2019/09/12
スパイダーマンとヴェノムの戦いを『マーヴルクロス』第10号で読もう!
1996年に小学館から発行されていたアメコミ漫画雑誌『マーヴルクロス』をご紹介します。
『マーヴルクロス』第10号に掲載されていたスパイダーマンとヴェノムの戦いをご紹介します。
1996年から始まった『マーヴルクロス』のシリーズも、1年が経ち1997年初頭に第10号が発売されました。
そこでようやくマーヴルを代表する人気キャラが本格的に登場します!
それが第10号の表紙も飾るスパイダーマンです!
第1号~第6号までメインで掲載されていた『インフィニティ・ガントレット』にもスパイダーマンは登場していましたが……その時はほとんどサブキャラ扱いでした。
しかし第10号に来て、ようやくウルヴァリンと並ぶ人気キャラが表紙を飾ります!
今となっては、イケメン俳優ヒュー・ジャックマン演じるウルヴァリンの実写映画の大ヒットのお陰で、アメコミ・ファン以外でもウルヴァリンというキャラを知っている人は多くなりましたが……当時リアルタイムで『マーヴルクロス』を読んでいた時期には、日本ではまだ知る人ぞ知るキャラでした。
しかし当時から既にアメコミ・ファンでなくってもスパイダーマンぐらいは知っている人は多くいたと思います。
知名度でいうとやはりスパイダーマンの方が上だと思います。
さて、今回ご紹介するスパイダーマンが表紙の第10号には、もう1人人気キャラが登場します。
それは昨年、人気俳優トム・ハーディが主演して実写映画にもなった『ヴェノム』です。
『ヴェノム』自体は、スパイダーマンのサム・ライミ監督3部作でも登場していましたね。
その時はトファー・グレイスがヴェノムの本体エディ・ブロックを演じていました。
そんなヴェノムとスパイダーマンが戦った原作コミックが、実写映画化される10年以上も前に『マーヴルクロス』に掲載されていました。
実写映画『スパイダーマン3』は、2007年に公開されたので、1997年の『マーヴルクロス』第10号からちょうど10年後になります。
『ヴェノム』が単独映画になった昨年の2018年から考えると、21年も前に『マーヴルクロス』で取り上げられていたことになるんですね!
感慨深いです……。
それでは第10号をご紹介したいと思います。
『マーヴルクロスNo.10』
スパイダーマンとX-MENを掲載!
スパイダーマンが表紙を飾る第10号の前半は『スパイダーマン特集』が大々的に取り上げられています。
まずは1988年に描かれたスパイダーマンとヴェノムの戦い、そして1962年に初登場したスパイダーマンの記念すべき第1話の2つの物語が掲載されています。
更に本誌の後半からはX-MENが2話分掲載されています。
本誌に掲載されているX-MENの物語は1979年に描かれた古いものです。
どちらも『ダークフェニックス・サーガ』に繋がる物語で、今でも人気のキャラの初登場時を読める貴重なお話です。
これだけでも盛り沢山な内容なのですが……スパイダーマンが表紙ということもあり、冒頭10ページに渡り『スパイダーマンの全て』という特集が掲載されています。
主要登場人物を網羅した『スパイダーマンを取り巻く人々』や、これまでの重要なストーリーを紹介した『スパイダーマンの歩み』など読み応えがあります!
この『スパイダーマンの全て』が終わると、さっそく1988年に描かれたスパイダーマンとヴェノムの戦いが始まります。
『スパイダーマン vs ヴェノム』
表紙で黒いコスチュームを身にまとっているのは、ヴェノムことエディ・ブロック……ではなく、スパイダーマンことピーター・パーカーです。
この黒いコスチュームは、宇宙生物シンビオートではなくかつてのパートナーであったブラックキャットから贈られたものです。
紛らわしい黒いコスチュームを着ているため、メリー・ジェーンに怖がられるシーンもあったりします。
本誌のスパーダーマンは、宇宙生物シンビオートに寄生されてはいませんが……しかしシンビオートに寄生されているエディ・ブロックがヴェノムとなってスパイダーマンに対す勝手な恨みを理由に襲い掛かります。
シンビオートを退治するための音波銃をファンタスティック・フォーから借りて移動している最中ヴェノムの奇襲にあいます。
そこでスパイダーマンとヴェノムの激しい戦闘が始まります!
右側にいる筋肉ムキムキの悪人面がヴェノムです。
スパイダーマンは、ヴェノムの圧倒的力に押され気味です……。
しかしヴェノムの弱点である超音波を狙って音波銃や教会の鐘の音なんかを上手く使い勝利します。
その後、スパイダーマンはヴェノムと間違えられるのが嫌になり、黒いコスチュームを捨て元の赤いコスチュームを着ることにします。
ちなみに物語の最後には、オマケでヴェノムのデータも掲載されています。
『スパイダーマン vs ヴェノム』の次は、1962年の貴重な『スパイダーマン第1話』が掲載されています。
『スパイダーマン第1話』
ご存じの通り、クラスでも目立たないピーター・パーカー青年が特殊なクモに噛まれて超人に変わるお話です。
興味深いのが、1939年の創刊以来、怪奇SFコミック誌として知られていた『マーヴルコミック』社が1962年に業績不振で廃刊を余儀なくされたことです。
そこで最後の号に「どうせ廃刊になるなら好きな事をやってみよう。」と考えた原作者のスタン・リーが、子供の頃ファンだったパルプ雑誌のヒーロー、ザ・スパイダーに着想を得てクモのスーパーヒーローを考え出しました。
今でこそスパイダーマンは当たり前に受け入れられていますが……当時としては、それまでの「正義の味方」然としたわかりやすいフォルムのスーパーヒーローではなく虫の能力を持ったスーパーヒーローです。
しかも本来なら気持ち悪がられるクモなんですから、際物だと言えるでしょう。
それに主人公のピーター・パーカーは、イケテない人物でクラスの人気者でもなくいじめられるようなひ弱なキャラクターです。
それまでのヒーローと言えば、イケメンで筋肉ムキムキで女性からもモテる何でも出来る人物が主人公でした。
でもよく考えたら、彼らはスーパーヒーローにならなくったって実社会で既に人気者です。
それでは面白くも何ともありません。
しかしピーター・パーカーの様ないじめられっ子が、実はスーパーヒーローで裏で悪と戦っていることに魅力を感じるものです。
といったわけで、「廃刊なので好きにしよう!」と批判覚悟で掲載したスパイダーマンはまさかの大ヒットすることになります!
1話だけの読み切りキャラのはずが……「第2話はいつ始まる?」「続きはまだか?」と問い合わせ殺到だったらしいです。
それからのスパイダーマン人気はもちろん鰻上りで今に至ります!
原作者のスタン・リーも昨年亡くなり、初登場から57年と半世紀以上経っていますが、いまだにスパイダーマン人気は衰えを知りません!
それどころか実写映画が出れば必ずのように大ヒットしていますからね。
廃刊に追い込まれたスタン・リーが自暴自棄になり好きな事をやったら人類史に残る傑作コミックが完成した!というのがとても面白いことです。
『ダークフェニックス・サーガ』に繋がるX-MENの物語
スパイダーマン2作品の後にはX-MENも2話分掲載されています。
1980年から始まる大型クロスオーバー『ダークフェニックス・サーガ』に向けての物語です。
ここに登場する1979年当時のX-MENのメンバーは、下記の通りです。
●サイクロップス
●ジーン
●ウルヴァリン
●ストーム
●コロッサス
●ナイトクローラー
もちろん彼らを指揮するのはプロフェッサーXです。
しかしこの時期のコミックでは、サイクロップスに対して「黙れ!」と言う厳しめの口調を使っていたり……となんだか時代を感じますね。
90年代には普通に話していたバンシーも、この当時は親父言葉でした。(笑)
ちなみにこの頃からサイクロップスとウルヴァリンは反発しあってます。
今に始まったことではないんです。
ここに掲載されたX-MENの物語で、今でも人気の女性キャラ3人が初登場します。
まず左からホワイトクィーンことエマ・フロストです。
そして壁をすき抜けている少女がキティ・プライドです。
彼女たちはこの初登場時から四半世紀の時を超えて2004年の『アストニッシングX-MEN』で大活躍することになります。
当時の絵柄では老け顔だったエマも、成型に大成功して(?)ジーンの代わりにヒロインを務めれるような美女へと変わります。
2004年の『アストニッシングX-MEN』でキティがエマの事を信用していなかったのは、この1979年の初登場時の出会いに原因があります。
当時のキティは、若手ミュータントとしてX-MENにスカウトされるところでした。
それを狙ったヘルファイア・クラブ という悪の組織に命を狙われることになります。
そのヘルファイア・クラブ の幹部だったのがホワイトクィーンことエマでした。
そのためキティの中ではエマはいつまで経ってもヴィランのイメージのままのようです。
サイクロップスのことをテレパシーで操っているとさえ疑っていましたからね。
この2人の他にもう1人……
光を操る女性シンガーのダズラーも登場します。
いかにもディスコ・ブーム期のキャラって感じですが、眩い光に目を抑えるナイトクローラーの絵がなんともシュールです。
後にひょんなことからS.H.I.E.L.D.のミュータント交渉員になるのですが、このダズラーも今でもちょくちょく登場する人気キャラの1人です。
スパイダーマンだけでなく70年代最後のX-MENの貴重な物語も掲載された『マーヴルクロス』第10号でした。
以上、【スパイダーマンとヴェノムの戦いを『マーヴルクロス』第10号で読もう!】でした。
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