
2018/05/25
世界を支配する情報戦争と偽百ドル札『スーパーノート』驚愕のノンフィクション作品のおすすめです。
驚愕のノンフィクション作品-『スーパーノート』
嘘のような真実?実話を基にした偽百ドルの真相
お勧めのノンフィクションの本です。
本作は『史上最も精巧な偽百ドル札事件の真相』といわれる偽百ドル札『スーパーノート』とCIAの黒い関係を暴こうとしたカスパー捜査官の実話を基にした作品です。
基本的にはカスパー捜査官目線で話が進められますので、読んでいる方もまるで自分が体験していることかの様に読み進めることが出来ます。
一応、ノンフィクション作品ということでカスパー捜査官本人が監修の元で編集者のルイージ・カルレッティが書きあげた作品の様です。
巻末にそのカスパー捜査官なる人物の写真が載せられています。
今は引退しているとはいえ、元スパイなのに顔写真載せていいものなのでしょうか?と思ったりもします……。(笑)
しかし内容の方は、例え多くの部分が脚色していたとしても、スリル満点で読み進めることが出来ます。
まぁ音楽にしてもライヴ盤と言っても、オールマン・ブラザーズ・バンドやグレイトフル・デッドの『フィルモア・イースト・ライヴ』や『Live/Dead』なんかのライヴ盤が実際は後でスタジオ演奏などを被せたりはしているので「本当の意味での生演奏」ではないってこともありますからね。
しかしだからと言ってこの2つがライヴ盤の名盤ではないかと言えば、そうではないと思います。
それと同じで脚色していても事実に基づいているのなら、僕は好きです。
全くの空想物語よりは読む価値があるんじゃないだろうか?……と考えます。
ところでこの本は、多くの「裏切り」が起こります。
カスパー捜査官が信頼していた人物や国家の「裏切り」……などです。
要するに彼は、「何も知らない」ということを利用され、罠にはめられてカンボジアの劣悪な環境の刑務所に送られてしまいます。
その一部始終が作品として描かれているのですが、まるで映画を観ているような感覚に陥ります。
捕まってから刑務所に送られる間に、一度車から降ろされて後頭部に銃を向けられて危うく命を落としそうになるも、偶然の電話のお陰で助かったりするシーンなどは、もはや映画の世界のようですね。
またダッラ中尉なる人物にロシアンルーレットを強要されるシーンでは、ダッラ自身が「まるで映画のディアハンターみたいだな!」という台詞を言ったようです。
更には異国の刑務所内で薬漬けにされたり壮絶なリンチを受けたりするなど、まるで映画の『ミッドナイト・エクスプレス』みたいでもあります。
印象に残った「言葉」
さて、そんな本作で印象に残った「言葉」があります。
“Same same but different (セイム・セイム・バット・ディファレント)”です。
「まったく同じだが別物」と訳されています。
これはカスパーが出会った人物との対比の事や、本物の百ドル札と、「スーパーノート」と呼ばれる偽百ドル札のことを指しています。
この「言葉」は、こういった内容の作品とかでよく出てきそうな“Wrong Place, Wrong Time(悪い時に悪い場所へ)”と似ている気がします。
全518ページと本の分厚さもあり、読みごたえもあります。
しかし全編に渡って、自分がまるで主人公になったかのような気分を味わえる作品でして、わりとサクサクと読み進めていくことが出来ると思います。
少しネタバレにもなるのですが、この偽百ドル札を印刷しているのは、北のかの国で行っていると噂されています。
そのかの国へは、本来なら厳しい入国審査があり入り込むことは出来ないはずなのですが……アメリカのCIAのある職員たちは自由に行き来しています。
それは何のためであって、どんな目的からなのか?……都市伝説とも言えそうな内容でもあるのですが、この真相に近づいたとしてカスパー捜査官は刑務所に送られたことになっています。
本人曰く、この本の内容は100%真実の実話らしいです。
……そうは思えない部分も多々あったりしますが、そこは「興味深い作品」として読みましょう。
ちなみに映画化も検討されていて、2015年の時点でアメリカのプロデューサーが映画化の権利を取得しているそうです。
あれから3年近く経ちましたが、どうなっているんでしょうかね?
実際に映画の話のような実話(カスパー捜査官談)を映像化するのだから、面白くはなると思います。
ぜひこちらの本の方もすごく面白いですので読んでみて下さい。
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