームを持つ元ヴィラン)と浮気をしていました。

 

そしてジーンが亡くなったとなるとすぐにこの2人は恋人同士となります……。(一応ジーンのお墨付き?自分亡き後はエマと付き合うことを許してはいる……。)

 

結婚までしていたのにジーンのことを忘れてすぐに他の女の元へ走ったサイクロップスをウルヴァリンは批判します。

 

荒々しい性格だけれども恋には一途なウルヴィー……。

 

ただ気持ちの上で一途なだけで、実はウルヴァリンはあんなイカつい見た目ですが作中ではモテモテで数々の相手とワンナイト・ラヴを過ごしてはいます。(笑)

 

ジーンとはプラトニックな関係ってだけで他の多くの女性キャラ(あのストームとも……)とはよろしくやっています。(笑)

 

このように一人の女性を巡る関係までもが、この2人の争いの種ではありました……。

 

 

 

プロフェッサーXの元を離れて……

 

プロフェッサーXは、X-MENの長い歴史の中でなにかとチームを離れたり、足の治療のため別の星に移住したり、死亡してまた復活したり(!)……を何度も繰り返しています。(笑)

 

哀しみの中、死亡したキャラがいつの間にか生き返っているのはアメコミの特徴でもあるんですが……(笑)

 

特にプロフェッサーXはその頻度が高い気がします……。(笑)

 

きっとプロフェッサーXの隠された能力は「死んだふり」なんでしょう。(笑)

 

プロフェッサーXが死んでも悲しまないで下さい……どうせすぐに復活します。(笑)

 

そしていつの間にか復活していても気にしないで下さい……よくあることです。(笑)

 

そんなプロフェッサーXなんですが、サイクロップスに2人目の弟ヴァルカンがいたことを黙っていました……。

 

それどころか自分の作戦のミスのせいでヴァルカンを死なせてしまったと思い込み(実際は最強クラスのミュータントであるヴァルカンはその程度では死ななかった……後にプロフェッサーXに復讐しにやってくる……)サイクロップスの脳をテレパシーで勝手にいじって弟のヴァルカンが存在していた事実を記憶から消してしまうというかなり悪いことをしてしまいます……。

 

ヴァルカンの襲撃によりそのことを知ったサイクロップスは、怒り狂いプロフェッサーXを見限ります……。

 

そしてプロフェッサーXをX-MENの指導者から外し、自身が今後X-MENを引っ張て行くことを決意します。

 

この時点でほぼ主役はサイクロップスな感じがするのですが……ここからサイクロップスの性格が大幅に変わってしまいます……。

 

典型的な正義の味方キャラだったのに、この頃から目的のためなら手段を選ばないようになっていきます……。

 

それまではX-MENの禁じ手であった「敵を殺害する」ことを仕方がないことだと割り切ってしまうほど……です。

 

自分の望む「平和」を手に入れるためであれば相手を「殺害」してもかまわない……という利己的な考え方に変わっていきます。

 

これはかつての最大の敵役だったマグニートーと同じ危険な考え方でもあります。

 

プロフェッサーXの教えとは全く逆の考え方です……。

 

特にこういった思想が酷くなるのが2005年の「ハウス・オブ・M」の事件の後です。

 

 

 

「ハウス・オブ・M」以降の変化

 

この事件で「現実改変」能力を持つ、マグニートーの娘スカーレット・ウィッチの「ミュータントなんていなくなってしまえばいいのよ!」の一言を境に、世界中からミュータントが消えていきます。

 

スカーレット・ウィッチの能力の影響で、もともとミュータントだった人間が特殊能力を失い普通の人間になったり、この事件以降は世界中から新たなミュータントが誕生しなくなります。

 

この「M-デイ」と呼ばれる事件をきっかけに世界中からミュータントが僅か200人程度に減少しました……。

 

それをきっかけにサイクロップスは、ミュータント種を護るためならそれを邪魔するものは徹底的に排除する!という極端な考え方をするようになっていきます……。

 

もはやヒーローものの主役としての共感は持てません……。

 

むしろ悪役ですよね……。

 

しかしずっと尊敬していた指導者のプロフェッサーXに失望し、妻であるジーン・グレイを失い……大きなショックを抱える中、こうなってしまったのも仕方のないことなのかもしれません……。

 

その他にも考えられそうな理由に、元ヴィランで世界最強クラスのテレパシー能力の使い手であり、いつ裏切るのかわからないような信用できそうにないエマ・フロストが恋人になったことも関係しているのかもしれません⁉(エマ自身は自分がサイクロップスを操ってはいない……と否定はしている。)

 

しかしこの頃にはサイクロップスは、これまで以上にリーダーとしての的確な指示が出来る存在として成長していました。

 

かつてはライバルのように反発していたウルヴァリンもサイクロップスのリーダーとしての能力を認めていました。

 

それどころかこの頃は、サイクロップスの出す命令に素直に従っていました。

 

結成初期のX-MENには「悪役であっても殺しをしない」という掟があったのですが、ウルヴァリンのみ最初からこのルールは適用外でした。

 

もともとX-MENに参加以前に暗殺などのダーティーな仕事をこなしていたウルヴァリンは、他のメンバーの代わりにどうしても殺害しなくてはいけないような強敵の抹殺を秘密裏に担当していました。

 

汚れ仕事の責任は自分だけが背負えば良い……というのがウルヴァリンの考えでした。

 

それから年月が過ぎて「M-デイ」以降のこの時期になると過激な反ミュータント組織が数の減ったミュータントを絶滅させる絶好のチャンスとみなし暗躍していました。

 

その過激な反ミュータント組織の連中にお互い平和に共存するように説得しても無駄に終わることを悟ったサイクロップスは更に過激な方法で立ち向かうことを決意します。

 

それはX-MENの汚れ仕事を一手に引き受けていたウルヴァリンをリーダーにした新生X-フォースという「暗殺」専門のチームを結成することでした。

 

この「暗殺」専門のX-フォースの目的は、過激な反ミュータント組織のメンバーを逆に先に暗殺してしまうこと……「殺られる前に殺ってしまう!」というような、もはやヒーローとは言えないような過激なものでした。

 

そのためこのチームのメンバーも戦闘に優れただけでなくメンタル的にも強い者が中心に選ばれていきます。

 

この「暗殺」専門のX-フォースは、基本的に他のX-MENの連中には秘密になっていました。

 

そしてそのダーティーな秘密をお互い共有して他のメンバーに黙っていたサイクロップスとウルヴァリンは、この頃は同じ目的のために奇妙な信頼関係を築いていました。

 

そんな流れを経て、この『スキズム』の事件が起きるまではサイクロップスとウルヴァリンの衝突は一時収まっていました。

 

むしろお互いを信頼しあうチームのナンバー1とナンバー2という関係でした……。

 

前置きが長くなりましたが、ここからが本編の『スキズム』のご紹介です。

 

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『スキズム』

“Schism(スキズム)”とは聞きなれない英単語かもしれませんが、「分裂」や「離脱」といった意味があります。

 

表紙は信頼し合う仲間同士だったはずのサイクロップスとウルヴァリンが戦っている衝撃的なイメージです。

『スキズム』の表紙

いつも言い合いの喧嘩はしていた2人ですが、この表紙では完全に敵同士として戦っています……。

 

また裏表紙では、

『スキズム』の裏表紙

ウルヴァリン目線でサイクロップスを迎え撃つ絵となっています。

 

サイクロップスのバイザーにはウルヴァリンの3本の爪痕が残されています……。

 

中身のトップページでも2人の争っている場面がデュオトーンで描かれています。

『スキズム』で仲違いをして戦うサイクロップスとウルヴァリン

この物語は、当時「ユートピア」という孤立した島に「M-デイ」を生きのびたごく僅かのミュータントたちが「ミュータントの理想郷」として暮らしていたところから始まります。

 

もちろんこの「ユートピア」のリーダーはサイクロップスです。

 

しかしこの頃のサイクロップスにとってのX-MENの扱いは、もはや正義のヒーローとしてのチームではなく、敵を容赦なく迎え撃つための「軍隊」の様なものに成り下がっていました……。

 

その考え方にはウルヴァリンも早い段階で不満を抱いてはいたようです。

 

 

 

そして事件が起きる……

 

今回の事件の発端はスイスの国際軍縮会議に独立国家「ユートピア」を代表してサイクロップスが出席することから起こります。

 

この会議にはウルヴァリンを警備係として連れていきます。

 

当時はサイクロップスのことを信頼していたウルヴァリンだったのでサイクロップスの申し出に素直についていくことになります。

 

会議場につき、「敵をブッ刺すのは得意だが、お偉い方に愛想を振りまくのは苦手なんだよ、早く演説を済ませろよ!」というウルヴァリンに対して、「外交官の物真似よりも目で物を撃つ方が得意だ。」と言うサイクロップス……どちらも結局は似たような戦闘向きの人間なんですね。

 

そんな「平和」を求める会議に突如現れたのがキッド・オメガという問題児のミュータント……

『スキズム』でとうじょうする キッド・オメガ

いつも問題ばかり起こす悪ガキなんですが、今回はやりすぎた……テレパシー能力を使って会議に出席した一般人たちを襲います。

 

襲われた人たちは脳の制御を失い、本来なら心の中に閉まっていたはずの悪事の数々をTVの前で次々と話してしまうことになります……。

 

しかもそのどれもが犯罪級のものばかり……。

 

この混乱を起こした原因はミュータントだと気づき、それに怒り狂った各国の代表は、再び反ミュータント思想が沸き起こり数少なくなったミュータントたちを絶滅させようとします。

 

センチネルと呼ばれるミュータントを絶滅させるために開発された兵器(ロボット)を起動させて、世界中からミュータントを絶滅させようという戦争が起きてしまいます……。

 

そんな中、会議場を後にするサイクロップスとウルヴァリンを早速センチネルが襲い掛かります……が、歴戦の勇士である2人の前では旧式のセンチネルなどとるに足らない存在でした。

『スキズム』でセンチネルと戦うサイクロップスとウルヴァリン

外交官の真似事よりも目で物を撃つ方が得意だと言ったサイクロップスと、お偉い方に愛想を振りまくよりも爪でブッ刺す方が得意だと言ったウルヴァリンの2人は、その言葉通りにあっという間にセンチネルたちを蹴散らします!

 

そしてその後、「ユートピア」に戻った2人は世界中で巻き起こる反ミュータント戦争の対策を練ることとなります。

 

即座にサイクロップスは世界中のあらゆる所にX-MENの精鋭部隊を送り込んでセンチネルたちを倒すことを決断し、X-MENの各メンバーに命令を下し実行させていきます……。

 

 

 

少女に優しいウルヴァリン

 

その頃ウルヴァリンは、「M-デイ」後に奇跡的に生まれた5人の若きミュータントの1人で14歳の幼気な少女イダイァのことを気に掛けます。

 

もともとウルヴァリンは子供には優しくって、特にミュータントの少女を気に掛ける場面が昔から多く存在しています。

 

最初期はキティ・プライドで、その後はジュビリーという少女たちです。

 

ウルヴァリンの考えは「子供は子供らしく」振る舞うことが一番だと考える心優しいものです。

 

しかしそれとは逆の「子供でもミュータントとして生まれたのなら将来的に戦う運命にあるのだから小さい頃から戦闘教育を実施していく」……といった極端な考え方のサイクロップスとは考え方が合うはずがありません……。

 

戦闘訓練をするよりも14歳の少女は少女らしくお人形遊びをするべきだ!と考えたウルヴァリンは、かつて面倒を見ていた大人になったキティに女の子用の人形を買ってきてもらいます。

『スキズム』ウルヴァリンと一緒にアイスクリームを食べるイダイァ

「今度のラッキーガールは誰なのかしら?」と茶化すキティ。

 

「お前の面倒もちゃんと見ただろ!」と答えるウルヴァリン。

 

食堂でアイスクリームを食べていたイダイァに人形をプレゼントするウルヴァリン。

 

少女はやはり少女らしく人形を渡されて喜びを見せます。

 

2人で並んでアイスを食べるシュールな絵……思わずイダイァも「ウルヴァリンが私と一緒にアイス食べるの?」と笑ってしまいます。

 

 

 

ミュータント歴史博物館で起きる重大な事件!

そんな平和な時間も束の間……

 

世界中で反ミュータント運動が勃発している真っ只中、サイクロップスの恋人のエマが急にダウンタウンにある「ミュータント歴史博物館」の開館式に出席したい……とサイクロップスに願い出ます。

 

彼女は政界などの業界に太いパイプを持っていて顔が広いのです。

 

開館式の模様がTVで放送されることを知ったサイクロップスは、その放送がきっかけで反ミュータント運動が収まるのでは?と考え出席を許可します。

 

その後、「ミュータント歴史博物館」の開館式の様子がTVで生中継されることになりました。

 

その頃、バーで飲んでいたウルヴァリンはその様子をTVで観ていました。

 

「X-MENから特別平和代表団が出席しています。」と言うTVキャスターの言葉に対して、「どこが平和代表団だよ……どう見ても威嚇だ!」というウルヴァリン……。

『スキズム』「ミュータント歴史博物館」の開館式に出席するX-MENの平和代表団がどう見ても好戦的なメンバーばかり……

それもそのはず……元ヴィランのホワイトクィーン(エマ・フロスト)にマグニートーに頑固で利己的な考え方のサブマリナー……。

 

(この頃は、かつての最大の敵だったマグニートーは、サイクロップスの考え方に同調して「ユートピア」に身を寄せていました。それもそのはず……若かりし日のマグニートーの極端な考え方と同じようにサイクロップスまでもが豹変していたのだから考え方が合うのも当然……。しかしながらサイクロップスの命令に従うマグニートーはなかなかのシュールさ!)

 

この3人だけでも強烈だけれども、本来は心優しい青年なのだが、いつもなんだかんだで心の不安定さから暴走しがちな巨体のコロッサスに、オメガクラス(最強クラス)のミュータント能力を持ちつつもその能力を発揮できないままでいるこれまた不安定な性格のアイスマンまで……

 

どう考えても精神的に問題を抱えているが戦闘に適した好戦的な面子ばかりです……。

 

ウルヴァリンが「どこが平和代表団だよ!」と言うのも無理はない……。

 

そして予想通りにこの式典は敵の罠でした。

 

まさかの最強クラスのX-MENの5人が油断していたとはいえ、あっけなくやられてしまいます……。

 

しかもミュータント能力を持たない子供5人と特殊部隊の12人に……です。

 

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犯人は特殊能力を持たない人間の子供たち……

 

『スキズム』新生ヘルファイヤークラブは5人の子供が中心!?

 

今回のキッド・オメガから始まる一連の事件を起こしたのは新生ヘルファイヤークラブでした。

 

X-MENとは幾度となく敵対していた悪の組織ヘルファイヤークラブは、新しく生まれ変わり5人の子供が中心となっていました。(エマ・フロストも実は元ヘルファイヤークラブのメンバーだった。その時のコードネームがホワイトクィーンだった。)

 

子供と言えども、親から受け継いだ莫大な財力を持ち、その残虐性は大人も付いていけないような悪者たちばかりです。

 

今回の物語では、特殊能力を持ったミュータントとして生まれた5人の子供との対比となっています。

 

生まれながらに特殊能力を持っているミュータントの子供たちは、みな自分たちの境遇に悩みつつも清い心の持ち主で「正義」の心を宿しています。

 

しかしそれとは逆にこのヘルファイヤークラブのメンバーである特殊能力を持たない子供たちはあまりにも残虐で、ミュータントを殺すことを遊び感覚にしているどす黒い「悪」の考えを持った子供たちです……。

 

うまい対比ですね。

 

人は必ずしも生まれや人種などによって性格などが決まるわけではないんだとわかります。

 

生まれながらに人と違う特殊能力を持った子供たちだからといって必ずしも能力を悪用するような「ヴィラン」になるわけではないのに、世間ではミュータントということだけで子供たちまで排除してしまおうという極端な方向に向かっていってます。

 

そしてその計画を立てたのは、特殊能力を持たない一般の人間の子供たちで……。

 

世間の人間たちは、まさか自分と同種の人間の子供が「悪」の心を持ってミュータントを殺そうとしていることに気づかず、愚かにも心の清いミュータントの子供たちまでもセンチネルによって抹殺しようとしています……。

 

この辺はアメコミに共通するようなテーマですね。

 

例えば昨年末についに初の単独誌が発売された名作『シルバーサーファー:パラブル』なんかも似たようなテーマが出てきます。

 

 

 

 

 

シルバーサーファーの単独誌がついに発売

 

 

 

人は自分で実際に見て考えて「善悪」の判断をするよりも、声のデカい誰かが言うことに従う方が楽であり、周りに流されやすいものでもあります。

 

またその声のデカい者が必ずしも正しくはなかったとしてもついつい同調圧力から従ってしまうという恐ろしさがあります。

 

そして他人にも同調を求め、それを押し付けて従わない者を敵とみなし自分たちの周りから排除しようとします。

 

こういった時に、自分の正しいと思うことをしっかりと判断して周りに流されずに行動することは勇気のいることで極めて困難なことでもあります……。

 

「正義とは何か?」の判断が非常に難しいのがアメコミの特徴の様な気もします。

 

また「正しいと思うことのためにやらざるを得ない必要悪」的な考えもアメコミには頻繁に出てきます。

 

「究極の選択」とでもいうか……何が正しいことなのか?の判断が難しい事柄も多いと思います。

 

ヒーローとヴィランの対決ものだったとしても、単に正義の味方が悪役を倒すだけの単純な「善悪」だけではないんですよね……。

 

今回の『スキズム』も同じようにサイクロップスの考え方もウルヴァリンの考え方も、それぞれ正しくもあり悪くもあります……。

 

判断が難しい事柄ですね。

 

 

徐々に噛み合わなくなるサイクロップスとウルヴァリンの思想……

 

さて、その仲違いの原因となる事件は、この開会式に新生X-MENの5人の子供たちも出席していたことから始まります。

 

5人は特殊能力こそ持ち合わせてはいますが、好戦的なミュータントではなく純粋な子供たちです……。

 

ホワイトクィーンたちが倒された時も身を隠し敵が去るのを待っていました……。

 

その頃、博物館にいるX-MENの危機を知ったサイクロップスとウルヴァリンが現地に向かっています。

 

もうすぐすると2人が自分たちを助けてくれると知った子供たちは、2人に助けてもらえることを期待しながら身を隠して待っていました。

 

しかしその場にイダイァがいたことを知ったサイクロップスはステップフォードカッコーズ(エマ・フロストのクローンの3人の少女たちでテレパシーを通してX-MEN全員が無線連絡出来るようにする能力がある。)を通してイダイァに状況説明をさせます。

 

ヘルファイヤークラブのテロリストたちによって博物館に爆弾が仕掛けられたのを見ていたイダイァはサイクロップスとウルヴァリンにテレパシーで報告をします。

 

すぐにその場から逃げるように伝えるウルヴァリンに対してサイクロップスは自身の能力でテロリストたちを食い止めるよう指示します……。

 

激しく反対するウルヴァリン……

 

しかしサイクロップスの命令に従いイダイァはテロリストたちを自身の能力で蹴散らしてしまいます……。

 

その後、やっと到着したサイクロップスとウルヴァリンが目にしたのは爆発する博物館から無傷で出てきたイダイァの姿でした。

 

彼女は無事で、気絶しているホワイトクィーンたちX-MENのメンバーや人質にされていた一般の人たちの命を救うことに成功しました。

 

しかし彼女は若干14歳にしてテロリストたちを殺してしまうことになります……。

 

そのことを心配するウルヴァリンに対して、「そのおかげで何人の善良な人々が助かったと思うんだ!」と言い返すサイクロップス……。

 

反論するウルヴァリン……。

 

悪人と言えども子供に殺人を犯さすという過ちを選ぶか?多くの人をテロリストの犠牲に見殺しにするのか?という究極の選択でもあります。

 

どちらが正しいのか?……の判断は非常に難しいですね……。

 

サイクロップスも大儀のために正しいところもあれば冷徹で間違っている部分もあり、ウルヴァリンも子供に優しく正しいところもあれば過保護過ぎて多くの犠牲者を出しかねない間違っている部分もあります……。

 

そんな言い争いをしている最中、この事件が罠だったと知った2人は目の前の奇妙な物体に気づきます。

 

その奇妙な物体は光を放ちながらドンドンと大きくなりある形へと変化していきます……。

 

 

 

 

強敵、最新型のセンチネルを前に迫られる決断……

 

目の前の光から現れたのはセンチネル……

 

しかしそれはもはやミュータントを徹底的に地球上から抹殺するためだけに作られた恐ろしい最新型のセンチネルでした……。

 

そのセンチネルの目的は単純で、その場の近くにある「ユートピア」のミュータントを絶滅させるようにだけプログラムされていました……。

 

そのことを知ったサイクロップスは一旦センチネルの相手をウルヴァリンに任せて自分は子供たちを連れて「ユートピア」に戻ります。

 

しかしさすがのウルヴァリンも独りでは最新型のセンチネルに歯が立たず……センチネルに吹っ飛ばされてあっけなく負けてしまいます……。

 

ウルヴァリンを倒したセンチネルは一直線に海を越えて閉鎖された島国である「ユートピア」に向かいます。

 

「ユートピア」に戻ったサイクロップスはX-MENのメンバーを集めようとしますが、精鋭部隊はみな海外に派遣済みで「ユートピア」には自分と子供たちしか残っていません……。

 

絶体絶命のピンチにサイクロップスは一人立ち向かおうとします……。

『スキズム』最大出力のオプティック・ブラストを最新型のセンチネルに放つサイクロップス

「ユートピア」に向かってくるセンチネルに大して最大出力のオプティック・ブラストを放つサイクロップス……。

 

しかし独りの力ではどうすることも出来ず諦めかけていたその時……

 

「ユートピア」に残っていた子供たちが「一人で戦うなんて水臭いマネしないでくれる?X-MENが必要なら私たちがここにいるわ!」とサイクロップスに声を掛ける。

 

それを聞いたサイクロップスは勇気づけられ「皆でならやれる!」と、共に戦うことを決意します。

 

しかしそこに遅れて現れたウルヴァリンが猛烈に反対します!

 

ここで戦えば子供たちの中に犠牲者が出るかもしれない……過去にも自身のミスから子供のミュータントが命を落とした経験があったウルヴァリンはそう考えます。

 

子供たちはこの島から逃がして自分とサイクロップスの大人2人だけでセンチネルを食い止めるんだと……。

 

息のある限りサイクロップスと肩を並べて戦うことを誓います。

 

しかしサイクロップスは、「子供たちを逃がしたとしてその先は?今逃げれば逃げ続けなければならなくなる。」と反対します。

 

確かにここを離れても反ミュータント思想になっている世界情勢をみれば、どこに行ってもミュータントの子供たちにとって安全な場所はありません。

 

それにいずれ子供たちも戦う運命にあるのなら早いうちに過酷な実践を積むべきなのかもしれません。

 

そういった点ではサイクロップスは正しくもありますが、しかしここで全滅してしまえばミュータントの種としての未来はありません……。

 

今ここで子供たちを逃がしておいて彼らが無事であれば、数年後に成長していずれは立派な戦士になっているかもしれません。

 

もしくはその頃にはミュータントが人間と共存できるように世界情勢が変わり平和な世の中が訪れるのかもしれません。

 

子供たちを逃がして自分たち大人が犠牲になれば良いのだというウルヴァリンの考え方も正しくもあります。

 

これまた究極の選択のような二択ですね。

 

ここで一旦ウルヴァリンの言うことに従い子供たちはその場を去ります。

 

そして巨大な敵が向かってくる中、2人の言い合いは徐々にヒートアップしていきます……。

『スキズム』言い争いをするサイクロップスとウルヴァリン

 

 

袂を分かつこととなる決定的な言葉

 

サイクロップスのある言葉がウルヴァリンを怒らせます……。

 

サイクロップス:「彼女はお前に怯えていたんだ。愛した事などなかった。」(彼女とはジーン・グレイのこと)

 

その言葉を聞いたウルヴァリンは言い返します。

 

ウルヴァリン:「アイツがここにいたとして……もっと怯えさせるのはどこのどいつだろうな?」

 

……と、利己的な大儀のために冷酷に豹変したサイクロップスの性格について指摘します。

『スキズム』サイクロップスとウルヴァリンが仲違いする決定的なやり取り

X-MENのコスチュームを着たときのウルヴァリンは、マスクをかぶると目は白目になり黒目が描かれることはありませんが、この時は皮肉を言い返すシーンのためか珍しくウルヴァリンの黒目が描かれています。

 

この会話をきっかけに2人の戦いが始まってしまいます……。

『スキズム』敵を目前に争うサイクロップスとウルヴァリン

 

センチネルを目前にして争う2人

 

先に手を出したのはサイクロップスの方でした。

 

昔なら荒い気性のウルヴァリンの方が先に手を出しそうなところなんですが、こういった部分にもこの2人の性格の変化が見て取れます。

 

サイクロップスは、この事件の後もアベンジャーズを相手に先に手を出します……。

 

もはやかつての冷静な性格はどこかに消えてしまっています……。

 

そしてそんな争いをしている2人にも容赦なく最新型のセンチネルが襲い掛かります!

 

↓ちなみにこの画像の右半分のページのように各キャラクターの紹介も載っています。

『スキズム』争うサイクロップスとウルヴァリンを容赦なく襲うセンチネル

襲い掛かるセンチネル……ミュータントの存続をかけた絶体絶命のピンチなのに争う2人……。

 

しかしセンチネルの手から放たれるビームをちゃっかりウルヴァリンを盾にして防ぐ抜け目ないサイクロップス……。(笑)

『スキズム』下段の画像がセンチネルの手から放たれるビームをちゃっかりウルヴァリンを盾にして防ぐ抜け目ないサイクロップスの写真

このビームをもしサイクロップスがくらえば恐らく瀕死の重傷もんでしょうが、超回復力を持つウルヴァリンなら数秒もすれば元に戻っています。

 

すかさずウルヴァリンを盾にビームの直撃を防ぐサイクロップスのシュールな絵でした。(笑)

 

 

 

戦っているミュータントは2人だけではない!

敵前で仲間割れをする2人の大人を見かねて、島から逃げたはずだった子供たちが助っ人にきます。

 

↓左にいる全身の骨が透けて見えるピンクのミュータントもそれは能力によるものであって子供たちの一員である。

『スキズム』サイクロップスとウルヴァリンを助けに来た子供たち

 

子供たちの助けもあって2人はようやく新型のセンチネルを倒すことに集中します。

 

子供たちと言えどもこれだけの人数の特殊能力を兼ね備えたミュータントたちを相手にしては新型のセンチネルも歯が立ちません。

 

そしてついに「ユートピア」に上陸する前にセンチネルを皆の力で倒すことに成功します。

 

戦いに勝利し自信を得て喜ぶミュータントの子供たち……。

 

しかし結局のところ、子供と言えども彼らはミュータントとして生まれそれぞれに特殊な能力を兼ね備えています。

 

ウルヴァリンが「子供だから」といって庇っても、敵からしたらそんなのは関係なく「ミュータントである」ということだけで容赦なく襲ってきます。

 

サイクロップスの言うように、「戦う運命」にある子らを子ども扱いせずに早い段階で経験を積ませることも大事なのかもしれません。

 

しかしウルヴァリンが考えるように、実戦はもう少し大人になってからで、子供の内は大人が前線で守ってあげるのも過保護ではありますが正しくもあります。

 

2人の意見は全く逆ですが、どちらも正しい部分もあり間違った部分もありますね。

 

うまくできています。

 

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戦いを終えて……

 

さて、サイクロップスの思惑通りに最終的に子供たちが助っ人に入り一人の犠牲者も出すことなく大勢でセンチネルを倒すことに成功します。

 

しかし今回は単に運が良かっただけなのかもしれません……。

 

ウルヴァリンが思うように今後の戦いによっては子供たちに犠牲が出てもおかしくはありません……。

 

そういった思想の違いが原因でウルヴァリンは「ユートピア」を去ることを決意します。

 

ウルヴァリンは過去にも『フェイタル・アトラクション』の後に皆の元を独り去っていったことがありました……。

 

こんなにも独りで孤独や責任を背負って皆の前を黙って去っていくことが似合うキャラも他にいませんが……

 

しかし今回は独りではありません!

 

自分に賛成をする仲間たちを引き連れて「ユートピア」を去る決心をしたのです。

 

「新たなる道」を進むためにサイクロップスの元を「離脱(Schism)」するのでした。

↓左で勝利を祝福する子供たちは今回の事件の主犯格であるヘルファイヤークラブのメンバー

『スキズム』サイクロップスの元を離脱するウルヴァリン御一行

対比する印象的なシーン

さて、ここで対になっている印象的なシーンをご紹介します。

 

まずは最新型のセンチネルが「ユートピア」を襲ってくる前に事件があったミュータント博物館から子供たちを「ユートピア」に送り届けたサイクロップスが目にしたもの……

 

『スキズム』X-MENの初代メンバーの映る写真を見るサイクロップス

それは壁に掛けられた初代X-MENのメンバーの写真だった……。

 


 

【初代X-MENのメンバー】

サイクロップス
ジーン・グレイ(マーベルガール)
ビースト
エンジェル
アイスマン

 


 

そこには亡き妻ジーン・グレイや、自分を騙していたことに怒りを覚え、袂を分かつこととなったかつての指導者プロフェッサーXの姿が……。

 

他にも暗殺部隊X-フォースに初代メンバーのエンジェルを抜擢したのもサイクロップスだった……。

 

その結果、エンジェルは過酷な目に合うことになる。

 

また暗殺部隊X-フォースを秘密にしていたことに激怒した初代メンバーのビーストもいる。

 

それにアイスマンはこの後サイクロップスの元を去ることになる。

 

ウルヴァリンが一番最初にサイクロップスの元を離れて自分についてこないか?と声を掛けたのがアイスマンであった。

 

この写真に写る初代X-MENのメンバーは、もはや誰もいなくなったに等しかった……。

 

そしてまだ華奢で弱々しかった頃の子供だった自分自身を見つめる……。

 

サイクロップスもまた自分自身が子供だった頃にマグニートーとの命を懸けた戦いを経験しているのだ。

 

今の子供たちをウルヴァリンは過保護に守ろうとするが、サイクロップスはそもそも彼自身が子供の頃から戦いの中に身を投じていた。

 

ウルヴァリンに言われなくてもどれほど過酷な状況に子供たちを立ち向かわせようとしているのかなど彼自身が一番理解していたのかもしれない……。

 

無表情で過去の自分自身を見つめるサイクロップスもまた、過酷な運命に翻弄されて冷酷な性格にならざるを得なかった戦いの犠牲者なのかもしれない……。

 

そしてそのサイクロップスのシーンとは対になるような形で……

 

センチネルとの闘いの後、「ユートピア」を去ることを決心したウルヴァリンがそのことをサイクロップスに告げに行く際中に目にしたもの……

『スキズム』X-MENの初代メンバーの映る写真を見るウルヴァリン

それも壁に掛けられた初代X-MENのメンバーの写真だった……。

 

チャーリーもいなくなり、密かに愛していたジーンも亡くなり、かつての友でもありライバルでもあったサイクロップスは、もはやこの写真の頃とは全くの別人……。

 

しかし無表情のままこの写真を見つめていたサイクロップスに対して、ウルヴァリンは何か「重大な決心」をしたような鋭い目つきをしている。

 

かつての自分を思い出そうとするが全く別人のように変わってしまったサイクロップスとは逆に、かつてのX-MENを思いだし「ある決心」をするウルヴァリン……。

 

このシーンが素晴らしい対比だと思いました。

 

 

 

その後の2人の決断

 

子供たちを引き連れてサイクロップスの元を去ったウルヴァリンたちが向かう先は、ニューヨークだった……。

 

そう、壁に掛けられた初代X-MENの写真を見て古き良き時代のX-MENを思いだし「ある決心」をしたウルヴァリンが到着した先は……

 

かつてプロフェッサーXが建てた「エグゼビア高等教育院」の跡地だった。

 

ウルヴァリンの「ある決心」とは、自分が校長となり新たに「エグゼビア高等教育院」を「ジーングレイ学園」という名で始めるということだった。

 

あのならず者で他人の言うことを聞かなかったウルヴァリンがまさかの「校長先生」である!(笑)

 

対するサイクロップスたちは「ユートピア」を拠点に最強クラスのミュータントを集め自衛軍を結成していた。

 

もはや「軍隊」のようなものでもある。

 

あの優等生のサイクロップスが従えるのは、かつてヴィランだった悪漢たちが中心の戦闘部隊であった。

 

サイクロップスとウルヴァリン……昔のイメージとは真逆の道を歩むこととなる……。

 

かつてプロフェッサーXが目指したことをウルヴァリンが引き継ぐことになる。

 

チャーリーの思想をローガンが推し進める!

 

そして、かつてヴィランだった頃のマグニートーが目指したことをまさかのサイクロップスが引き継ぐことになる。

 

但し人類滅亡が目的ではなく、あくまでミュータントの自衛のためにマグニートーまでをも従えて……。

 

過去のX-MENを知っていれば知っている程、かなりの驚愕な結末に至った『スキズム』でした。

 

 


 

 

 

近年発売されたX-MENは、過去の「正義vs悪」のような単純な戦いだけでなく、何が正義で何が悪なのか?判断が難しい内容が多くとても興味が沸く内容のものばかりです。

 

またマンネリを打開するためか?この『スキズム』のように、今までのキャラクターの固定したイメージを打ち破るような内容も多いのも特徴的です。

 

この『スキズム』の話の後も、サイクロップスの運命は今までの過去のイメージとは大きく異なっていきます……。

 

その辺のお話はいつかこのブログでご紹介していきたいと思っていますので、またぜひこのブログを読みに来てください。

 

それではX-MENの最大級の「仲間割れ」を描いた2011年の問題作『スキズム』のご紹介でした。

 

この長い文章が示すようにお勧めです。

 

 

 

オマケ……

 

『スキズム』の本編以外に番外編としてサイクロップスとウルヴァリンのどちらについていくのか?を決断する他のX-MEN達の様子が語られる『REGENESIS』が掲載されています。(”Regenesis”とは「更新」の意)

 

この話もかなり面白いです。

 

話の流れとしては、サイクロップスとウルヴァリンがそれぞれ別々で自分についてくる仲間を求めて他のX-MEN達のスカウトをしに行きます。

 

そして自分の陣営に加わった仲間たちを「原始人」のイメージで描いています。

 

『REGENESIS』サイクロップスか?ウルヴァリンか?どちらの陣営につくのか?

これも他のX-MEN達にしてみれば、どちらの新しい指導者の下につくのか?「究極の選択」でもあります。

 

わかりやすく即決で自分の行く道を決める者もいれば、迷った挙句にやっと行く道を決める者もいれば、仕方なしに行く道を決めなければいけない者もいます。

 

またかつての恋人同士が袂を分かつことになる場面も見られます。

 

これもまた「分裂(Schism)」ですね。

 

さて、誰がどちらの陣営につくのか?

 

『REGENESIS』Whose side are YOU on?

本編を読んで結末を見届けましょう!

 

 

 

 

 

 

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ちなみに……「ジーン・グレイ学園」は初日から敵に襲われて学園がいきなり倒壊します。(笑)

 

せっかくウルヴァリンが子供たちのことを思って命を懸けて戦うことではなく子供らしく教育を受けさせようとしますが、サイクロップスの思惑通り、敵からしたらそんなことは全く関係なく「ミュータント」というだけで襲ってきます。

 

……で、学園初日から子供たちも普通に命を懸けて戦っていくことになります。

 

『スキズム』での争いは何だったの?……って感じになります。(笑)

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